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 今日から新年度が始まった。
 施設でもさまざまなことが変わった。
 まずコロナ対策が緩和されたのと、職員の負担軽減の観点もあるのか、毎朝の検温と、朝9時に回ってくる健康チェックが無くなった。またマスクの着用も、推奨はしつつも個人の判断に委ねられることになった。
 毎朝体温を図らなくてもよくなったのは少し楽だが、それでも1年ずっとそうしてきたので、朝起きたら体温を図ることが毎日のルーティーンになってしまっているので、自分の体調管理のためにも続けようと思う。
 あとマスクももはやつけていないと落ち着かなくなってしまったので、これも今まで通り続けるつもりだ。

 話は前後するが、施設では年度末に4人の利用者さんが訓練を終えて退所していった。皆それぞれムードメーカー的な存在の4人だったので、何だか急に静かになってしまってちょっと寂しい。

 お別れがあったのは利用者さんたちだけではなかった。
 カラオケクラブや調理のプログラムを担当してくださっていた職員さんが退職されたそうだ。3月に入ったあたりからずっとお休みされていたのでもしかしてとは思っていたけれど、やっぱりという感じだった。
 さらに私の歩行訓練士でもあり、タイピングやワードなどの授業を担当してくださっていた職員さんが、この4月から職業訓練部に移動になった。個人的には意外過ぎて少しショックだった。

 「寄り添う福祉」の時代になりつつある今だからか、一昔前の訓練施設のように、プログラムもそこまでハードではなく、利用者にたいしてもあまり怒らず丁寧に接してくださる職員さんが多いと感じる中で、その職員さんだけは、良い意味で異色な存在だったと思う。
 歩行訓練はもちろん、その職員さんのタイピングやワードの授業はめちゃくちゃハードで厳しかった(もちろん良い意味で)。
 しかしその一方で、障碍当事者の気持ちもちゃんと理解してくれていて、プログラム以外の時間に話していて「あー、こんなことを思っていたのは私だけじゃなかったんだなあ」と思わされたことは多々あった。
 きっとこういう人がこれからの障碍者福祉を担う存在になっていくんだろうなあと思った。それだけその職員さんのことを密に慕っていたのだ。
 盲学校の先生や作業所の職員など、そのような人たちから今までブラックな体験をいろいろとさせられてきたため、障碍者に関わる健常者を信用できずにいた自分だったが、心から慕える職員さんに出合ったのはたぶん初めてかもしれない。
 その職員さんがいたことで、私自身はもちろん、他の利用者さんたちや授業に良い意味でのメリハリがあったように思う。今後そのメリハリが無くなってしまうと、授業などが悪い意味でドンドン緩くなってしまうんじゃないかと危惧しているぐらいだ。そういうことからも、その職員さんが抜けた穴はでかいと思う。
 まあ抜けたといっても部署が変わっただけなので、施設内の廊下や食堂、毎日の宿直や休みの日の日直でも合えるのだけれど。
 それでもやはり退所後の作業所への行き来や、借りた部屋からの歩行訓練はその職員さんがよかったなあ。

 と、そんな感じでこの4月から施設の体制がいろいろと変わった。
 寂しい気持ちや残念な気持ちもあるけれど、少しずつ慣れていくしかないと思う。

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