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推しへ贈る本を作った話・2冊目

2冊目です。
1冊目の話はこちら


今回の本を作ろうと思った経緯

また作りました。
と言っても、前回の1冊目とは趣旨が違います。
今回は『推しの好きなところを100個書いた本』です。
これ元々は、いろは出版株式会社さんから「好きなところ100」というプレゼントブックが発売されていまして、それを元に私なりに(同じ本ではあるけれど)形を変えて作ったものになります。

市販品があるのだから別にわざわざ作らなくても、と普通の人ならたぶん思うでしょう。
私も最初はこのプレゼントブックに書いて贈るつもりでした。
それを考えていたのがちょうど3年くらい前、前回の本を作っていたとき(2020年の夏ごろ)。
前回の本はデザイン・装丁は私が考えたものの中身は書いていただいた脚本だったので、もし仮にまた何かの機会があれば、その時は中身からデザイン・装丁まですべて自分で作ったものにしたい、という思いがありまして。

じゃあいっそのこと、これも本にしたらいいのでは!?
市販のプレゼントブックもかわいいし、いろんなマステを貼ったりしてページごとに少し違いは出せますが、そもそもの基になるデザインは全ページ一緒で、表紙もカラバリは3種類あるけれどデザインはどれも一緒。
しかし、自分で作るなら表紙から各ページまで全部、デザインやレイアウトを好きなようにできるのです。
特殊紙も使えるし箔も押せるしイラストも入れられる。
よし!本作ろう!!!

という訳で、2冊目を作ることが決まりました。
とは言えすぐに作り始めたわけではありません。
前回の本は出来上がってから推しへ渡せる機会があればすぐに渡したかったのでそうしたのですが(2020年12月に渡しています)、今回の本は誕生日に贈るものにしたかったのです。
ただ翌年(2021年)の推しの誕生日へ贈るものは2020年末の時点でもう決めていたので、ではその次の年にと思ったのですが、更にその次の2023年に推しが節目の歳を迎えられることに気が付きました。
今回作る本もとびきり特別な1冊にしたくて、めいっぱいの大好きを詰め込んだものを、節目となる記念のお誕生日に贈りたくて。
なので2022年の1年を準備と制作期間にあてて、2023年の推しの誕生日プレゼントとして贈ることにしたのです。



ここからデザインと装丁、内容について。
各部材の詳細はそれぞれのところに書きますが、今回使用した紙・箔・フォントはできるだけ前回作った本に使用したものと被らないように選びました。
同じものを使うのもつまらないし、いろんなものを使った方が楽しいから、という単純な理由です。
ですが、全てのものにきちんと選んだ理由があります。
ひとつひとつ、全部こだわりたかったので。




▼全体

左が表紙側、右が裏表紙側

タイトルは内容そのまま。
サイズはA5変形裁断の正方形、角丸加工(9R)をしています。ページは左綴じ。
前回の本がA6文庫サイズだったので、それと同じくらいのサイズにしたくてA5正方形にしました。
内容的にも普通の小説などではないので、正方形の方がレイアウトしやすいかなと思ったのもあります。
角丸にしたのは、全体的な本の印象をかわいくやわらかい感じにしたかったからです。





▼表紙/裏表紙

シェルルックNツインスノー 180kg
特色(蛍光ピンク)+箔押し(レッド箔/表紙、ゴールド箔/裏表紙)

表紙
タイトルのレッド箔が分かりやすいように光を当てて撮ったもの
裏表紙
月と星のゴールド箔も分かりやすいように光を当てて撮ったもの


今回も表紙はきらきらしているか光沢のある紙にしたい、けれど前回ミランダとキュリアスパールは使ったので外します。
そして前回使用したミランダはラメ系のきらきらだったので、今回はパール系のきらきらにしようと思い、かつ紙の地の色が白い紙がよかったので、そうなると候補は、シェルルックNツインスノー・きらびきSR・新シェルリンNプレーン。
この中で、パール感のきらきらも手触りもいちばん好きなのがシェルルックで、かつ紙の両面が同じ材質なのもシェルルックだけなので(きらびきと新シェルリンは表側だけが加工されていて裏面は普通の紙)、今回の表紙はシェルルックNツインスノーとなりました。
前回の本はマットPP加工をしましたが、今回はPP加工は無しです。
さらさらした紙の質感をそのままにしておきたかったのと、箔を押したところとの差も出したかったので。

