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今こそ問われる。小学校教育の価値。

全国の公立小中高休校要請が出されました。体調不良によるたった1日の欠席でも、子どもを預けることが容易ではないこの国で、あまりにも思い切った決断だと思います。どうか、保護者の皆様におかれましては、子どもが安心して過ごすことができる居場所が見つかることを願っています。

子どもが学級閉鎖のような長期休日になり、常に話題になるのは、ネット授業の整備についてです。確かに、5G導入目前の状況を考えれば、ネット授業の需要は高まるでしょう。既に、アプリで学習している小学生も多数います。学び方は一様ではありません。現に、中学校受験を目的として塾へ通っている子どもたちにとっては、小学校の学習はあまり意味を成していません。受験用の学習をしなければならないのです。こんな世の中だからこそ、何のために小学校へ通うのかを問い直し、教師には小学校教育に誇りをもってほしいと思うのです。

小学校で学習をする価値とは。

塾は、「学力」を獲得するために行く場所だとしたら、小学校は、「人間力」を獲得するために行く場所だと考えます。人間力には、多様な力が含まれていますが、「授業」という枠組みで言うと、「自分と違った価値観に触れる。」ということです。1つの事象に対する考え方は、多種多様です。だからこそ、話し合う価値があります。自分の考えに対して様々な反応があること、1つの事実に対して多角的な見方・考え方を働かせて話し合うことこが学びです。このような学びを実現するには、子どもの反応を敏感に感じ取りながら授業をファシリテートしていく教師の存在が必要不可欠です。子どもの実態に合わせた授業を展開できるのは、ネット授業にはできない小学校授業の価値です。

小学生ネット授業の難しさ。

小学生に対するネット授業の難しさは、「学び方」にあります。小学校は、6年間を通して「学び方」を学びます。最初は、教師から与えられた課題に取り組んでいる子どもたちも、次第に自分の問題意識に向かって学びの幅を広げていきます。「解決したい!」という思いがある子どもの学習効果は計り知れません。しかし、自分なりの問題意識をもつことは、簡単ではありません。これは、教師側の課題ですが、課題が出されないと何をやっていいのか分からない高学年がいるのも事実です。このような現状で、ネット授業を導入すれば、「学び方」が分からない子どもを救うことができず、学習に対する「受け身」状態は、ますます加速することが予想されます。学習することに目的意識や必要感をもち、「自律」して臨むことができる子どもを育てることができるのは、やはり小学校教育なのです。

時代の変化により、学び方が多様になってきたのは、大変素晴らしいことです。教師も、その恩恵を十分に享受して、今までの価値観にとらわれない学習方法を検討していく必要があります。いつか、ネット授業がもっと汎用的になり、目的意識をもった子どもたちが、自分が計画したカリキュラムに沿って、自分に必要な授業を選択しながら学習を進めていくような小学校ができたら面白いと思います!そのときに向け、教師側もより専門性を磨いておく必要がありますね!


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