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道端の幸せ

朝の風景

この前道を歩いていた時のこと。
そこは住宅街だけど,そんなに人は歩いていない。まだ朝で多くのカーテンが開いていなくて,町全体がひっそりしていた。
私は「今日は天気が良くなりそう」と思いながら、目的地に向かっていた。

「シャッッ!!!!」

視線の先にあった家のカーテンが,突然音を立てて開かれました。その窓はとても大きくて,ほぼ床から天井まで窓枠。だから,カーテンが開いた瞬間に開けた人やお家の中がよく見えました。
それだけなら,なんてことない日常です。

おばあちゃん登場

カーテンを開けたのは小柄なおばあちゃん。
ここまで記憶に残った理由は,カーテンを開けたおばあちゃんが本当に満面の笑顔だったから。

「カーテンを開け,外をみて微笑む」といった様子ではない,本当に満面の笑顔。
顔全体に艶めきがあり,目は輝いていて頬は桃色。口は,今にも「わぁ~~~~!」と漏れ出しそうに大きく開いていた。あまりにも素敵な表情で,よく印象に残ってる。
そんなおばあちゃんに一瞬目を奪われていたら,目が合ってしまった。

焦りました。

「この子,なに人の家を見ているのだろう」と思われたらまずい,と思ったんです。不審者じゃないことを示すために,目を逸らそうとしました。

それでも,さらに,

しかしおばあちゃんは,満面の笑顔を全く崩しませんでした。
自分に気付いていないのかとも思いましたが,バッチリ目が合っている。その上で,最高の笑顔を向けてくれている。

その素敵な顔に私は思わず笑顔になってしまい,ぺこり。と会釈で返しました。

すると,そのおばあちゃんは更に笑顔になって,ぺこり。と返してくれたんです。

地面から私の身体の中に,何かがぶわっと入ってきた気がしました。
力がみなぎってきて,「これだけで,今日はもう素晴らしい日だ」と心の底から思えました。
「おばあちゃんにも、今日良いことがあるといいな」と心から願いました。

一瞬の繋がり

ちっちゃいやつらによって生活が様変わりしてからというもの,こういう繋がりが減ってる気がする。
知らない人とふと出会って,良い時間を一瞬共有して,でもその後何かあるわけでもない,みたいな繋がり。
出かける機会自体が減っているし,わざわざ時間を作って対策しながら会う人は,自分と濃いつながりの人がほとんど。だから,しょうがないとは思う。

だからこそ,たまに来てくれるこういう時間を大切にしたい。それで私がもらう快さを、人にも与えられるようになりたい。

次は,どんな繋がりが持てるかなぁ





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