仕事をしたい気持ちと子育てに葛藤してきた転勤族の妻であるわたしの話

3人の子どもの母である。母性というのは生まれ持って備わっている人もいるのかもしれないけれど、わたしの場合子育てしながら段々と増えてきた感覚があります。

ワーキングマザーだった母親を見ていたからか、わたしも結婚して子供が生まれてもずっと仕事をしていたいと思っていました。結婚するなら、転勤のない会社に勤めている人。仕事をしている母はいつも綺麗で、仕事と家のことをこなしている姿を尊敬していたし、そんな母を見てわたしも仕事を続けたいと思っていました。そして、大学を出たわたしは女性が長く仕事を続けている実績のある会社を選びました。

それなのに、結婚を決めた人は転勤のある会社に勤めている人!しかも当時お互い東京で働いていて、地方に転勤というタイミングでのプロポーズ。もちろん自分の「転勤のない人と結婚する」という条件の元にお断りする選択肢もあったけれど、この人と結婚したいという感覚が優先だったのです。

わたしも地方に異動させてもらうとか、グループ会社に出向させてもらうとか、今すぐじゃなくてもそういう道がないか上司にかけあってみたけれど。わたし自身がちょうど配置換えで上司が変わったところで、新しい上司には親身になってもらえず、結局会社を辞めて地方についていくことにして、わたしの思い描いていた「結婚しても子供が生まれても正社員として仕事を続けていく」という夢はあっけなく破れ去りました。

夫はとても家族を大事にしてくれる人なので、今となれば条件よりも感覚を優先したことはよかったのだと思えるけれど、当時は結婚することでなぜわたしだけが仕事を辞めなければならないのかと世の理不尽を恨んだり、離れ離れで生活を送っていくことの勇気のない自分を残念に思ってみたりしました。

そして、わたしに新しい命が宿った。

知っている人が夫以外誰もいない土地での子育てだったけれど、子どもを通じた友だちもできて、楽しく過ごしてしていました。1年も経たないうちに2人目の妊娠がわかって。子どもが2人になると今度は本当に大変で、時間もやりたいことも何もが思い通りにならない毎日。今思い返しても記憶がないぐらい、精一杯の日々でした。

子どもとの日々はしんどいながら楽しかったけれど、やっぱりわたしの中には主婦をしていることへの葛藤があって。仕事がしたい。社会と繋がっていたいという想いは強くなるばかりでした。

そんなとき、転機になったのが、子どもと参加した親子英語サークル。これが本当に楽しかった。わたしが。家でも子どもと一緒に英語の絵本を読んだり、DVDを見たり、子育てに英語を取り入れることにハマって。元々英語が好きだったので、学びなおしている感覚。そして子どもが日本語と同じように英語を発話していくことへの感動。

通っていた子育て支援センターで英語好きの友達ができて、一緒にオーストラリア人に英語を教えてもらう機会を作ったり、支援センターでの英語のイベントを手伝ったり。いつしか家で英語教室を開くようになっていました。英語教室の講師としても登録し、子どもを預けて週に数回講師の仕事もするようになりました。会社を辞めて4年、やっと社会と繋がった気がしたものです。

そして、そんなときにまたやってきた、夫の転勤。

当時子どもたちは3歳、1歳だったので、家族がバラバラになるよりは一緒に暮らす方を選び、またもわたしの仕事はリセット。そして知り合いのいない土地での生活が再び始まりました。

今度は主婦をする選択肢はわたしの中にはありませんでした。
ただ、子どもに英語を教える仕事は、またやってくるであろう数年後の転勤を考えるとやめることにしました。数年という雇用期間が決まっていた大学院の国際系のプロジェクトスタッフに採用が決まり、学生を国際機関に派遣したり、海外からもパネリストを招いてシンポジウムや講演会を開催したり、とてもやりがいのある仕事でした。

ただ、「子どもと英語」という楽しい時間に関わっていたくて、大学院での仕事をしながら、子育て英語講師の資格を取ったり、小学校英語指導者資格を取ったりしました。新たな出会いがあって、毎月子ども英語サークルを開くようにもなりました。思えば、仕事や子どもたち、サークルを通してたくさんの出会いに恵まれました。

