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ワシにとって“いい小説”とは

やっぱり読書は最高の愉しみ 

相変わらずプライベートは読書が中心の生活を送っている。興味が湧いた本を手当たり次第に乱読している感覚なので、必然的にスピードも上がる。 
 
SNS「読書メーター」は読了本のページ数を集計する機能があるのでチェックしているが、毎月6000から7500ページを読破しているようで、つまり1日あたり200ページから250ページということになる。アラカンという年齢を考えれば量を追求するよりも質を意識しなくてはいけないことは承知しているつもりだが。 
 
軽い文庫本などは興が乗れば半日で読了してしまうこともある。“軽い”というのは決して侮蔑的な意味ではなく、文章が読みやすい、サクサクどんどん読み進められる、という好意的な意味だ。 

 “いい小説”とは 


 先日「派遣社員あすみの家計簿」(青木祐子)を読了して気づいたことがある。 
 
私にとっていい小説とは「プロット、文体、キャラクター、熱気、共感」のうち少なくとも2つが揃っていることだ。「あすみの家計簿」はそれぞれの要素が粒ぞろいだったので、この気づきを得ることができた。 
 
あまりに面白くて「ギャー」とひっくり返ったここ数年の最大の収穫は「ザリガニの鳴くところ」(ディーリア・オーエンズ)だが、ここでもこの5要素をしっかり堪能させてもらった。翻訳モノにおける「文体」とは訳者の技量に負うことを含めた感想になる。 


どこまでしっかり読解できているのか 

ところで。
 
スルスルと読み進む快感は「読解」とのトレードオフなのかもしれない、と懸念している。近年は業務メールの早合点・見落としがなかなかの頻度で発生しているのも心配だ。 
 
長らく絶版になっていた「現代文解釈の基礎」(ちくま学芸文庫)が新訂版として上梓された。表向きは受験生のために書かれた参考書だが、ベストセラー「独学大全」で読書猿氏が推薦したことが復刊のきっかけになったという。書店で手に取ってみたが、なるほど、懇切丁寧に文章の読解を促している好著とみた。 
 
この際、この本を指南役に文章読解の原点に立ち返ることにしようか。それはこれからの読書ライフにとって決して無駄にはならない、と思っている。 
(21/10/19)

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