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被災した海に放たれた中国産アサリを叩く以外の方法を考える


少し前に観たニュース。

「中国産アサリを熊本県産と偽装」

居酒屋店主達が「許せない」とコメントしている。

スーパーの鮮魚売り場には、事件を受けてアサリの入荷がストップしていた。スーパーの店主が「困る」と憤る。

ここまでは、わかる。
他人が起こした勝手で、平時通りに事が進まないのだから。


ところが、だ。
次に映し出されたのは、夜の海岸だった。

たくさんのトラックが夜の海岸を走っている。
中国産のアサリを運んできたという。
そのアサリを日本海に放流する映像だった。

「え?」

かなり強烈な違和感だった。
テレビではこの作業を「畜養」と説明していた。



熊本震災で被災した海にアサリがいなくなった。
そこに中国産アサリをばら撒き、養殖するという。
そして、その作業を「畜養」と呼ぶ。


信じられなかった。
私は畜養というものを、このニュースで初めて知った。
普段から畜養は存在しているのだ。

ただ、被災して捕れなくなったアサリを普段より短期間で市場に出した。
それを偽装だと報じていた。

まて。
被災者は死活問題のはず。
これは消費者から理解を得て、「熊本応援アサリ」として売り出すべきものではないのか。

中国産アサリをそのまま市場に出したのなら、それはただの産地偽装だと思う。でも、これは全く意味合いが違う。


ずっと心懸かりだったので、少し調べてみた。

熊本県では4つの漁業組合が10か所の漁場を貸し出している。
ほとんどは稚貝ではなく成貝だそうだ。
成貝は1年半かけていては出荷が出来ない。
だから短期間での出荷となり、今回の偽装騒ぎとなっていた。


食品表示法ではこう定められている。

「原産国より県内で成育した期間が長ければ熊本産と表示できる」

通称、「長いところルール」。

これって正直よくわからない。
ファミリーで潮干狩りの計画を立てたことがある人はわかるだろう。
貝は毒素を含んでいる。
どこの海岸は潮干狩り禁止という情報をみたことがあると思う。


この場合、県内の海で長く育成すればどういうメリットがあるのだろう。
中国の海では毒素があって、熊本の海では毒素が抜けるとでもいうのだろうか。。そもそもの理由がよくわからない。
そこに食品表示法というルールの縛りがあるために、偽装者となっている。


私が思ったのは、そんな曖昧な理由なら被災者に特別処置を施すべきでは。という事だった。「長いところルール」を今限り「短くてもいいよルール」に変更すればいいのに。そう思った。だって、一度は熊本の海に放っている。どうしようもなくなった被災者に、何の補助もなく、「獲るな」というのは酷いのではないか。


純国産の熊本アサリを守るため、県は6,430万円もの予算を確保した。
ブランドアサリの販促に使われるそうだ。

純国産。長いところルール。
疑問に思わないのだろうか。
悪は悪。
それだけでいいのだろうか。

6,430万。
長いところルールを適用出来るまで、被災者を守るために使ったらどうだったのだろう。短期間で出荷せず、この4月を待って長いところルールを適用した熊本産アサリが出せたのではないか。。

そんな風に考えると切なかった。


ルールは必要だ。
でも、弱い者を縛りつけるルールであってはいけないと思う。

弱い者を守るためのルールを作れないのであれば、一体何をしているのかわからない。消費者側だって、不買運動をするだけじゃなく、支援として購入することが出来る。考え方次第なのに。。。



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