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門松が来ないお正月

 いまのマンションに引っ越したのは2002年。毎年マンションの共同玄関には立派な門松が設置されてきた。とにかく立派な門松だった。ざっくりと幅60センチ、高さ1.5Mくらいはあったのではないか。

 ところが、ことしはどうもそれが見当たらない。経費節減で理事会が設置を見送ったのだろうし、それについて文句を言う立場でもないが、ちょっと寂しく思っている。

 支出についてのお知らせが理事会から来るので、門松の値段について例年なんとなくチェックしていた。当初は3万円程度で「へえ、あんなに立派な門松がその程度の値段なのか」と思ったものだ。しかし近年は毎年のようにかなりの幅で値上がりして「ああ、この上がりようでは早晩支出されなくなるだろうな」と思っていた。そういえば今年は我がマンション以外の街角でも門松はあまり見かけない気がするぞ。

 「もはや年末年始は普通の長期休暇」と思っているし年賀状もやめてしまった者として「門松がないとどうにも“気分”が出ないんだよね」とボヤくのも勝手なものだ。

 年賀状がどんどん少なくなり、門松もあまり見かけず、車のフロントグリルの松飾りはほぼ絶滅し、初詣で晴れ着を着ている女性もいなくなった。寅さんの新作が年末年始の映画館の定番だった頃、ラストシーンはかきいれ時に商売に励む寅さんの姿だったものだが、21世紀も1/4ほどを経過して日本のお正月はどんどん様変わりしていく。

 「昔のお正月はよかったなあ」と感傷にひたるのはそれだけ自分がじいさんになったということなのか。(23/12/28)
※23/12/28夕追記
28日夕刻に玄関を通ったら今年も立派なのが立っていました

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