「公共図書館」との出会い
なぜ「文庫」なのか。
その理由を少しずつ書いたりもしたいと思います。
幼い頃、私の身近にあった図書館は、公共図書館の分館。
規模も小さく、薄暗い。
長机がひとつ、絵本コーナーにベンチソファーが2つ。
ブラウン式の小さなカードを2-3枚握って、時々母に連れていってもらい、狭い図書館を何周かするのが私の図書館の使い方でした。
絵本コーナーこそ、低かったものの、後の棚は低い天井いっぱいに立っていて、子どもには、踏み台を使っても上には届かないような本棚。
その本棚を隅から隅まで順番に眺めるのです。
辞書や百科事典の迫力、難しい漢字とキャッチーな言葉が入り交じった哲学や実用書、図鑑や写真集、料理に手芸、とても読めない専門書。
そして、数々の文学。絵本をぐるっと見てから、YA(ヤングアダルト)コーナーで読めそうな本を探す。そして、大人の文学コーナーは必ず2周以上。
その頃は読めなかったけれど、題名がわかるものはその物語を想像したり、題字の雰囲気で怖そうだなと思ったり。
図書館って同じところに同じものが並んでいる。だから、ある時、毎回見ていた、あの高いところにあった分厚い本が無くなっているのに気づくのです。またある時は、棚の色味が変わっていて、真ん中にあった真っ赤な本が無くなってるのです。
それは、きっと誰かが借りてる。
単純にそれだけのことです。
誰かがここにきて、あの本を手にとって、またしばらくたつと、それがまたもとに戻ってくる。
私には、それが、本が誰かと旅に出て戻ってくるように感じました。図書館が本の家みたいだなって。この本は、誰かに出会いたくて、旅に連れていってほしくて、ここにいるって。
いつのまにかそう感じるようになって、いつのまにか私にとっても図書館は自分のひとつのおうちみたいな感覚になっていたのです。並ぶ本に囲まれること、本を読んで違う世界に旅立つことも、私にとっては大事なことになっていきました。
本屋さんとは違う、人の手を経ていくからこその魅力。それが図書館にはありました。
そんな小さな図書館が私の始まりです。
はんぶんこ
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saitama / fujimi / japan
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