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『風と共に去りぬ』の原題が”Gone with the Wind”だと知った時、ぐぬぬ、やるなと思いました。Goneという感じが、去りぬの「ぬ」によく表されていると思ったからです。

それが高校生ぐらいの時だったでしょうか。過去分詞を習った時かもしれません。当時はコドモだったので映画の内容は刺さりませんでしたが「ぬ」は響きました。

その後はあまり邦題に注目することもなかった中で、久しぶりに唸ったのがこの作品。早いうちは原題で予告や広告を見かけていたので、邦題を知った時にナルホドと思ったのかもしれません。

消えた声が、その名を呼ぶ

原題は"The Cut"、2014年のドイツ・フランス・イタリア・ロシア・カナダ・ポーランド・トルコ合作の作品です。

100年前のオスマン・トルコで起こったアルメニア人虐殺事件。
主人公の鍛冶職人ナザレットは、突然妻や娘から引き離されて男たちと共に連行されます。大半が処刑された中で生き延び、娘を探して8年間、トルコからレバノン、キューバ、フロリダ、そして北アメリカのノースダコタに辿り着きますが──。

予告にも出てきますが、The Cutの意味するのは切られた喉であり、もしかしたら家族やコミュニティの絆もあるかもしれません。”消えた声"は喉を切られて出なくなった声だけでなく、今まで表立って伝えられなかったこの悲劇の被害者たちの声でもあるのではないでしょうか。

内容が虐殺ですので、目を覆いたくなるようなシーンが出てくるのは事実。
自分が生き延びるために、他人を傷つけてしまったこともありました。そんな中で、ナザレットを助けてくれる人もいたのは救いでした。

消えた声が「その名を呼ぶ」のはどういうことなのか、ナザレットが娘を呼ぶのか、それとももっと壮大な意味が……?

歴史的な事件も学びました。同じ状況になったら自分だって、少ない手がかりに希望を求めて追うだろうとも思いました。家族とは、同胞とは、そんな事も考えました。
やっと辿り着いたらまた絶望の底に落とされるという繰り返しの中、1%でも希望があればそれは0%ではないと言うかのように前に進むナザレットに、人間の強さというものも見たと思います。

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