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腰に小爆弾

昨年の秋、愛犬三郎を連れてドッグランに行った帰りの車の中で、それは突然やってきた。

夫が運転する車の助手席に座っていると、左太もも後面にビリビリとした痛みが走った。「あれ?なんだろう?」と思った途端、それが激痛に変わった。

それまでにも足がつることはたまにあったけれど、この時の痛みはいつもと違い、電気が走るような痛みが1分ほど続き、治まったと思うとまたビリビリがやってくる。痛みをこらえるから話もできない。

それからは、起きていても寝ていてもそのビリビリは突然やってきて、その都度痛みに悶えた。さすがに怖くなって3日後には近所の整形外科に受診した。

数年前にもギックリ腰で受診したことがあったクリニックだったので、その時の画像と比べることができ、第4と第5腰椎の間以前より狭くなっているということで、椎間板ヘルニアの疑いと診断された。

疼痛治療剤が2週間(+2週間)投与され、しばらくするとあのビリビリは起きなくなった。しかし、「また痛みが出だしたら、その時はMRIを撮るため大きい病院に行かなきゃね。」とドクターからのご忠告をいただいた。

私が初めてギックリ腰を起こしたのは、22年前、名古屋から富山に引っ越した翌日だった。縦長の段ボールの底にあったものを取ろうとして、深く前傾して起き上がった瞬間、息が止まるような痛みに襲われた。

起きていても寝ていても強烈な腰の痛みに、「ギックリ腰ってこんなに痛くて辛いんだ」ということを初めて知った。

それからも何度か酷いギックリ腰を起こしたことがあるけれど、今考えてみると、引っ越しや退職など、環境や生活の変化の時に起こすことが多い。私としては心機一転、新たな生活に期待を抱いていた時期だと思うのだけれど、自分でも気付かないうちになにかプレッシャーのようなものを感じ、身体は正直に反応していたのかもしれない。

でも、先に書いた左太もも後面のビリビリの痛みは、ギックリ腰とは様子が違う。筋力の低下、姿勢の癖、そして何十年も使っているこの身体も少しずつガタがきているようだった。

この冬は3回しかスノーボードに行けなかったのだけれど、3回目の時はフワフワのスノーパウダーで、目一杯楽しもうとウキウキしながら滑り始めるも、腰の違和感があって踏ん張りがきかなかった。

若い頃のように、無理は利かなくなってきているみたい。

それでもやっぱり冬はスノーボードを担いで雪山へ行きたいし、孫ができたら一緒に滑りたい。私の目標は、5年ほど前に長野県の栂池高原スキー場で見かけたおばあちゃん。小柄なおばあちゃんはキュートだったし、上下黒のウエアに、ヘルメットをかぶり、スキー板を担ぐおばあちゃんは輝いて見えた。

それと、八方尾根スキー場の頂上から滑り降りてきた私の親世代くらいの方々。急勾配のゲレンデを颯爽と降りてきた皆さんがゴーグルをあげたときに見せた表情も輝いて見えた。

幾つになっても身体を使って楽しめることは続けたい。スノーボードだけでなくフラも。腰には小爆弾を抱えているけれど、この腰とも上手に付き合いながら、程よく筋力をキープし、姿勢良く過ごしていこうと思う。

歳を取っても、自分の身体と折り合いをつけながらできることに取り組んでいくことで、人生を豊かなものにしていきたい。




ヘッダー画像はvolmoto (ぼるけーのさん)のイラストをお借りしました。ありがとうございます。

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