【孤独】「孤独」の本当の怖さとは
多様性が重視され、「自分らしさ」を大切にするようになった現代においてこれから必要になってくるのは「コミュニティ」だと言われます。
根本的に人間は社会性の生きものですから、「所属意識」が満たされないと自己実現なんてもっての他。
本来の実力さえ発揮することが難しくなるのですよね。
個人的には、多様なコミュニティができることは素晴らしいと思うのですが、その反面「孤独感」を感じやすい人は、より孤独になっていくのではないかとちょっと心配しています。
と、その心配は今回はおいておきましょう。
本記事で話題とするのは、「孤独感ってのは、所属していれば感じないなんて単純なものじゃないよ」という内容。
「友達100人でっきるっかな♪」という歌もありましたが、自分の人生を豊かにしてくれる安心できる関係性というのは、「量よりも質」であることは間違いありません。
そんなことを確かめてくれたおもしろい実験も紹介しますので、ぜひとも、読んでみてくださいね。
▼「孤独感」に隠された意味
ぼくも子どもの頃は、
みたいな勘違いを大いにやらかしていました。
今でもその片鱗が脳裏をかすめることもあります。
「自分自身がどう思うかよりも、他者からどう見られるか」をずっと気にして生きてきてしまったので、この考え方の癖を変えるのは、めちゃくちゃ時間がかかります。
というか、現在進行形で変えようとしています。
そして、ここに「孤独感」はひっそりと潜んでいる。
ただ、この「孤独感」はある意味仕方のないこととも言えます。
というのも、狩猟採集時代にまで遡ると、「孤立している」という状態は、死を意味していまいした。
知恵はあるものの肉体的には非力な人間が、一人でいたとしたらあっという間に野生動物の餌食となってしまいますからね。
歴史的に見ても、罪を犯した人に対する罰の中に「コミュニティからの追放」というものがあります。
まさにこれは、生存確率が下がるから罰なのであり、ぼくたちの先輩は、まさに孤立を避けるために「孤独感」という感情をネガティブとして設定したのでしょう。
急に狩猟採集時代まで飛んでしまいましたが、現代においては「孤立していると取って食われる」という状況の方が稀。
そんな比較的安心感漂う世の中になったのですが、「孤独感」はそうやすやすとぼくたちから離れていってはくれないのです。
▼「孤独感」は物理的な痛みを伴う
アメリカ人の心理学者であるヤーク・パンクセップさんは、「社会的痛み」という概念を提唱しました。
「社会的痛み」というのは、なぐる・けるというような物理的な攻撃を受けた時と同じ痛みを人間関係からも受けるという考え方。
諸説あるものの、「人間関係をこじらせて受ける痛みは、骨折に匹敵する」なんて言われています。
しかも、社会的痛みの怖さは、蓄積されていくことにあります。
実際の骨折であれば、適切な治療を受けつつ安静にすれば完治するでしょう。
しかし、社会的痛みは、傷口が見えないだけに治療も難しい。
ここで疑問となるのは、「そんな見えにくい痛みをどのように発見したのか?」ということですよね。
では、パンクセップさんの発見に話を戻しましょう。
パンクセップさんは、「母親や兄弟から引き離した子犬にモルヒネを与える」というびっくり実験で社会的痛みを発見しました。
母親や兄弟から引き離された子犬は、様々な不安を表す動作をしていたとのこと。
しかし、「モルヒネを与えらえると、子犬が鳴く回数やそわそわ動くという不安を表す身体的行動が劇的に減少した」というのです。
ちなみに、モルヒネというのは、「痛み止め」として昔の戦争中に使われていました。
身体の痛みを止めるモルヒネが、心理的な不安感にも効いたということから、もしかしたら「体の痛みと心の痛みは、脳内で同じような処理がされているのではないか」と結論づけられたのです。
▼コミュニティに所属しておけばよいという訳でもない
パンクセップさんの発見は、現代社会において非常に重要なことを教えてくれています。
それが、本日話題とする「コミュニティ」の問題。
人生の幸福度を上げるためには、人間関係を充実させることは必要不可欠な要素。
しかし、先ほども触れたように「友達が多いと幸福度が上がるか」と言われたらそうでもなく、やはり「信頼できる人間がいるかどうか」という視点が大切なのです。
ここでサイバーボールという意地悪な実験を簡単に紹介します。
このゲームをプレーした3人は、ボールをパスすることを求められました。
しばらくは、3人仲良くパス回しを楽しんでいたのですが、途中から1人無視しているかのように同じ2人でパスを回し始めたのです。
なんとも失礼な実験終了後、パスが回ってこなかった実験参加者の脳の反応を見てみると、「身体的痛みに関連した脳領域が活性化していた」ということが分かったのです。
やはり、脳にとっては身体的な痛みも心理的な痛みも同じ「痛み」として処理される。
だからこそ、完治が分からない心理的痛みを、長期的に受け続けると、リアルな健康被害につながってしまうのです。
▼解決策は複数コミュニティへの所属
ここまで社会的痛みの話をしてきましたが、「じゃあ、どうしたらいいのよ?」という疑問にさくっと答えます。
ずばり、題名にも書きましたが、「所属するコミュニティを1つに限定しない」ということが解決策になります。
人間を劇的に変えるには、やはり「環境の力」に頼らざるを得ません。
だからこそ、心地のよいコミュニティを複数もっておき、「不安定な人間関係が生じたら、所属感のバランスを変更する」という決断が功を奏すでしょう。
ただ、冒頭の心配に戻りますが、「孤独感」を感じやすい性格特性の人が、自分から複数のコミュニティに所属できるように働きかけるのかと問われたら自身はありません。
だからこそ、コミュニティ運営側も、「多様性」という意識をもっていく必要があるのだと思います。
そんなことを考えつつ、「ピースカフェ」運営中。
地域の子ども・大人の孤独感解消もねらいとしています。
日々の試行錯誤から生まれた解決策がありましたら、共有させていただきますので、ぜひ、応援をよろしくお願いします!!
いただいたサポートは、地域の「居場所」へ寄付させていただきます!