見出し画像

日常を創っていく。

もう随分と前、本当に何年も何年も前のことですが、
宮城県の石巻市という所に行きました。

なぜそこへ行こうと思ったのか、その理由は忘れてしまったのですが、
ともかく行きました。

ご存じの通り、10年ほど前の震災で大きな被害を受けたところですね。

大きな揺れにも襲われたでしょうが、津波の被害もあったと思います。


震災からはすでに数年経っていた時だったと記憶しています。

海に近づくにつれて、本当に何もない土地が広がっていました。

地震の揺れなのか津波なのか、それともその両方なのかはわかりませんが、
ともかく震災で家屋がすべて住める状態ではなくなってしまった。
そして撤去された後だったんでしょうね。

でも車から見た風景で覚えているのは、土木工事に使う重機がたくさん動いている風景です。

もしかすると造成工事をしていたのかもしれません。

だとするとやはり津波で流されてしまったのでしょうか?

まぁともかく、そんな状態の道を進んで、
たしか朝市をやっていて、そこで何か食べました。

それまでの何もない空間からは想像できないくらいの、
たくさんの車と人が、そこにありました。

たしか平屋の建物があって、
そこにお魚屋さんとか個人で営んでいらっしゃるような飲食店があって、
お店の方もお客さんも、みんなどこか活気があるように感じました。

とはいっても、気分が沈んでどんよりしているような方がやっている飲食店に進んではいるかというと多分そんな方は少数派でしょう。

中には無理をして元気に振る舞っている方もいたかもしれません。

何年も経っていたとはいえ、住んでいた家や地域の色々な部分が、日常から大きくかけ離れていく様子を、ただ見ていることしかできないというのは、
きっとつらかったと思います。

その中で生活をしていかないといけないわけですからね。

そんな状況でも働かなくてはいけない。

仕事が楽しいと思える肩ではない限り、ツライでしょう。


そこで私は何か食べましたが、何を食べたか全然思い出せないんです。


でもお魚じゃなかったような気がします。

そういう所って、大抵勝った魚をそのまま網に乗せて焼いて食べることができる場所があって、そこにもあったと思います。

でもそこで食べてたら覚えてると思うんですよ。

遠出して数時間前に水揚げされた水産物をそのまま自分の手で焼いて食べるんですよ?

そんな経験をしたら覚えているはずですけど、記憶にないので、
多分気分じゃなかったんでしょうね。

でも何かを食べた。

ここまで書いても思い出せないなんて……
失礼ですけれど、多分お店も味も普通だったんでしょうね。


その場所の1つにはお土産屋さんがありました。

干物とか手土産に渡すお菓子とかそういう系のものが売っている場所です。

観光地の道の駅みたいな感じです。

そこでも多分何も買わなかったんでしょうけど、
津波の映像がテレビで流れてました。

恐らくですけど、
こんなことが起きて、でもそこから頑張ってここまで復興しましたよ!
テキなことを言いたかったのだと思います。

それを非難してるわけじゃなくて、
純粋にステキなことだと思います。

計り知れないご苦労があったでしょうし、
心無い言葉を投げかけられたこともあったことでしょう。

それでも生業を続けるというのは、
少なくともフラフラして、何も自分ではできない私からすれば、
尊敬しかできません。

これは石巻の人々だけではありませんが、
震災で被害を受けた地域というのは、
その傷跡を、その歴史を背負ったうえで、
これから先多くの困難な出来事に対処していかなくてはいけません。

少子高齢化で人は減るでしょうし、
物価は何もかも上がってますからね。

特に東北地方ですから、そのスピードはきっと想像以上でしょう。


とまぁここまでつらつらと昔体験したことを書いてきたわけですが、
なにが書きたかったかというと、
記憶は朧ろげでも、
震災で被害を受けた地域に行ったことは覚えてるということです。

歴史を未来につないでいくって、実はすごく難しいことです。

大学で歴史を専攻するような方はともかくとしても、
ほとんどの方にとって歴史は退屈に感じられるものでしょう。

ほとんどの方は眠くなりますし、
実際寝ている人もいます。

高校の歴史の授業とか。

学校という場所を離れると、歴史という存在にはもう二度と近づかないという方も多いでしょうし、
歴史について
「過去を振り返らない」「ほこりをかぶったもの」
なんていうように形容する方もいます。

それくらい、過去の出来事という形に残しにくいものを
未来へ紡いでいくのは大変です。

お金にもならないですしね。


それでも、残すことはできます。

工夫は必要ですが、できます。


決して歴史に名前が残るようなことはないであろう人々の努力で、
今があるということを忘れたくはないですし、
それに気付ける人が増えればいいと思います。


※画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。
ステキな画像をありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?