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すべてのビジネスパーソンに伝えたい「スポーツを仕事にする」という選択肢

スポーツを仕事にする。

そう聞くと、多くの人は「ハードルが高い」「現実的じゃない」「アスリートになるってこと?」みたいなイメージを持つと思う。

学生時代に部活に打ち込んでいたり、家族でスポーツ観戦するのが好きだったり……。なにかしらの形で、スポーツに関わったことがある人はたくさんいる。

なのに、スポーツを「仕事」にする人は少ない。

それは、スポーツが「ビジネス」のフィールドとしてもすごくおもしろいってことが、ぜんぜん知られていないからだと思う。

ぼくはスポーツビジネスの会社を経営している。会社を続けているのは、ただスポーツが好きだからってだけじゃない。「スポーツビジネス」に、とてつもなく大きな可能性を感じているからだ。

スポーツは単なる「部活の延長」じゃない。一大市場を築くポテンシャルがある。

そして、スポーツのポテンシャルを引き出すためには、いま業界の外にいるビジネスパーソンの力が必要なんだ。

もっとたくさんの人にそう知って欲しくて、このnoteを書いた。あなたがもし、少しでもスポーツに対してポジティブな気持ちを持っているなら、ぜひ読んでみてほしい!

バカな妄想だと思うだろうか?

スポーツが一大市場を築く。

ホームスタジアムやアリーナをもつスポーツクラブが、日本中の街に誕生し、スポーツを中心に地域の経済が回る。

これがぼくの描く未来だ。

バカな妄想だと思うだろうか? 確かに、いまスタジアムをもてるのは一部の人気チームだけ。ただの夢物語だと思うかもしれない。

でも、本気で言っている。

いま、ぼくらはスタート地点にいる。ゴールが見えている人はまだ少ない。けれどこの道の先に、確実に未来はある。

スポーツは、街に新しいビジネスを生む。

スポーツクラブには、数十〜数百社のスポンサー企業がいる。クラブが「ハブ」となって企業どうしをつなげば、新しいビジネスチャンスができる。スポーツを介して新商品のキャンペーンをやれば、ファンの人たちにちゃんと届く。

スポーツは、街に人を集める。

スポンサー企業の経済活動が盛り上がれば、クラブも企業も潤って、そこに雇用が生まれる。働き口が増えれば、その街に住む人も増える。

「地元で人気のクラブに関わって働ける」となれば、若者の流出が抑えられたり、IターンやUターンで帰ってくる人もいるだろう。

スポーツは、ホームタウンに住む人みんなを幸せにする。

人が増え、企業が潤えば、街の税収が上がる。行政が潤う。そうすれば、子ども手当てなどの住民サービスも手厚くできる。街に愛されるスポーツクラブがあることは、住民にとって誇りにもなる。

スポーツを中心とした、ハッピーな経済圏。

ぼくらはいま、それを日本中で実現しようとしている。

地域にひとつ「スタジアム」がある未来

そのために必要なのが、アリーナやスタジアムだ。

いまは一部のメジャースポーツを除いて、公共の体育館や運動場で試合をしているクラブが多い。でも、体育館や運動場は「競技をする」ために作られた施設。「競技を見る」人のことは、あまり考えて作られていない。

だから会場への導線が悪かったり、客席からコートが見えづらかったりする。

スポーツの試合は、もっと「エンターテイメント」にならなきゃいけない。

必要なのは、スポーツが熱烈に好きな人じゃなくても、思わずワクワクするような空間だ。レベルの高い映像や音響、VIPルーム、おいしい飲食の店舗……。

スポーツ会場が「定番のお出かけスポット」になり「ビジネスの商談の場」になる。

そんな未来がぼくには見えている。

アメリカなどの海外では、すでにそうなっているんだ。

もちろん、施設をつくるには、行政や街の協力が不可欠。赤字を垂れ流すだけの「ハコモノ」では、誰も手を貸してくれない。

だからこそ、まずは「スポーツによって地元にちゃんとお金が落ちる」ことを証明しなきゃいけないんだ。

「ハブ」としての魅力を最大化するしくみ

ぼくらはいま、そのためのしくみを広めている。

これまで多くのスポーツクラブでは、個別の企業どうしのマッチングまでサポートするのは難しかった。

もちろんちゃんと力を入れているクラブもあるんだけど、スポンサーパーティーで名刺交換をするだけで終わってしまう……なんてこともけっこうある。

それは無理もない話だ。クラブの営業さんはだいたい5人程度で、100〜200社ものスポンサー企業を担当しないといけない(もちろんクラブの規模にもよるけど)。1社1社の詳しい近況まで、なかなか把握しきれていなかった。

