アップル_パイ_完成-6_

上手にパイを作るには?

2015年8月5日(水)に始まり10月7日(水)にシリーズ6が終了した、イギリスの超人気テレビ番組「The Great British Bake Off」。
お菓子作りが得意なアマチュアたちがその腕を競う番組で、この番組で活躍した人物たちのなかには、その後、プロのベイカーとして活躍する者もいます。

昨年、2014年の「The Great British Bake Off」シリーズ5で優勝の最有力候補だった(と私は思っていた)Richard Burrもそんなひとり。
彼は、イギリスのフードマガジン「BBC Good Food」のウェブサイトで、以前、当ブログでもご紹介した、同じく「The Great British Bake Off」出身者であるJo Wheatleによる“上手にビスケット(クッキー)を焼くには?”同様、焼き菓子の悩みに答えるコンテンツに登場しています。
そのひとつがこれ。

上手にパイを作るには?
Baking SOS: How to rescue 10 common pastry problems by Richard Burr
http://www.bbcgoodfood.com/howto/guide/baking-sos-how-rescue-10-common-pastry-problems-richard-burr

ではでは、その内容をのぞいてみましょう。

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Q1. パイの底生地がべっちゃりしてしまいます。
A. 考えられる原因は3つ。フィリングの水気が多いか、焼きが弱いか、パイ生地が薄いかのいずれか。
フィリングの水気が多い場合。フルーツを使うパイによく起こります。それは新鮮な果物は水分をたくさん含んでいるから。一度火を通し、水気をとばしてからフィリングにするか、フルーツのジューシーさを生かす仕上がりにしたいなら、コーンスターチを加えるといいでしょう。
これは食事パイの場合も同様。これでいいかな、と思うより水気をとばす時間を若干長くすること。肉汁やホワイトソースには、小麦粉を加えてねっとりとしたフィリングに。真ん中にパイバードなどで穴をあけ、空気を逃すことも忘れずに。
サイズの小さなパイを作る場合はパイ生地は薄くていいのだけれど、大きなパイの場合は、それなりの厚みが必要。作るパイの大きさによって、パイ生地の厚さも変えること。

Q2. 焼き上がると、パイ生地が縮んじゃうんですけど。
A. パイ生地を作る材料のひとつが水。オーヴンに入れて、火を通すと、パイ生地に含んでいる水分が蒸発します。それがパイ生地が縮む原因です。パイ生地を作る場合、天候などに左右されるので、レシピをみると水分量は幅をもたせていることが多いのですが、なるべく少ない量に収めるようにするといいでしょう。そのためには、パイ生地を作るときに、水は少しずつ加えてください。
また、作ったパイ生地は使うまで冷蔵庫でしっかり冷やすこと。そして焼くときはオーヴンの温度は180〜200℃で。要は、基本に忠実に。そうすることで形をしっかり残すことができます。

Q3. パイ生地がぼろぼろになります。
A. まずは計量は正確に。Q2のパイ生地が縮む場合と逆に、水分が少ないことが原因です。加える水は冷水を。そして少しずつ加えてパイ生地の水加減を調整すること。
力を平均的にかけながらパイ生地をのばすことも重要で、最初はうまくいかないものの、慣れれば上手にできるようになります。

Q4. でき上がったパイ生地がかたくって。。。
A. パイ生地を作るときに力をかけすぎたり、まとめる時間が長くなって、こねてしまっているのが原因。肩の力を抜いて、軽くまとめるのがポイントです。

Q5. パイ生地がしぼんでしまいます。
A. 慌てないこと。パイ生地がオーヴンのなかで膨らみ層ができ始めたのを見ると、できた!と思いがちですが、この時点ではまだ焼き上がる途中です。決してオーヴンを開けないこと。あくまでレシピの時間に従うこと。

Q6. クロワッサンがサクサクではなくパンのように仕上がります。
A. 生地は常に冷やした状態で。そして7回以上折り畳まないように。バターの粒が小さくなり過ぎ、層がうまく作れなくなります。しっかりと膨らむまで発酵させることも重要です。

Q7. パイ生地をのばすとき、作業台にくっつきます。
A. 原因はバターです。パイ生地はバターの比率が高いので、気をつけないとこういったことは起こります。材料は常に冷やして使うこと。手も冷たいにこしたことはありません。作業台に小麦粉を軽くふってから、のばす作業にとりかかりましょう。

Q8. 私が作るカスタード・タルトはフィリングがかたいんです。
A. フィリングであるカスタードの水分が多いんじゃないでしょうか。オーヴンの温度が高いのも、フィリングがかたくなる原因となります。特に、カスタードの材料にコーンスターチを使わず、凝固させるものが卵だけの場合は、180℃より高い温度で焼かないようにしましょう。

Q9. 重石を持っていません。パイ生地を空焼きするのにいい方法はありますか?
A. 乾燥豆を使ってみては。小さいパイの場合はお米でもいいでしょう。

Q10. パイ生地の焼き上がりにムラがあります。
A. パイ生地をのばすときに、最初から終わりまで力を同じようにかけること。そうすると厚さも生地の性質も平均化されます。時間が許せば、パイ生地を焼く前に、一度冷蔵庫で冷ますといいでしょう。表面にもパイ生地を覆うものの場合は、ときどきオーヴンをチェックして、焦げそうになったら、アルミフォイルをふわっと軽くかぶせてください。

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パイ生地は、材料や手を含めて、冷たくしてからが鉄則ということ。そして、ここでは割愛しますが、パイ生地は基本、小麦粉、バター(油脂)、水というシンプルな材料で作るゆえ、パイ生地の構造や、それぞれの素材の性質、つまり化学的な側面を理解すると、対策が非常に立てやすいです。
Q8の重石の代替品、日本だと小豆と使うとすることが多いように思います。乾燥した豆を使う、というのは、イギリスも日本も発想が同じなんですね〜。

そうそう、肝心なことを。

イギリスでは練り込みパイ生地はショートクラスト・ペイストリー、折り込みパイ生地はパフ・ペイストリーと呼ばれます。


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