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眠らない魚、かいぱんを訪ねて

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木魚の原形、かいぱん。京都のお寺で出会ったユニークなかいぱん達を紹介します。
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たい焼きみたいな寸胴ボディにオッドアイ。大悲閣千光寺の個性派かいぱん。

たい焼きみたいな寸胴ボディにオッドアイ。大悲閣千光寺の個性派かいぱん。



 かいぱんに会いに嵐山の大悲閣千光寺へ。渡月橋を南に渡り、エメラルドグリーンの大堰川を遡るように20分ほど歩く。更につづら折りの石段を息を切らせて登りきると、柴犬のすみれちゃんが迎えてくれます。切り立った岩肌に建つ舞台造りの客殿からは、緑豊かな渓谷が見下ろせ、はるか遠くに大文字山が見えます。

 大悲閣千光寺は、もともとは嵯峨野にあった天台宗のお寺。私財を投じて大堰川や高瀬川を開削した江戸時代

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凄みあるタフガイ親父と幼気な癒やし系。興聖寺で出会った親子二代のかいぱん。

凄みあるタフガイ親父と幼気な癒やし系。興聖寺で出会った親子二代のかいぱん。

 小川のせせらぎが琴の音に聞えることから「琴坂」と呼ばれる参道。初夏は新緑、秋は紅葉が美しいこの坂道を上った先に、龍宮城みたいな白い漆喰の山門があります。興聖寺は京都の宇治にある曹洞宗のお寺。宇治はお茶の名産地。毎年10月、栄西禅師、明恵上人、千利休を偲び、宇治茶産業の繁栄を願う「宇治茶まつり」では、興聖寺の本堂で「茶壺口切りの儀」が行われます。

 興聖寺には2匹のかいぱんがいます。まずは山門を

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金色の布袋さんがニカッと笑う萬福寺。かいぱんは、むっちりボディで器量良し。

金色の布袋さんがニカッと笑う萬福寺。かいぱんは、むっちりボディで器量良し。

 時を知らせる魚「開梆」。ひらがなで書くと「かいぱん」。一気にゆるキャラみたいになる。かいぱんは木魚の原形。口にくわえている玉は煩悩で、かいぱんを叩いて煩悩を吐き出し、より精進しましょうというもの。お堂の前に吊り下げられて、毎日、法要や食事の時間を報せています。そもそもどうして魚なのかというと、魚は眠っている間も目を閉じないことから「不眠不休で精進しなさい」という思いが込められているとか。

 京

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