仕事つくる#11 商品をつくり、思いを込める(小さなメーカーのストーリーブランディング-前編)

やあ、私です。
昔から馴染みにしてくださっている方はご存知かと思いますが、私は日本史が大好きです。中でも幕末などのいわゆる動乱期が好きなんですよね。何に魅了させられているかというと、幕末では佐幕派や倒幕派いろんな立場の若者が登場しますが、共通して皆が日本の未来を真剣に考えていたということです。一男子として身が引き締まりますな。

その派生といっては何ですが、実は関東にいた頃は着物を趣味でよくきていました。着物で合コンにいったこともあります(笑)。最近はバタバタでなかなか着る機会がないのですが、仕事が落ち着いた暁には田舎でも着物をたしなみたいと思っている次第でござります。


若干25歳 新宿にて

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さて、本タイトルでは前編・後編に分けて自分がつくっている商品にぶち込んだ思いを書いていこうと思う。前編では込めた思いについて、後編では思いの届け方について記していくつもりだ。

やはりこの話題になると感情が露呈し、ついつい熱くなってしまいますな。


そもそも商品をつくったわけ

まず、私がつくっているMAMOというブランドを紹介させてほしい。MAMOは2018年1月1日に開業した、レスリングシングレットを専門に取り扱っているブランドだ。ブランドといっても名ばかりで私のニックネームをアルファベットにしただけの何の捻りもないものである。手作りのホームページがあるので、のぞいてみてください。

シングレットとは、アマチュアレスリング選手が試合の時に着用を義務づけられているスーツのことだ。今では吉田沙保里選手や伊調馨選手など国民栄誉賞級のスーパースターがレスリング界から続々と生まれているので、皆さんも一度はみたことがあるだろうか。

シングレットを着用する大学生

豆:昔は赤一色、青一色などシンプルなデザインがほとんどだったが、今では昇華転写という技術が発達してフルカラー印刷が可能になったことで、チームカラーを全面に表現した個性的なものが流行している。

なぜ、シングレットをつくることになったかというと、自分で商いをしたかったこと、それから拠点を地方に移すにあたり自分で何かしなければ食べていけなかったことが理由だ。そして前職が水着をつくっているOEMメーカーだったためその技術を応用してできることをやってみたというのが全ての始まりだった。狙ってつくったわけではなく、生活するためにどうしようか考えた末の結論だったというわけだ。


商品に思いをのせるきっかけ

開業して半年ほどは、シングレット作成のご相談があったら、入稿フォーマットにお客様ご希望のデザインをのせて、ただただ販売をしていた。これだけでもオリジナルデザインでシングレットをつくりたいというお客様の要望に応えているのだから何も問題はなかった。しかし、せっかく現役選手に直接届けられるモノを持つことができたのだから、自分が現役のときにもっとこうしていればよかったという後悔を、今戦っている現役選手の皆さんにぶつけてみたいと思うようになったのがきっかけである。


現役選手に届けたい思い

私がもっとも現役時代に後悔したことは、自分のために戦っていなかったということだ。厳しい指導者の顔色ばかりを伺い萎縮している自分がそこにはいた。本当に情けない。ただ、スポーツで高みを目指すためには練習の強度が要求される。自分自身で限界まで追い込める人はごく稀で、普通の人間がトップレベルに喰い込むためには他者からの追い込みが必要不可欠だと感じる。したがって、指導は厳しくあって然りだと私は考える。


その厳しさに依存するのか、それを達観視して一つのツールと捉えられるかは選手の心構えにかかっている。私は依存してしまった人間だったから、最後の最後で自分のために戦うことができなかったのだ。

この思いをもう少し噛み砕いた文章そのものがブランド理念になっているので、一度覗いてみていただけるとうれしい。

この悔しさを今戦っている現役選手に背負って欲しかった。そしてこの思いを発信することで、マットから離れた今の自分に同じことを繰り返すなと言い聞かせているつもりだ。

しかし、商品作成を進めるにあたりやり取りしてしてくださっているのは選手ではなく、ほとんどが監督である。そのため、私は選手自身にこの思いを届ける方法を考えなければならなかった。受注生産の業界にいた私はその方法がわからず一からブランディングの勉強をすることになるのだが、この話題については後編に譲りたいと思う。

つづく。

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