表紙のデザインはハートの中にタイトルというのは初めから決めていて、配色をハートを赤にしてタイトルをピンクか、ハートをピンクにしてタイトルを赤か、のどちらにするかだったのですが。
せっかくピンクを使うなら鮮やかにするのに特色にしたい、推しの名前を赤の箔で押したい、の2点があったのでハートをピンクにタイトルは赤にしました。
裏表紙は表紙のハートをワンポイントに、その中に月と星をゴールド箔で押しました。
月は推しの生年月日の月の形(月齢25)に近いかたちにしています。
箔の種類は、前回シルバーホログラム箔と透明ホログラム箔を使用したので、今回はホロ箔ではなく普通のカラー箔にしました。

印刷は表紙・裏表紙ともに、特色の蛍光ピンク1色に箔押しのみです。
表紙の蛍光ピンクは濃度を100~60%の間で部分的に分けています。ぜんぶ同じ色でも濃さを変えるとメリハリが出て良いですね。

表紙のレッド箔、裏表紙のゴールド箔は、前後の遊び紙と対比するようにしてあります。
遊び紙の詳細は後述しますが、前の遊び紙にシルバー箔が入っているので裏表紙にはゴールド箔を、後ろの遊び紙にシルキーコバルト箔が入っているので表紙にはレッド箔を、というふうに金と銀・赤と青で組み合わせるようにしました。

タイトル使用フォントは、ひらがなとカタカナがじゃずキッサ、数字がManbow。
どちらも可愛らしく丸みがあって、線が部分的に太くなっているので箔を押したときに見栄えするだろう、と思い選びました。
じゃずキッサはベタ打ちではなく「ゲ」の濁点の部分を星に変えて、「すき」の部分にハートを入れたのですが、とっても可愛くできて大満足!

それから、表2-3(表紙と裏表紙の裏)にも印刷をしています。
当初入れる予定だった遊び紙の1枚がピンクだったのを変更してどちらも水色にしたので、遊び紙で使えなかったピンクをここに印刷で入れよう、と思い薄ピンクを印刷しました。
上にも書いたようにシェルルックは裏面も表面と同じになっているため、ピンクが上品にきらきらして可愛く、遊び紙の水色とも良いバランスになりました。

これは裏表紙の裏側。表紙側も同様にピンク色です。





▼遊び紙

前:スターリットドリーム 90kg
後:朔宇宙 90kg

スターリットドリーム
朔宇宙

ぜっっっっったいに使いたかったプレミアム遊び紙!!!!!
この遊び紙、通常使える特殊紙とは別で、STARBOOKSさん×Cosmotechさんのコラボレーション遊び紙なのです。
プレミアムというだけあって仕様がものすごい!加熱型押し×箔押しというゴージャス仕様!!!最高すぎる!!!
(コスモテックさんによるプレミアム遊び紙説明のnote記事がありまして、第1弾がこちら、第2弾がこちら

最初にリリースが発表されたときにスターリットドリームを使う!!と決めたものの、限定数だったためあっという間に終了してしまい、仕方がない……と諦めていたところに第2弾の発表とリリースが。
朔宇宙は絶対に使いたかったので、そうなるともう1枚は、2枚同じにするよりも別々の方がいいし襲桜かなと考えていたら、スターリットドリームの再販が決まり、それならもうスターリットドリームと朔宇宙で決まりだ!!となりました。

