見出し画像

プリン・ア・ラ・モードに会いにゆく~No.15「ホテルニューグランド ザ・カフェ」~

2018年12月13日訪問

ついにこの日がやってきた。プリン・ア・ラ・モード生誕の地、横浜のホテルニューグランド。その1階にあるザ・カフェ。
難波里奈さんの著書「純喫茶とあまいもの」に載っているプリン・ア・ラ・モードのお店は5店。パーラーキムラヤ(No.2)、タカセ池袋本店(No.7)、ヘッケルン(No.5)、アンヂェラス(No.3)、そして今回のザ・カフェである。今年中に5店全部に行くのが目標だったので、師走の忙しないスケジュールの谷間を見つけて横浜に向かった。前日に飲んだお酒との相性が良くなかったのか、朝から頭痛。その上、電車があちこち遅延しまくっていて心が折れそうだった。しかし、結論から言うと頑張って行って本当によかった。

1927年開業の老舗ホテルの本館。この赤い屋根?がついているところが「ザ・カフェ」。

全席禁煙のゆったりした空間。開店直後だったので空いていた。お一人様なのに窓際の四人席に通していただけた。

事前に写真で見て知っているはずなのに、思わずため息が出てしまう。なんてキレイなのだろう。このホテルは戦後GHQに接収されており、その際に滞在していたアメリカ人将校達の妻であるご婦人方に喜んでもらおうと生まれたのがプリン・ア・ラ・モードだった。ホテルニューグランドの公式HPによると『お料理好きの奥様から、アメリカの有名なお菓子学校の教科書をいただき、 それでいろいろ勉強したり、サジェスチョンを受けたこともあった』と、ある。戦争で負けた相手国の方であろうと、料理で喜んでもらいたいと最善を尽くされた当時のシェフの方々には本当に頭が下がる思いである。その料理への愛情と情熱のおかげで、ドリアやナポリタン、プリン・ア・ラ・モードなどの洋食は今日まで日本の食文化にしっかりと根付いたのだ。

目の前には山下公園の緑と海。プリンのカラメルソースがほんのりと苦い。フルーツもアイスも生クリームも。全部おいしくて一口ごとに自然と笑みがこぼれてしまう。多分完全に怪しいおばさんだが、気にしない。途中、コーヒーのお代わりはいかがですか?と尋ねられた際に味に集中するあまり「あっ、い、今はまだ大丈夫です」と完全に挙動不審者だったが気にしない、気にしない!ここのプリン・ア・ラ・モードにはプルーンが添えられているのだが、これが!今まで私が食べたプルーンは一体何だったのか?と思うほど美味しかった。伝統のレシピでよく煮込まれたプルーン。瓶詰にして販売してくれたら絶対に人気商品になると思うのだが。

このコルトンディッシュの美しさ。しっかりと安定感があるので、プリンやアイスクリームを食べている時にぐらついたり動いたりしない。

この美しいガラスの曲線をしばし指でなぞる。心が透き通ってピカピカになってゆく気がする。汚れっちまったどす黒い哀しみに、コルトンディッシュの輝きが今日も優しく降りかかる。なんのこっちゃ。お店を出て、ホテル内を少し散策。

どこを撮っても美しい。この眼で見ることができて本当に良かった。

★ホテルニューグランド ザ・カフェ
神奈川県横浜市中区山下町10 ホテルニューグランド本館1階
最寄り駅:みなとみらい線元町・中華街駅

貴方のサポートが、プリン・ア・ラ・モード保全運動(?)の力になります。 次は貴方の街のプリン・ア・ラ・モードに会いにゆくかも?!