”常識からの逸脱行為”をアートに学ぶ

「型にはまらない人生」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?

それぞれが持つ「常識」を少しずつ緩めていく様を想像するかもしれませんし、しがらみのない自由な人生を想像するかもしれません。

今回は、皆さんとちょっとした実験をしたいと思います。それは、アートを観ながらキャリア・人生を探求する試みです。

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常識からの逸脱を好むアート

先進的なアートほど、理解されるまでに時間がかかります。
それは、あまりにも常識からかけ離れすぎていて、今までのモノサシでは価値を測ることが困難だからです。

それでも、アーティストは、そんなアートを創り続けます。もはや、それは彼らのアイデンティティであり、使命なのかもしれません。

アメリカ人アーティストのジェームズ・タレルは、「アーティストとは、答えを示すのではなく、問いを発する人である」と述べました。
その発言からも、アーティストが鋭い感性や洞察力で今を見つめることの重要性が感じられます。そして、そのユニークな視点が、常識からの逸脱を生み出すのです。

さあ、実験です。これらのアートは、どんな常識に抗っているでしょうか?

1.イメージの裏切り(ルネ・マグリット、1929年

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絵にはパイプが描かれているが、パイプの下に「これはパイプではない」という文字が記載されています。
「いくらリアルにパイプを描いたとしてもそれは絵であり、どこまでいっても絵を超えることができない、だから、これはパイプではない」とマグリットは記述しています。まさに、人の認知的な思い込みを覆した作品です。

2.泉(マルセル・デュシャン、1917年)

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誰でも出展可能であったアンデパンダンという展覧会において、彼は既製品の男子用小便器に偽名の「R.Mutt」とサインを書いてアート作品として出展しようとしました。主催委員会からはすぐに出展拒否をされてしまい、彼は猛烈に抗議します。
それまでのアートは、作家の手から独自の作品を創るという常識があった中、彼は既製品を再構成する「レディメイド」の考え方に基づき、コンテキストが変われば新たな意味が生み出せることを訴え、実践していたのでした。まさに、アートの定義そのもの、そしてアートの価値を転換した衝撃的な作品でした。そう、アートは必ずしも美しくなくてよいのです。

3.無題(ジャン=ミシェル・バスキア、1982年)

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あまりにも有名なこの作品。「個々に対する深い真実を出発点」として、作品自体に社会批評を織り交ぜながら、落書きのように書かれたスタイルが特徴的です。バスキアの芸術観は、「金持ち」と「貧乏」、「分離」と「統合」、「外側」と「内側」など、二分法に焦点を当てており、これは「挑発的二分法」と呼ばれています。
落書きという一見意味がないと思われるものの中に、深い真実を内在させた斬新な作品が印象的です。

4.I Wanna Deliver a Dolphin 私はイルカを産みたい(長谷川 愛)

※タイトルをクリックすると動画が観れます

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人間がイルカを産めるのか ―― 子供を産む選択肢を持った女性としての自分、イルカが絶滅危惧種になっていることを踏まえ、イルカの代理母になるアイデアを作品にしました。そして、この作品は妄想だけでできているわけではなく、人間がイルカを産むことに対する実現可能性まで緻密に検証されている点が大変興味深い。(しかも、技術的に可能かもしれないのです)従来のタブーや倫理観を脇に置き、違和感と新たな可能性・問題を提起した作品です。

あなたには、どんな常識があるか?

皆さんは、これらのアートを観て、何を感じたでしょうか?何を考えたでしょうか?

これらのアートは、認知的な思い込みの他、一般的な動きから自然発生的に生まれた定義・タブー・倫理を認識しながらも、それに勝る重要な可能性や面白さを提示した作品だと思います。

それは、まさに私たちのキャリア・人生にも当てはまる話です。

一般的に、幼少期から身についた自動思考、世間的な慣習・常識の刷り込み、そして成功体験含む過去の経験値などが、私たちの常識を作り出します。それは、時によって、良く機能するものもあれば、そうでないものもあります。

例えば、「当然〇〇だから」「絶対、〇〇」「〇〇しなければならない」という発言には、自分なりの常識が根付いていることが多いです。ひょっとしたら、その思考パターンが自分自身の「可能性」や「面白さ」を狭めていることがあるかもしれません。

「型にはまらない人生」を探求するには、まず「型(思い込み・常識)」を認識することからです。その上で、これまで精通していなかった興味ある領域に飛び込む、もしくは今まで取ってこなかった行動を取ってみることをお勧めします。

もし、楽しみながらそれをやってみたいなら、現代アートを深く鑑賞すること、そしてコーチングを受けて内省を深めることは、非常に意味があると思います。

ここまで読んでくださってありがとうございます。
今日も素晴らしい1日を!

【参考】
・Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典 https://www.artpedia.asia/
・「20XXの革命家になるには ―― スペキュラティヴ・デザインの授業」長谷川愛

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