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ノースマン 導かれし復讐者 蛮族ハムレット

ネタバレあり
北欧のアムレートの伝説を映画化したものなのだけど、ハムレットの原型とは知らんかった。
伝説をもとにしているだけあって、預言者や神秘は実在するものとして扱われているのも特徴の一つ。
王である父を叔父に殺され、地位も母も奪われたアムレートの復讐の顛末が語られる。
アムレートにとっては良い父親であったオーディンヴァル(イーサンホーク)は愛する母にとっては奴隷として連れてこられ長男を産んだから妃にされているだけの卑しい男でしかなかった。
一番はじめにアムレートが部屋に入ってきたときに「用のない時は入ってくるな」としつけにしてはきつすぎる物言いの母は伏線だが「不穏な空気」が観客に伝わるのが上手い。
母親役のニコール・キッドマンの評価が高かったというのもうなずけるというのもわかるが、実質彼女を中心に物語は動いている。

アムレートは叔父が領地をハラール美髯王に奪われ没落したことを聞き、奴隷として叔父のもとへ潜り込む。
叔父と母は没落しながらも、そこそこの領地を治め幸せそうに暮らしていた。
そこには叔父の息子と叔父と母の息子、アムレートの義理の弟もいた。
アムレートの復讐がはじまった。
まずは信頼を得るために、使える男と思われるように振る舞う。
偶然にも義理の弟の命を救ったため、叔父の一族からも信頼される。
同じく、奴隷として連れてこられたオルガを妻に迎える。
オルガはアムレートにとって運命の女で、共に復讐を遂行する仲間となる。
アムレートは預言者から復讐の剣の存在を知り、墳墓で死霊と対決し、手に入れる。
アムレートは母親のもとへ行き、自分が息子であると告げるが、母親からは父に対する憎しみの言葉しかもらえなかった。
叔父を唆したのも母であることがわかる。
アムレートは母のもとから飛び出して、叔父の息子を殺す。

息子を殺された叔父は激昂し、共犯者を探すために奴隷を一人ずつ殺していく。
あわやオルガが殺される寸前にアムレートが飛び出し「息子の心臓と交換だ」と叫ぶ。
結果的にアムレートは酷い拷問にかけられるが心臓の場所を吐かなかった。
深夜、オーディンの使いの大鴉がアムレートのもとへ現れる。
アムレートの戒めを解いて、オルガと共に脱出する。
船に乗ったアムレートとオルガ。復讐は為った。
新天地が2人を待っている。
アムレートはオルガの傷口から流れる血から、オルガの胎内には子供がいて、一人は偉大な王になることを知る。
アムレートは自分に子供が生まれることがわかれば叔父が復讐にくるから、もう一度戻るという。
オルガは愛のために復讐を捨てて欲しいと願うが、愛のために復讐すると言って海へと飛び込む。
形見に、自分の王の証である指輪を託して。
その指輪をアムレートの生き残った親族に渡せば、手厚い保護と金が手に入ると告げる。

再び宿命の地に舞い戻ったアムレートは叔父の手下を皆殺しにして、奴隷も解放される。
母も義理の弟も殺す。
生きる目標を無くした叔父「地獄の門」で決闘する。
アムレートは叔父と相打ちになり死亡するが、彼には、はっきりとヴァルキリーが見えており、戦って死ぬことに喜びを感じ微笑んでいた。

ざっと、あらすじを書いたけど、かなり清算な話で残酷な描写も多い。
その割に陰惨な空気にならないのは、映像と呪術の表現が神秘的だからだ。

アムレートは奪われたものに対する報復を完遂するが、自らの業に従って命を落とす。
しかし、彼の血脈は続き伝説は終わらない。
運命の女オルガを演じているアニャ・テイラー・ジョイはクイーンズギャンビットで評価爆上がりの若手女優で存在感を示している。
主人公のアムレートを演じているアレクサンダー・スカルスガルドも良かったので、俳優好きな人にもオススメ。

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