見出し画像

「長期休校」の受け止め方と「リモート学習」への懸念。

先の見えない長期休校。今回の記事では、長期休校中、保護者の方々と接した中から見えてきたことを書こうと思う。

長期休校の受け取め方~子どもと保護者の関係性~

休校を子どもたちに伝えた時の反応ははっきりと分かれた。単純に休みになった嬉しさを表現する子どももいれば、「学校がないと暇すぎる。」と困った顔も見られ、「休みは嫌です。何とかならないんですか!」と真剣に訴えてきた子どももいた。学校を心から楽しんでくれている子どもたちがいることを嬉しく思った。しかし、事態はそんなに単純ではなかった。休校の延長。卒業式の短縮化。新年度に予定されている入学式にも在校生不参加。保護者は、代表1名だけと決定された。現在では、本当に入学式ができるのかさえ危うい。そんなさなかに聞こえてきたのは、自治体が本格的に「リモート学習」を準備しているということだ。先の見えない状況を考えると、大きな変革が必要なのかもしれない。

一方保護者の受け取り方は、偏った。「学校へ行ってほしい。」「家にいてもすることがなくてお互いにストレスがたまる。」という意見が圧倒的に多い。自分が話を聞いたときは、公園の許可が出されていなかった時期だったので、みんなが家の中に籠っているという状況に、保護者の方々はかなりストレスフルな状態であった。こんなにも、学校が求められることは今までにあったのだろうか。そんな学校待望論が多い中、子どもと共に充実した休校生活を送っている家庭もあった。そのこつをお聞きすると、

「子どもに、家事を任せること。」

であった。その家庭は、家事を親がやるというルールを撤廃したらしい。小学生の子どもをパートナーとして認め、家事を任せていた。いつもは「時間がないから、自分がやった方が早い!」と思ってしまうことも、じっくりと見守ることができる余裕がある今だからこそ、共に家事に向かうことができるということであった。子どもにとってみれば、「自分が家族のために役立っている。」という実感につながるうまい方法だなあと感じた。また、

「とことん、好きなことに時間を使わせる。」

というご家庭もあった。子どもが最近、ギターを習い始めたという家庭では、時間がたくさんできたので、家族みんなでギターを練習して時間を使っていると楽しそうに話をしてくれた。

様々なご家庭からお話を聞き、家族の関係性をより良くする2つのこつが見えてきた。

①お手伝いの習慣化。
②「やりたい!」ことを見つけること。

子どもは、興味・関心の塊である。大人がやっていることを何でも真似したがる時期がある。小学校低学年位では、お手伝いをしたい気持ちが強すぎて保護者の方が困ってしまうような経験もあるはずだ。この時期が大切である。効率を求めるあまり、子どもの手伝いたいという申し出を断ってしまうこともある。しかし、この選択肢が後々にひびいてくるのである。子どもが大きくなって、「たまには、家の手伝いでもしたらどうなの!」と言ってしまう原因がここにある。どれだけ、時間がかかっても、「お手伝いがしたい。」と素直に思っている時期を逃すことなく、見守ってあげることで、成長したときに家族の一員として力を発揮してくれるのである。

もう一点は、「やりたいことを見つけておく」ということである。最近の小学生には特に多い。「自分がやりたいことが見つからない。」という消極的な意見だ。折角の長期休みも「あぁ~暇!」と連呼して時間を使わないためにも、保護者が意識して多様な経験をさせてあげることが大切だ。何に興味をもつかは分からない。子ども自身も分かっていない場合が多い。早く見つけた方が良いということではないので焦ることはないが、保護者から「あなたは、字を書くことが好きだよね。」「小さい頃からとっても絵が上手だった。」というように、子どもが自分では気付くことができない良さや好きなことについて声をかけてあげることが大切だ。「得意だよ。」とか「上手だよ。」と認められた経験が、子どもの大切な才能を開花させることにつながるのである。

リモート学習の難しさ

最後に、自治体が絶賛準備中のリモート学習について書こうと思う。現状がまだまだ長く続くという見通しであれば、リモート学習の取り組みは必要である。そんなとき、懸念される点が、

①保護者の負担の増大
②学力格差の増大

である。保護者の負担についてだが、主に子どもとの関係性による精神的なものだ。子どもとのいる時間が長くなればなるほど、子どもに学習に対する心配な気持ちが高まってくる。そんな時にリモート学習をするという取り組みは、保護者を喜ばせるに違ない。ただ、保護者からしてみれば、子どもの取り組み方が目に見える状態になっていることが、「勉強させないといけない。」という余計な使命感の増大につながるのではないだろうか。さらに、リモート学習に対する意欲も子どもによって様々である。意欲の低下が見られた場合、学習に向かわせるのは保護者の役目になる。学校という空間は、子どもたちにとって「学習する場所」として定着している。しかし、家庭の中に「学習場所」が定着していない場合、子どもを継続的な学習に向かわせるのは至難の業ではないだろうか。そのような状況下では、さらに保護者への精神的負担を増すことになると考える。

二点目としては、「学力格差の増大」である。リモート学習に対する取り組む姿勢は、全て家庭の方針に任されることになる。学校で出される「宿題」と同じだ。宿題を毎日ばっちり提出できる習慣化ができた子どもは、リモート学習にも積極的に取り組むに違いない。一方、家庭で宿題をするということさえも習慣化できていない子どもは、リモート学習に対しても取り組まずに休日を謳歌する可能性が高いと思われる。そんな状況が長く続くのであれば、学力格差はますます開いていくに違いない。

次回の登校日は、4月7日である。何といっても、一大イベントは、新しい学級、新しい担任の発表であろう。新しい学校生活の始まりに胸をわくわくさせるいつもの4月を迎えられることを、切に願っている。

いただいたサポートは、地域の「居場所」へ寄付させていただきます!