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「割れ窓理論」が見逃しているもの

「好きな〇〇理論ランキング」があったなら、「割れ窓理論」は、絶対にベスト3に入ってくるJUNです。

だって、覚えやすいじゃないですか。

そして、内容を知ってしまったらだれかに言いたくなること間違いなし。

そんな「割れ窓理論」ですが、「ちょっと考え方を変えると違って見えてくるよ」的なおもしろい内容を見つけましたので、シェアさせてくださいね。

▼「割れ窓理論」が見逃しているもの

最初に、さくっと「割れ窓理論」について説明させてください。

ハーバード大学の政治学者ジェームズ・ウィルソンさんと、ラトガーズ大学の犯罪学者ジョージ・ケリングさんによって発表されました。

「窓が割れた家があると、『割ってもいいんだ。』と考えて、次々と割られてしまう」

みたいな考え方。

難しく言い換えると、

「割れ窓のような無秩序を象徴する外観は、社会の管理が弱いことを広く主張しているようなもので、犯罪を働いてもその抑止能力は低く見積もられる。」

ということ。
#あえて難しく言い換える

割れ窓だけじゃなくて、「落書き」とか「ごみ」とかがそのままにされていると、その街の治安がわるくなってちゃうよということ。

学校でも学級経営を考える際、たま~に登場することがあります。

そんな「割れ窓理論」ですが、否定的な見方もあるのです。
#なんでも賛否はあるよね

まずは、ウィルソンさんとケリングさんが示した「割れ窓が治安の悪化をまねくまで」の有名なシナリオをご紹介します。

「ある建物が空き家になっていて、雑草は伸び放題で、窓は叩き割られている。」

と。

「大人は、粗暴な子どもたちを叱るのをやめる。調子に乗った子どもたちは、ますます乱暴になる。家族連れはよそに引っ越し、ひとり者が引っ越してくる。」

なるほど。

「ティーンエイジャーが街角の店の前にたむろする。店の店主がよそに行ってくれと頼むが、彼らは聞く耳をもたない。ケンカが起こる。ゴミが散乱する。」

おっ、なかなかだぞ。

「人々は食料品店の前で酒を飲むようになる。やがて泥酔者が歩道に倒れ込み、そこに寝泊まりするようになる。歩行者は物乞いに言い寄られるようになる。」

とまぁこのようなかたちでいっちょ上がりというわけ。

ここまで来たら、みなさんもご想像の通り、問題は雪だるま式に大きくなっていくでしょう。

さて、このストーリーの中で肝心の「見逃し部分」があることにお気づきでしょうか。

エリック・クリネンバーグさんは、著書「#集まる場所が必要だ」の中で、

「そもそも、『空き家』で『雑草が伸び放題』の時点でなんとかしろよ!」

と述べています。
#そんな粗暴には言っていない

もちろん「割れ窓理論」は、「そんな建物を放置しておいたら街が衰退していくよ!」という主張なので、「窓が割れた建物」が必須なのですが、治安のわるい街をつくりたくないなら「空き家の時点でなんとかしろや!」という主張も分からなくはない。
#そんな粗暴な言い方ではない

実は、実際に「『空き家』や『空地』を整備することによって治安がよくなる」という調査結果も出ているのです。

コロンビア大学の疫学部長を務めるブラナスさんの調査によると、

「環境が整備された街では、整備されていない街よりも、銃犯罪が39%減少し、整備された空地の周辺でも5%減少した。」

というのです。

ブラナスさんいわく、「犯罪は、荒れた建物や空き地の周りで起きる可能性が高くなる」ということ。さらに、

「整備されて減少した犯罪は、別の地域にうつったことは確認されなかったため、犯罪自体が消滅した可能性がある。」

ことが示唆されたのです。

やはり、「環境の力」というのは、思った以上に大きいのでしょう。ちょっとだけ、自分の住んでいる地域の街づくりにも興味が出ますよね。

▼まとめ

本記事では、「割れ窓をどうにかするより、割られる前の対策が大事」という内容をまとめました。

「割れ窓になる前が大切理論」は、まちづくりだけに関わることではありません。僕たちの暮らしの中でも、「もう少し丁寧に整備しておけば、防ぐことができた問題」というのもあるかもしれません。

人間は「環境に左右される生き物」ですからね。

もちろん、周囲だけでなく、ご自身の置かれた「環境」も一度見直してみてください。

もっと、落ち着いて毎日を送ることができるようになるかもしれません。



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