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いちばん美しい冬



絵画のような太陽の下で包む手のひら
熱のこもった息は仄かに消える

終わらない回り道
途切れない光色
真昼の星が静かに時を進めていく

都市の喧騒が遠ざかり
君の姿だけ鮮明に焼き付く
眩しいほど なにより美しく

僕に手をひかれ君がゆっくり話す
言葉一つ一つが全身を鼓動させる

冬風に身を震わせてもまだ離れぬ心の温度
淡い雪 煌めく瞳 赤く染めた微笑み
僕の心を揺さぶる

舞い落ちる冷めた結晶が二人の距離を縮め
流れていく雲は街の光に滲みだす

刹那的な感情で動く世界で
地球さえ呼吸を止めて
この一瞬は永遠になる

絵画のような太陽の下
途絶えずに続く暖かな手の温度だけが
この時間を動かしていく

凍える風に乗り届く冬の香り
紛れていた確かな恋しさに胸焦がれつつ

どんな季節でも越えていければと願いを込めて
二人だけの約束を交わす

また一つ増えた温もり
いつまでも消えぬように抱きしめていたい



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