秋の山に響く鹿の声 ~紅葉の中の切ない物語~/5. 奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき
👩🏻こんにちは!はな先生です。今日は少し切ない秋と鹿の和歌のお話をするね。
👦🏻この前図鑑で見たんだけど、秋になるとオスの鹿が「ケーン、ケーン」って鳴くらしいよ。
👩🏻私は鹿っていうと奈良公園の鹿せんべいのイメージしかないのに、すごいね。その鳴き声が、どうやら昔から日本人の心に響いてきたみたいなの。順番に解説していくね。
▼今回紹介する和歌
奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき
▼現代語訳(意訳)
人里から遠く離れた山の中で、散り敷いた紅葉を踏みながら鳴いている鹿の声を聞くと、秋がとても切ない季節に感じられます。
▼詠んだ人
猿丸大夫(さるまるだゆう)
とても昔の歌人ですが、実際にどんな人だったのかは分かっていません。伝説の歌人と言われています。
▼解説
この歌は、秋の山の中での情景を詠んでいます。
まず、目に浮かぶのは紅葉です。赤や黄色の葉っぱが、山一面に散り敷いています。その中を、一頭の鹿が歩いていきます。鹿は寂しそうな声で鳴いています。実は秋、オスの鹿は恋しい相手を探して鳴くのだそうです。
歌の作者は、その光景を見て、秋の切なさを感じたのです。きれいな紅葉も、やがては散ってしまいます。鹿の声も、誰かを探し求める寂しい声。そんな風景を見ていると、秋はとても物悲しい季節だと感じられたのでしょう。
この歌が作られた平安時代、都に住む人々は秋を特に切ない季節だと考えていました。
今の私たちは「秋は実りの季節、楽しい季節」と思いますが、昔の都の人々は「物事の終わりを感じさせる寂しい季節」と感じていたのです。
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👩🏻さて、どうだった?紅葉の中を歩く鹿の姿が目に浮かぶかしら?
👦🏻赤い葉っぱがいっぱい散っている中で、鹿が「ケーン」って鳴いているのが目に浮かんできたよ。でも、昔の人は秋を寂しいって思ったのかがよくわかんないなぁ。さつまいもも美味しいし、お散歩も気持ちいいのに。
👩🏻そうだねぇ。季節の変わり目って、なんとなく寂しくなることない?夏が終わって、だんだん日が短くなって...。
👦🏻あ!分かるかも。家に帰るのは同じ時間なのに、寒くなっていくにつれて、暗くなるのが早くなって、暗いとなんだか怖いっていうか、心細いっていうか。
👩🏻そうそう。昔の人も、同じような気持ちを感じていたのね。昔は今みたいに電気もなかったし、なおさら心細かったかもしれないね。次回は、また違う秋の歌を見てみましょう!