見出し画像

【求人募集】西粟倉村のエネルギーインフラを担う新しい仲間を募集しています!

こんにちは。株式会社motoyuの半田守です。motoyuでは、今年新たに西粟倉村の事業として始動した小型木質バイオマス発電、およびバイオマス熱エネルギーによる地域熱供給事業の専任スタッフを募集しています。

株式会社motoyuは、2020年末にこれまで西粟倉村におけるバイオマス事業の運営を担ってきた(株)sonrakuから事業譲渡を受ける形で、あわくら温泉元湯およびバイオマス事業の運営を引き継ぎました。今回募集するのは、後者のバイオマス事業を専任で担当していただくスタッフです。

これまでの熱利用に比べて発電はさらに踏み込んだ知識と経験が必要になるので、村とmotoyuが掲げる目標を達成するためには専任でとことん向き合ってくれる仲間が必要になります。

とはいえ、スタート時点で木質バイオマスの専門知識がなくても大丈夫です。事業自体の特徴でもありますが、各地域によって燃料となる原木の樹種や気候、発電機種が異なるため情報共有はしつつもそれぞれで成功パターンを見出していく必要があるからです。そのため現段階で正解はなく、その正解を追い求めていく探究心が非常に大切になります。

木質バイオマス発電の役割

画像4

発電した電気の用途は平常時と災害時の2パターンが想定されています。

平常時は地域熱供給のチップボイラーが設置してある熱エネルギーセンターと、地域の高齢者が利用しているデイサービスセンター2施設の電力として利用。

災害時は高齢者や身体障害者、妊婦などを受け入れる避難所となる診療所・健康管理センター・デイサービスなどの機能を受けもつ福祉施設へ電力供給。同時にこれらの施設に熱供給を行っているエネルギーセンター内へも電力供給を行うことで、受け入れ者の健康管理のための暖房機能維持や感染症予防のためシャワー等の機能維持を行います。

このように表には目立ってこない仕事ではありますが、災害時のインフラを整備するという大切な役割を担います。

日本で最先端の挑戦

画像1

「木質バイオマス発電」と聞くとネガティブな印象を受ける人も少なくないと思います。というのも、電力の固定価格買取制度(FIT売電)を目的として大型のバイオマス発電所を建設する企業が後を絶たず、それに伴い原料となる原木を大量に仕入れる必要から持続可能でない森林伐採や海外から大量の原木輸入をするなどして、持続可能どころか環境破壊を行なっていると問題視されているからです。

一方、今回西粟倉村で導入した発電機は出力50kWの超小型。1年間の原木使用量は約600tであり地域の間伐材で十分賄える量になっています。これまでの熱供給の取り組みもそうですが、西粟倉村では常に持続可能な観点から設備規模を想定しており、林業の一環としてのバイオマス利用を継続しています。

画像2

(写真:西粟倉村木質バイオマス事業担当の白籏さん)

しかしながら、木質バイオマス発電は規模が小さくなるほどに運転が難しくなる現実があります。欧州では出力50kW以下の発電機の成功事例は山ほどあり今では一般化されていますが、日本において成功事例はほんのわずか。技術が確立していない分野の一つです。

原因は気候と樹種にあります。欧州はホワイトウッドと呼ばれる松系の樹種が主流で質量が大きい(密度が高い)のが特徴です。一方、西粟倉村をはじめ本州では杉や檜といった針葉樹が主流であり、これらは水分が多く質量が小さいのが特徴です。この問題は熱利用の分野ではずいぶんクリアしてきましたが、発電となると設備にも運転者にも高い技術が要求されます。また、島国である日本の気候は湿度が高くこれも成功率を引き下げる要因となっています。

しかし、欧州のメーカーが日本仕様に機械を調整したり、日本でも探究心をもって運転を試みる企業や個人が現れたりと、各地で徐々に成功事例が出始めました。国土の3分の2を占める森林を有効活用することは今後日本のエネルギー自立に大きく貢献しうるとともに、地域でエネルギーを地産地消させる取り組みとしても大きな意味を持ちます。

画像3

(写真:sonraku井筒氏と共にフィンランドの発電機メーカー視察した時の様子)

百年の森林構想を掲げる西粟倉村でも持続可能な森林活用の一環として、小型木質バイオマス発電に挑戦することになりました。今回の募集ではその一翼を担う人材が求められています。専門的な技術は必須条件ではありません。もちろん専門知識を有していると非常に心強いですが、粘り強く、そして探究心をもって取り組む姿勢の方がよっぽど大事です。一人で背負うのではなく、私たちmotoyuのメンバーや西粟倉村役場の皆さん、そして西粟倉百年の森林協同組合の方々など沢山の仲間と一緒に挑戦する事業です。まずはこの事業の可能性に希望を見出していただけたらうれしいです。

そして、ここで身につけた技術は間違いなくこれからの日本で重宝されるものとなります。ローカルキャリア構築の一つとして考えていただくのもいいと思います。

これまでの取り組み

画像5

西粟倉村では発電事業に至るまでに様々な取り組みをしてきました。スタートは2015年から実施している温浴施設への熱供給事業です。ここでは木質ボイラーのなかで最も導入コストの低い薪ボイラーを採用し、燃料は地域の間伐材を仕入れてつくる薪で賄っています。ちなみに、この記事を書いている半田は2018年から地域おこし協力隊として薪事業のマネージャーを担当しました。就任した当初は薪事業は赤字でしたが、生産効率を高める工夫をして人件費を削減。および事業の継続と灯油価格の上昇を理由にお客様に価格交渉をするなどして、現在では薪事業単体で成立する状態で維持できています(2020年度)。私が協力隊時代に書いたnoteに当時実行したことをまとめていますので是非ご一読ください(与太話はスルーしてください)。


