差別と優遇措置。相殺をやめるべきタイミング。
米国最高裁が、人種によるアファーマティブ・アクションを違法とした。これまで差別を受けて来た黒人を、多様性の保護という名目で大学入試や就職で優遇していた。バイデン大統領は最高裁の判決に強く反発した。差別と優遇で相殺しようとしているのだ。
私は大学入試の競争社会において、点数以外の判定方法を持ち込むのは不公平だと考える。優遇されている黒人以外の人種は、皆賢明に勉強して試験に臨んでいる。黒人を優遇するのであれば、彼らの学力そのものを、大学入試に挑めるところまで引き上げるべきだと思う。
フランスでは17歳の少年が警察に銃殺され、人種差別だと暴動が起きている。フランスの移民割合は人口の9%。銃も登録をすれば個人でも保有出来るため、暴動の光景は内戦のようだ。マクロン大統領は、暴動を扇動しているほとんどは若者であり、親に彼らを引き留めるよう求めた。暴動が、略奪や放火で煙に巻かれ、差別そのものが見えなくなってしまっている。
フランスでは先の米国のように、移民に対して優遇措置は取られていない。ただし、差別そのものに対しては法で厳格に取り締まっている。だが、現実には容姿でわかってしまう人種。差別が行われていない状態ではない。
両国の問題は、差別する側、される側、両者の戦いでもある。「差別」によるフラストレーションが引き起こした結果であることは言うまでもない。差別そのものが、薄まってきた時、ようやくこういった暴動や社会的抗議は終焉を迎える。
日本は既にこの道を辿ったあとだ。現在も名残はあるが、それでもかなり見聞きする機会も減った。アファーマティブ・アクションを利権化する団体も、今では少なくなった。 日本では歴史的背景から、暴力団による利権団体が複数立ち上がっていたが、アメリカやフランスでは、一般市民によるデモがそれにあたるのだと思う。政治家との結びつきがあるわけでもない彼らは、街を破壊しながら、差別によるフラストレーションを吐き出す。
日本では就職優遇に関しても、差別が薄まってきた頃合いに、人々は「逆差別だ」と訴え始めた。アメリカも同様の現象が起きている。アファーマティブ・アクションは、プライド月間(LGBT理解促進月間)に似ている。根付いていない価値観を、強制的に植え付けるためのキャンペーン。悪い面ばかりでもない。バイデン大統領の周りには女性が多く起用されている。が、差別が薄まってくると、今度は「逆差別」だと言われるようになる。相殺しているはずが、利が上回ってしまう時に到達する。それが、アファーマティブ・アクションを止めるべきタイミングの合図だ。
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