スターリットドリーム(星明かりの夢)は宇宙や星をモチーフに、朔宇宙(さくぞら)も星や惑星をモチーフにデザインされています。
推しが星モチーフが好きでご自身のサインにも星が入っているので、絶対にこの2枚を使いたかったのです。
スターリットドリームは空にきらきらと星々が散りばめられているようなデザインでもあるのですが、私には宝石が散りばめられ輝いているようにも見えたので、表紙のハートを宝石風にしたのもあります。
なので、そこから続く扉のイラストも夜空と宝石にして合わせました。

ちなみに加熱型押しなので裏面にも模様が透けて見えて、箔が押されている表面とはまた違った印象と可愛さがあってとても良いです。

スターリットドリームの裏面
朔宇宙の裏面





▼本文

雷鳥コートN 135kg
フルカラー/RGB再現性重視

本文ページ。内容の詳細は秘密なのでぼかしています。

雷鳥コートは前回の本のイラストページにも使用したのですが、そもそも本文フルカラーに使用できる用紙が雷鳥コートかキンマリしかないので、好きな雷鳥コートを今回も使用。
そして今回は全ページフルカラーなので、RGB再現性重視で入稿しました。

本文ページのデザインを考えるにあたって、100個をどういう風にレイアウトするかがいちばん悩みました。
まず1ページに何個書くか。
内容については後から少し触れますが、好きなところを上げて、更にそれについてのコメントを付けます。
四方に余白を取ることと、フォントのサイズを大きすぎず小さすぎずにすることをざっくり考えると、1ページに1個は少なすぎるし4個以上になると入りきらないので、その間の2個か3個のどちらか。
3ページ目を扉、4ページ目から100個を書くページがスタートしますが最後に奥付とイラストを2枚入れるので、100個書くページは奇数ページで終わらせる必要があります。
100個目は1ページ分使いたかったので、そうなると1ページに3個+最後の1個でちょうど奇数ページで終了となるため、これに決定。

次に1ページごとのデザイン。
メインは文章になりますが過度にならない程度に色を入れたくて、いろいろ考えた結果、パターンイラストのカットを全ページに入れることにしました。
初めは四方をぐるっと囲むようにイラストを入れて、と思ったのですが実際作ってみるとなんだか窮屈に見えたため却下。
ページの上下か片側だけに入れる、1個ずつ間の区切りの部分に入れる、数字の部分に囲んで入れる、と思いついたもの全て作ってみて、いちばん見やすいページの外側(小口側)に入れることにしました。
全ページ違うイラストにしたいものの、34種類を統一性もなくバラバラに作るのも大変なので、ストライプ・ドット・チェック・それらを混合した模様の4種類に分け、色も赤・ピンク・オレンジ・黄色・黄緑・緑・水色・青・紫・ブラウンの10種類の中から均等になるようにパターンと組み合わせました。
最初と最後に入れるイラストは決めていたのでそれを除き、ドット→ストライプ→混合→チェックの順番で配置(色の関係で一部そうなっていないところもありますが)。
数字と下線の色はイラストの中から1色取っているので、見開いた2ページの配色は類似色・対照色で一応まとめています。

何個目かという数字、好きなところ(以下見出しとします)、それについてのコメント、の3つの並べ方も思いついたパターンを全て作りいちばんしっくりきたのが、数字を上に置いて線を挟んで下に見出しとコメント。
使用フォントは数字がFrog、見出しがかんじゅくゴシック、コメントがはんなり明朝。
数字は、丸みがあって色を付けるのである程度線に太さがあるもの、という事でFrog(bold)を選びました。
見出しとコメントは、見出しを少し大きめにしてコメントはそれよりも少し小さくする、どちらのフォントも普通よりも少し癖のあるものを使いたい、というのはあらかじめ決めていたので、そうなると見出しよりも小さく文章が多くなるコメント部分の可読性と紙に印刷するということを考えると、明朝体の方がいい。
あと個人的にかんじゅくゴシックが好きでして、長文に使うにはちょっと向かないけれど、見出しになら使える。
ということで、見出しをゴシック体、コメントを明朝体とすることに。
上記のとおり見出しはかんじゅくゴシックで決定、残るはコメント部分の明朝体をどのフォントにするか(前回しっぽり明朝とうつくし明朝は使用しているのでそれは外します)。
オールド書体が好きなのですけれど、あまり癖がありすぎると今回の本とは雰囲気がちょっと違くなってしまうので、かなり絞って候補は、筑紫Aオールド明朝・貂明朝・はんなり明朝の3つ。
この中で特に全体的に丸い書体になっているのがはんなり明朝で、フォントのコンセプトも『やさしくてふんわりとした雰囲気』なのでちょうど良いなと思い、はんなり明朝に決定。
その他のページには、扉にあさご本丸ゴシック、奥付に筑紫A丸ゴシック、イラストページにfontopo sunnyday・どきどきファンタジアを使用しています。