画像6

(写真:熱供給量を計算する半田)

また、2018年からは地域熱供給事業がスタート。地域熱供給とは、一般的な熱供給形態である『設備』と『熱源施設』を1対1でつなぐスタイルではなく、ボイラーからつくられたお湯を熱導管を通して複数の施設に送り込み、熱を供給する方式のことです。バイオマス先進地である欧州ではずいぶん普及している熱供給の方法です。西粟倉村ではこの形態を採用して、役場や図書館、小中学校を含む7つの公共施設に暖房や給湯に使う熱を供給しています。

地域熱供給事業においても事業主体である西粟倉村役場の担当者様を中心に数々の問題を一つずつクリアしながら、ようやく安定運転を実現できています。もちろん、導入時期から想定通りうまくいくのが理想ですが、再生可能エネルギーの中で唯一燃料を必要とするバイオマスはなかなかすんなり稼働してくれないのが現実。繰り返すようですが、バイオマス施設を運営するには責任感と探究心を持って粘り強く正解を導き出していく姿勢がとても重要になります。私たちと共に未来のエネルギーインフラの形を模索していくメンバーを募集しています。

募集要領

職種  :施設運営、事業マネージャー

雇用形態:地域おこし協力隊(企業研修型)

応募資格:3月末までに就任可能な人
     普通自動車免許(AT限定可)
     基本的なパソコンスキル
     地域おこし協力隊の出身地要件を満たせる人(要件確認

活動場所:岡山県英田郡西粟倉村

活動内容:①木質バイオマス発電所の運営
     ②地域熱供給事業の民営化の仕組みづくり

就業期間:地域おこし協力隊制度による採用
     ※最長3年間の任期。任期終了後は正社員登録を予定
     ※地域おこし協力隊期間中は個人事業主となります。
     ※詳細は面接時にお伝えします。

給与  :基本給230,000円〜(額面所得)
     ※経験・スキル、貢献度を考慮して相談の上決定

福利厚生:活動に必要な資格支援
     業務に必要なものは支給または貸与
     ※個人事業主となるため国民健康保険への加入の必要あり

休日休暇:週休二日。年間100日程度。

人物像 :責任感。探究心。粘り強さ。挑戦心を持って仕事に打ち込む人が沢山いるこの村では、多くの仲間ができると思います。

その他 :応募締め切りは2月末までとします。

最後に、代表から一言

画像7

最後までお読みいただきありがとうございました。私自身西粟倉村で3年間木質バイオマス事業を担当した中で、他ではできない貴重な経験をすることができました。

一つは小さくとも事業を作り上げていく経験です。西粟倉村に来る前は埼玉県でグッズメーカーに勤務していましたが、一事業を任されてビジネスモデルを整えて収益をつくっていくという経験はここにきて初めてしたことでした。原木仕入方法や薪の製造・乾燥方法など、知見のある人に教えていただき一つずつ課題を解決していく。事業全体の収支を改善するためには細部への工夫が必須でした。また、自分より年配のスタッフに動いてもらうためにどう立ち振る舞うべきか毎日考えて行動していました。今、経営する側に立ってわかりますがこの時の経験が本当に活かされています。

おそらく、これから仲間になっていただく方も同じような経験をされると思います。その時はぜひ一人で悩まずに私や地域の先輩に相談していただけたらうれしいです。ら西粟倉村には頼りになる人たちがたくさんいます。一緒に頑張りましょう。今後の人生にとって素晴らしい経験になるはずです。

また、西粟倉村という村は人口1400人のうち1割が移住者と言われています。その中には「生きるを楽しむ人」が本当に多く、その人たちと刺激的な毎日を送れているのは紛れもなく人生の財産です。もちろん、バイオマススタッフの仕事もやりがいのあるものではありますが、ぜひ村での生活も一緒に楽しんでいただきたいです。狩猟をして自分でお肉を手に入れる経験。野菜を育てて人に分け与える幸せ。そんなことをこの村では教えてくれます。田舎で暮らし幸せを噛み締めてください。

エールになっているかわかりませんが、少しでも前向きに捉えていただけたなら幸いです。ぜひ、私たちと一緒に西粟倉村の未来をつくっていきましょう!

ご応募はこちらのフォームより受け付けております。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfpwkXHxeCFQpjabuYKQQZ5C8oqmLKKTmhqGzTDRckrsEQQ4w/viewform?usp=pp_url

半田 守|株式会社motoyu代表取締役|合同会社MAMO代表社員|岡山県北・西粟倉村で"焚き火のできる温泉宿「あわくら温泉 元湯」"を運営。レスリング経験を生かした専門ブランド「MAMO」を企画し業界No.1を目指す。薪づくりからモノづくり、場づくりまでやる田舎資本主義の挑戦者

あわくら温泉元湯:https://www.mamo-wrestling.com/
MAMOレスリングウェア:https://mamo.style/
twitter:https://twitter.com/handamamoru

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?