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子どもの「認知スタイル」に合わせた学び方とは。

子どもの認知スタイルを見極められるほど、子ども一人ひとりをきちんと評価できていないという罪悪感をあなたがずっと抱えているなら、あるいは、子どもの認知スタイルがわかっていながら子どもに合わせて指導法を変えていないと思っているなら、心配はいらない。

急にすみません。そして、僕の言葉ではありません。いつもの通りダニエル・ウィリンガム先生のお言葉です。

著書教師の勝算を引用させていただきました。何を隠そう、この本は、二度購入していまして。1回目はkindleで読んでいたのですが、すっかり忘れてAmazonで購入してしまいました。わくわくしながら読み進めていくうちに、「あれっ、何だか知ってる内容が多いな。」と感じ始めて事の発端に気づいた次第です。

しかししかし、何と読み飛ばしが多かったこと。ウィリンガム先生にお会いしたら手をついて謝りたい。冒頭の一説など、自分がずっと悩んでいたことの1つなのに、こんなに明確な啓示を何気なしに読んでいたなんて。だからこそ、その過ちを取り戻すために引用多めですみません。何とかして、取り戻そうとしています。

謝罪が続きましたので、ここら辺から本題へ。

冒頭の引用文を読んでいただき、救われた人は僕だけではないはずです。日々、40人近い子どもたちに接している教師であれば、手の足りなさというか、「もっとできるはずなのにできていない!」ような感覚に苛まれることもあるはず。しかし、そんなもやもやをウィリンガム先生は、一掃してくれています。

もう一度ざっくり引用すると、

「子どもの認知スタイルを知っていながらちきんと指導できていないと自分を責めているのであればもう悩まなくていいよ。だって、そうやって指導することが良いという理由はないのだから。」

と、有難い言葉を残してくれているのです。

しかし、有難いと思いながら「なんじゃそりゃ?ほんとかよ?」とも思いますよね。では、どうして認知スタイルに合わせた指導法にコミットする必要がないのかをまとめていきますね。

▶認知スタイル神話。

「子どもには、それぞれの認知スタイルがある。」

と、聞いたことはありませんか。

多くの場合、「視覚」、「聴覚」、「運動感覚」に分けられ、子どもそれぞれに学びやすい方法があると言われていました。僕が聞いたときは。

しかし、ウィリンガム先生は、

「この認知スタイルに合わせた学習により、必ずしもその子の学習が有利になるわけではない。」

と主張されています。「まさか!」と僕も思いました。長年信じてきたことが脆くも崩れ去るような予感。そのような気持ちで理由までいきましょう。

なぜ、認知スタイルに合わせたアプローチがうまくいかないのかというと、

「多くの場合、テストで重要視されるのは『意味』だからだ。」

と、いう結論に達するのです。

確かに!! これは、確かに!!

おもしろい実験が掲載されているので紹介しますね。

視覚記憶と聴覚記憶に優れている子どもに、「単語リスト」を学習してもらいました。視覚記憶に優れている子どもには、「単語を絵で示したスライド・ショー」を、聴覚記憶に優れた子どもには、「単語とその定義を収録したテープ」を聴きながら学習してもらいました。

二人とも、自分の認知スタイルに合わせた学習をしたのです。

しかし、テストで問われたのは、「単語の意味」であり、テープに収録された音声が使用されたわけでもなく、スライド・ショーの絵も利用されませんでした。結果、

「『意味』が重要になる状況ではうまく活用できない。」

ということになってしまったのです。

もちろん、役に立つ場合もありますよ。

例えば、視覚学習者であれば、都道府県の形を細かいところまで記憶することができます。聴覚学習者であれば、外国語のアクセントをばっちり覚えることができるでしょう。

ここで、指摘されていることは、認知スタイルに合わせた学習をすることで、有利に学ぶことができる場合もあるが、

「一般的なテストには直接的に生かされないこともある。」

ということなのです。

▶教師や親に求められること。

では、学習を教える立場にある大人はここから何を学ぶべきなのかなのですが、簡単にまとめると、

「『どのような認知スタイルに合わせて教えるのか。』ではなく、その授業で子どもたちに『どのような学びをしてほしいのか。』の視点で授業をつくっていけばいい。」

ということです。「いろいろかき回しておいて、普通の着地点なのね。」とがっかりされた方すみません。

しかしですよ。多様な子どもたち一人ひとりの認知スタイルに合わせて学習を進めていくことは実質不可能です。でも、大人がしっかり考えていかなければならないのは、やはり、

「その授業を通して、子どもに何を学んでほしのか。」

という学習の核の部分です。その核が明確なのであれば、

「どのような学び方が向いているのか。」

という、一番その内容に沿った学習方法が導き出されるはずです。子どもの認知スタイルに合わせていくよりも、

「学んでほしいことが一番生きる授業方法。」

を追究していく方が、結果的に子どもたちの学びにつながるのです。

▶まとめ。

本記事では、「認知スタイルを気にしすぎちゃだめ!」という内容をまとめました。「教師の勝算」の中では、驚くことに「90%の教師が、視覚・聴覚・運動感覚理論に囚われている。」と書かれていました。

まぁ、僕ももれなく90%側の人間だったのですが。そして、怖いことも書かれていました。

それは、

「認知スタイルの決めつけ。」

が行われてしまうということです。

例えば、ある図工の時間。昨日行った遠足の絵を描いている子どもたち。描いている様子を見回っているうちに、ある子の絵に目を引かれました。

「なんと、細かいところまで再現できていて、とっても上手だわ。」

と感じたあなた。あなたの頭の中には、「視覚」、「聴覚」、「運動感覚理論」が渦巻いています。そうです、

「きっと、この子は、視覚学習者なのね。」

というみとり。これが危険なのです。

ウィリンガム先生曰く、これは「確証バイアス」が働いた結果だということです。簡単にいうと、

「自分がもっている見方に子どもを当てはめてしまっている。」

ということ。ざっくり言うと「決めつけ」ですよね。

この「決めつけ」により、指導方法を合わせていくつもりで、実は「合ってない。」という状況にもなり得るのです。

「学習を充実させたい!」という願いを叶えたいのであれば、「認知スタイル」にこだわるのではなく、「授業の内容」にコミットしていきましょう!

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