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ゴヤの《ウェリントン公爵》という絵画は、ロンドンのナショナル・ギャラリーから盗難に遭っていたのですね。1961年のことです。
犯人は60歳のタクシー運転手、ケンプトン・バントン。その事実に基づいた映画です。

今のような警備システムではないとはいえ、そんなに簡単に盗めるものなの!?と不思議に思いましたが、なるほど。

冒頭の、BBCを見られないようにしたTVなら受信料を払う必要はない、と言い張るシーンは、NHKの受信料と一緒ですね。
絵画を買い戻すのに巨額の出費があったのを福祉に回せというのも、アベノマスクやGO TOなんちゃらや飲食店の協力金にお金をかけるなら医療に回せ……と重なります。

変な正義感で暴走するおじいちゃん(本編でもドン・キホーテ呼ばわり)の話かと思いましたら、そんな簡単な話ではありませんでした。ただ、家族は大変でしょうねぇ。

製作総指揮にクリストファー・バントンという名前があり、ケンプトン・バントンのお孫さんだそうです。そういえば、2015年製作の『赤毛のアン』にはモンゴメリのお孫さんが製作に入っていましたっけ。

裁判のシーンがとても面白かったです。これ、アメリカでリメイクしたら、陪審員への訴え方が全く違うのだろうなぁと考えてしまいます。
イギリスのウィットに飛んだ会話が楽しいです。裁判ってこんなに笑ってほのぼのしていいんでしたっけ?

ケンプトンの妻ドロシー(ヘレン・ミレン)は議員の家で働いています。議員の妻・グロウリング夫人役のアンナ・マックスウェル・マーティンを他の何かで観た気がするのですが……多分『あなたを抱きしめる日まで』で2016年に観たはずが、全然思い出せません。

イギリス映画では必ず感じる「階級」がここにもありましたが、グロウリング夫人はどこか庶民寄り。ケンプトンが別件で捕まった時もドロシーを解雇せずにいました。

カウンセラーとしては、失ったものに対する夫婦それぞれの向き合い方と、それをどう昇華させていくか、というのが見どころでした。

ヘレン・ミレン最高!

こぢんまりした単館に向く映画かもしれませんが、TOHOのTCXで観てしまいました。おかげで映画用眼鏡なしで大丈夫でした。
前後の日は小さいスクリーンだったので、ラッキー☆

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