そして、また、転勤。

わかってはいるものの、またも強制リセットです。ただ、ここまで「こどもと英語」に関わってきたことと、これまでの人の繋がりもあって、すぐに子育て英語講師としての活動を始めながら、子育てしているママたちのコミュニティづくりにも関わっていくことになりました。これがさらなる転機。

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そして3人目の妊娠。

毎度思うけれど、妊娠しながら仕事をするのは本当に大変。もちろん個人差はあると思うけれど、つわりで気持ち悪いし、眠いし、身体は重いし、思考もすっきりしない。生まれた後も24時間気を配っていなければならない。いつ熱を出すかわからない。子どもを産み育てながら仕事をするというのは思っている以上に大変なことだと感じます。

母親だけが子育てをしなければならないわけではなく、むしろ頼れるときは頼って、たくさんの人に関わってもらうことが必要。

話は戻って、ママたちのコミュニティは、「自分らしく子育てを楽しめる場所づくり」を目指していて。

<目的>
■母親の育児に対する不安や不満を解消し、自らが育児を楽しめるための情報を提供する。
■親子で参加でき、親子で楽しみ絆を深めることのできる場所を提供する。
■育児をしながらでも、自己実現のための社会活動に参加できる場所を提供する。
<活動内容>
■親子の絆を深めるための子育て支援関連レッスンの企画・開催
■花育や食育など、子供の感性を伸ばすために有効的かつ親子で楽しめるレッスンの企画・開催
■母親の特技を生かすための場所提供及び開催サポート
■母親自身の生活を心身ともに向上促進するためのセミナー企画開催
■消費者として母親からの声を企業店舗に還元し、母親の社会参画促進

レッスンやイベントの企画運営や、企業にママたちの意見を届けて新たな商品づくりなどもしていました。もちろんわたしも生まれたばかりの3人目を連れて子育て英語のレッスンをしたり、イベント企画の運営に携わっていた。ママたちを支援する仕事をしながら、自分も子連れで仕事ができる環境がとてもありがたかった。

この中の一つのプロジェクトとして、「布ナプキン」のプロジェクトが2012年にスタート。身体に優しい商品を子育て中のママたちが作って世に届けることで、ママたちが社会と繋がる場所づくりを目指したものです。

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2014年にはたくさんの人に布ナプキンを知ってもらうためのクラウドファンディングに挑戦。

地元の企業の応援をいただいて、2015年には布ナプキン事業を株式会社として設立することになり、一から事業を作り上げていくことの魅力に次第にとりつかれていきました。スタッフも増えて、仕事の範囲も広くなっていき、英語の講師を続けながらの事業運営はすでにわたしの時間的な限界に達していて、3年ほど経った頃、布ナプキンの事業に専念することを決めました。

その頃夫がまた転勤の辞令をもらったのですが、わたしも落ち着いて仕事がしたくて、単身赴任の決断をしました。

布ナプキンの事業に専念することを決めた数か月後の2018年8月、思いもかけず社長に就任することになりました。それまでも6年間事業をやってきたけれど、経営者となると視点も変わり、責任もケタ違いで、毎日休む間もなく脇目もふらずに走り抜けてきた2年半。子どもたちもいつの間にか高校生と小学生になり、夫も5年半の単身生活から帰ってきて、やっと振り返る余裕ができた今、このnoteを書いています。

子育てしながら働くことの大変さは、きっとどんなママも感じているはず。女性活躍推進とはいうけれど、女性だけがしようと思って成し遂げられるわけもなく、社会全体のサポートが必要です。

華布の布ナプキン事業は、そんなサポートの一つになりたいと思っています。自分がそうであったように、子育てしながらでも好きなこと、できることを生かしながら、社会と繋がっていく。子育ての楽しいこと、大変なことも共有していく場であること。それぞれの環境に合わせた仕事の仕方を考えていく。それが次世代を育むママたちの心の安定につながることを願いつつ。

今は子育て世代以外のスタッフもたくさんいるので、技術や知恵の伝承にもつなげていきたいと思っています。

仕事にやりがいは感じながらも、わたしにとって子どもとの時間も限りある大事な時間。バランスを大事にしながら過ごしていきたいものです。

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