サイズは数字(Frog)が20pt、見出し(かんじゅくゴシック)が14pt、コメント(はんなり明朝)が10pt。
コメント部分の文章が全体で見ると結構あるため、あまり大きくすると1ページ内に収まりきらなくなってしまう上に、余白も少なくて窮屈になってしまうので、一般的な小説に使われる9ptよりも少し大きめの10ptにしました。
それからコメント部分のみ水平比率を95%にしています。
フォントサイズはこれ以上小さくしたくなかったけれど、ベタ打ちすると行の文頭に小文字や句読点がきてしまうところが多かったのと、ちょっとだけ字間が空いているかなと感じたのでそれを詰めたかったためです。

ちなみに四方の余白は、上1.5cm、ノド2cm、小口1.5cm(イラストの幅は1cm)。
下は一応1.5cm前後で調整しましたが文章量がページによって多少違うため、余白がそれよりも少し多いページや少ないページがあります。

内容について。
好きなところ100個の詳細は秘密ですが大まかに分類すると、外見に関して・内面に関して・お仕事に関すること・周りからの見られ方・してくれること、の5つ。
書き始めは100個も出るだろうか……と思いましたが、結果的には100個以上出たので、似たようなものはまとめたりコメント部分に書いたり、あまりにも細かすぎるものは外したりして100個に収めました。
書く順番は、1個目と100個目に書く項目は始めから決めていて、2~99個目に関しては1ページに書ける文字量がある程度決まっているので(350字前後)、全体量をそこに合わせるため、3個の内容ができるだけ被らないように(ただし意図して似たようなものでまとめているページもありますが)調整して配置しました。
1個辺りのコメントはあまり長々と書いてもくどくなってしまうので、伝えたいことをはっきりと、なるべく短くまとめるようにしましたが、ちょっと長くなってしまった項目もいくつかあります。





まとめ

ということで今回の装丁まとめ。
サイズ:A5変形裁断(正方形)
ページ数:表紙込42ページ フルカラー
表紙:シェルルックNツインスノー 180kg 特色印刷(蛍光ピンク)+レッド箔/表紙 & ゴールド箔/裏表紙
遊び紙:前/スターリットドリーム 90kg、後/朔宇宙 90kg
カラー本文:雷鳥コートN 110kg RGB再現性重視
その他オプション:角丸加工(9R)、表2-3印刷


推しのすきなところ、たくさんありすぎてもうひっくるめて『全部』なのですが、その一言で済ませたくないというか、ひとつひとつちゃんと言葉にして挙げて、どこがどういう風に好きなのかちゃんと伝えよう、と思ったことが始まりです。
そこから最初に書いた経緯を経て、完成に至りました。
前回の本と同様に今回も、用紙・箔の種類・フォント、表紙から各ページのデザイン・レイアウト、内容、イラスト、全て隅から隅までものすごく考えてこだわって、めいっぱいの大好きの気持ちをたくさんたくさん込めて作りました。
推しへ贈るために作ったので世界に1冊、と言いたいところですが自分用にも1冊取ってあるので、2冊。
推しと私しか持っていない、世界に2冊だけの本。
今回も作るの、とてもとても楽しかったです。
私からの大好きの気持ちが少しでも伝わっていればいいなと思いますね。

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