「QUEEN ROCK MONTREAL」を母と新宿で。
2月22日(木)、猫の日。
午後からわたしは、母と新宿へ繰り出した。お目当ては、22〜25日の4日間限定で公開される映画「QUEEN ROCK MONTREAL」。1981年にロックバンドのクイーンが、モントリオールで開催したライブ映像が映画のスクリーンで観られると知り、1週間前にチケットをとったのである。
チケットをとるまでにいろいろ悩んだ。チケット代ひとり2200円。一般の映画より料金がお高い。正直そんな余裕をかましている状況下にないのだ。そもそも新宿まで母は出向けるのか。電車で座れたらいいが、混雑していたら…と考えたら不安でたまらなかった。そして天気。雪が降る可能性もあるとなると、更に足もとへの不安が募る。
行きたい気持ちがあっても「行きたいねえ」で流れるかと思いきや、「行こうか!」と大きな決断をするかのように母が口にした。
以前「もらい泣きからの年明け」という記事に、2018年「ボヘミアン・ラプソディ」を観た母が一時的に体調を回復させたと記した。それを思い返せば2200円なんて安いくらいなのだ、本当は。しかも「IMAX」とかいうシステムが導入されたスクリーンで観られるのだ。
元気になれるなら、安いもんさ!といざスマホからチケット購入を進めていったところ、2200円に「IMAX®レーザー 追加料金」としてプラス700円の値段が表示され「ああ、母さん!!」と叫んでしまった。未知なるIMAXを甘く見ていた。しかし「行く」と決めた心は後戻りできない。仕方ないよ、IMAXなんだもん。ってことで、22日(木)の席を確保したのであった。
向かった映画館は、「TOHOシネマズ 新宿」。
歌舞伎町にある、ゴジラが顔を覗かせている“あのビル”内にある映画館だ。
映画館内は混雑していた。始まる時間の40分くらい前に着いたのだが、数少ない腰かけられる椅子は空いておらず。母の足腰が心配になるも、「立っていられる」との返答が。すごいなと思った。
実を言えば、日が近づくにつれわたしは少し面倒になっていた。だから当日の朝「(楽しみなことがあるのは)久しぶりだねえ」と口にしていた母に申し訳なさを抱いた。
結果的にこちらの心配はすべて杞憂に終わった。何ならいつの間にか、わたしより歩くの速くなってない?と感じたし。
「楽しみ」があるとないで、生き方は大きく変わる。不安材料を吹き飛ばすだけの力が働くのだから、「楽しみ」を母にはもっと見つけて味わってほしい。
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肝心の観に行った「QUEEN ROCK MONTREAL」はどうだったかといえば、サイコー!の一言だった。
映像の美しさと音の臨場感。ベース、ギター、ドラム。楽器の音も歌声も身体の芯にジンジン響く。全身でライブ会場を体感している感覚だった。これがIMAXか!
ただやはり映画館だから、どんなにスクリーン上でクイーンと観客が一体化し盛り上がっていても「ど、どんな感じで観たらいいのかしら…」と最初は戸惑った。
曲が終わるたびに小さく拍手をしているひとや足でリズムをとっているひとはいたが、応援上映ではないからさすがに「うをうぇーーーい!」とは取り乱せない。
でも、覚醒した。途中からわたし、覚醒しましたわ。夢の世界にいる気分になった。鳩なみに小さく首を振りつつ、心はノリノリだった。
2018年の映画タイトルにもなっている「ボヘミアン・ラプソディ」は、オペラ部分を生では披露できない。ゆえにその間だけステージから4人は姿を消すのだけど、照明の演出が見事で再度4人が姿を現したときは興奮で絶叫したくなった。
カッコよかった。4人とも力がみなぎっていた。激しかった。ロジャー・テイラーは見ている方が失神しそうなほどだった。
1981年。まだわたしは産まれていない。自分が存在する以前確かにあった時間と空間が映像に残されていて、それが映画館で上映されるのってどれだけの偉業なのだろう。
クイーンの歌にある「The Show Must Go On」。あの歌をはじめて聴いたとき、鳥肌が立った。魂が込もってる、と。怖いくらいだった。フレディ・マーキュリーがどんな人物なのか、顔なら知ってるくらいのころだ。
当初4日間限定だった「QUEEN ROCK MONTREAL」は、2日間追加上映されることが決まったらしい。また、フレディ・マーキュリーのドキュメンタリー映画「フレディ・マーキュリー The Show Must Go On」も現在上映されているので是非。
●「QUEEN ROCK MONTREAL」
●「フレディ・マーキュリー The Show Must Go On」