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プリン・ア・ラ・モードに会いにゆく~No.3「アンヂェラス」~

2018年8月31日訪問

眼を手術してからも何とか続けていた派遣仕事が7月末で契約満了。子供が夏休みに入ったこともあり、しばらくはのんびりしようと決めていた。今年の夏はとても暑かった。生まれて初めて軽い脱水症状を体験した。冷房の効いた建物と外を出入りするだけだから大丈夫と思っていたら、突然両足がつって動けなくなってびっくりした。

そんな酷暑の中、発売された難波里奈さんの著書『純喫茶と甘いもの』に載っていた浅草のアンヂェラスに向かった。上野の国立東京博物館で開催されていた縄文展を見た帰りに寄るにはぴったりだと思ったのだ。このころから、何か都内で用事があるとその近くに良い純喫茶がないか探して寄ることにしていた。次の仕事をゆっくりとではあるが探し始めていたので、面接の度に「終わったらあのお店に寄って帰ろう」と自分を奮い立たせていた。

浅草は好きな街で、度々行っていたのであるが有名だというこのお店を私は今まで知らなかった。知らなかったことをとても後悔した。手塚治虫さんや池波正太郎さんなど、著名な人も通っていたという老舗喫茶店。1階では持ち帰り用のケーキがケースの中にずらりと並んでいる。この日は二階へ。もうすぐ昼食時という中途半端な時間帯だったので私以外には二組。窓際の席に座れたのはとてもラッキーだった。名物だという梅ダッチコーヒーも一緒に注文する。

水出しコーヒーに梅酒を入れる…?恐る恐る少しだけ追加して口に含む。今まで味わったことのない衝撃。梅酒の香りとコーヒーの香ばしさが鼻腔までふんわりと満ちる。暑い中歩いてきたせいももちろんあるだろうが、とても美味しい!昼間から酔ってしまうかな?と思いつつ梅酒を追加。名物になり、多くの人々を魅了してきたのも納得。メインのプリン・ア・ラ・モードを一口食べてまたもや衝撃を受ける。生クリームが美味しい。私は断然ホイップクリームよりも生クリーム派なのであるが、この生クリームはちょっと普段食べたことのない質感だった。家に帰ってから先述の『純喫茶とあまいもの』を再び開くと、お店の方のインタビューに「生クリームにはこだわっている」とあって、私の舌もなかなかやるじゃないか!と嬉しくなった。

メロンのカットが芸術的。昔は銀色の器に盛られていたらしい。期間限定でもいいから復活してほしい。

窓際の席から見上げた天井と壁の境目には微妙にアールがついている。圧迫感を和らげているのだろうか。

水のグラスのこの色も良い。このお店に合っている。汗をかいた様が外を強烈に照らしている夏の日差しを反射して本当にきれい。ずっと眺めていた。この時、漠然とした野望が沸き上がる。「家から行ける範囲で…とりあえず関東近郊とかでいいから色んなプリン・ア・ラ・モードを食べてみたいな」そう。へっぽこプリン・ア・ラ・モード愛好家は、この時(私の頭の中に)誕生したのである。

★アンヂェラス
東京都台東区浅草1-17-6 最寄り駅:東武スカイツリーライン浅草駅

貴方のサポートが、プリン・ア・ラ・モード保全運動(?)の力になります。 次は貴方の街のプリン・ア・ラ・モードに会いにゆくかも?!