そこでぼくらは、同じクラブのスポンサーどうしで交流できるコミュニティサイトをつくった。「パートナーズシップ」というサービスだ。

これがあれば、クラブの周りでもっと自由に経済活動ができるようになる。クラブとスポンサーのつながりも、より強くなる。

コミュニティ内では「サイトリニューアルの発注先を探してます」「宴会のケータリングを注文したい」みたいな情報を投稿したり、自社の商品を宣伝したり。採用の情報も載せられるし、クラブのファンに向けてクーポンなどを出すこともできる。

クラブを「ハブ」にして、人と企業と行政がつながれる

スポンサー企業にはこれまで以上に「事業にダイレクトにつながる価値」を感じてもらえるだろう。

たとえば「福岡に進出したい大分の会社」と「地元の企業100社がスポンサーをしている福岡のクラブ」があるとする。このコミュニティがあれば、大分の会社はクラブのスポンサーになるだけで「福岡のホットリスト100社」といきなりつながれる。

これまで「クラブのスポンサーになる価値」を定量的に説明するのは、けっこう難しかった。ユニフォームや会場に社名が載ることは、たしかにブランドにはなるけど、事業に直接むすびつくとは限らない。

でもこれからは、クラブから企業さんへのセールスもやりやすくなるはずだ。

カルチャーを浸透させるべく「手動」でマッチング

最近、パートナーズシップに乗っかってくれる企業さんもどんどん増えてきた。

本当は、コミュニティ内でみんなが自由にマッチングしてくれるのが理想。でも、いまはまだ「どうやってマッチングすんの?」って状態だ。そんなカルチャーはいままでなかったんだから、無理もない。

だからいまは、ぼくらが「手動」でどんどんマッチングを仕掛けている

たとえば、Bリーグの福島ファイヤーボンズさん。

彼らのスポンサーには「パチンコ屋さん」「仕出しのお弁当屋さん」がいた。パチンコは1日を通してやる人が多くて、みんな昼ごはんを食べたい。でも食堂のメニューは決まったものしか売ってなくて、もう飽きちゃってたりする。

そこでぼくらは、お弁当屋さんとのマッチングを提案した。「ファイヤーボンズキッチン」みたいにクラブとコラボしたキッチンカーを、パチンコ屋さんの駐車場に出す。弁当の帯には、ボンズの試合スケジュールを載せる。

そうすれば、パチンコ屋さんとしてはお客さんにお昼を食べてもらえて、長居してもらえてうれしい。お弁当屋さんとしても販売場所が増えてうれしい。クラブも宣伝ができてうれしい。みんなwin-winのマッチングだ。

あとは、広島の福山シティFCさん。

彼らのスポンサーには「温浴施設」と「漬物の業者」と「クラフトビールのお店」がいる。

そこでぼくらは、その「ゆらら」という温浴施設に「福山シティサウナパッケージ」をつくる提案を、クラブの担当者さんにした。

サウナに入ったあとは塩味のあるものが欲しくなる。だからビールと一緒に、オリジナルの漬物を食べられるメニューを考えた。

そうすれば漬物屋さんとクラフトビール屋さんは、商品の販売場所が増える。ゆららは、サウナに来てくれた人の満足度を上げられる。サウナ+αのお金を落としてもらえる。

3社のスポンサーがつながることで、ライフタイムバリューを上げられる。

いまうちの社内では、こういうマッチングを勝手に考えては「めっちゃおもろいやん!」って盛り上がってる。「パートナーズシップ」に登録されてる企業を壁に映してみんなで見て「あ、この企業とこの企業、絶対つながる!」って。

ぼくらで資料までつくって、クラブの営業さんにそれを渡して、地道に提案してもらってる。

泥臭くても、未来が見えるからつらくない

「意外と泥臭いことやってんな」と思われたかもしれない。

プラットフォームをつくっただけで、とつぜん業界を変えられるわけじゃない。ゼロから新しいカルチャーをつくるには、やっぱり人の力がいる。

こうやって泥臭くカルチャーを広めて、事例が増えてくると「これはうちも一枚噛めるかも」と動いてくれる会社も増える。

そうしてだんだんと、マッチングが自動化していくと思ってるんだ。

スポンサー営業を何クラブ分も担当してるみたいなものだから、現場のメンバーたちはめちゃ大変だと思う。ぼくも毎日、いろんな地方を飛び回っている。

それでもまったく苦じゃないし、むしろワクワクしてる。仕事が楽しくて仕方ない。みんなひいひい言いながらも、顔は笑ってる感じだ。(だよね?笑)

それは、この先に明るい未来が見えているから。

福山でこういうマッチングの提案ができるようになったのも、50社近くのスポンサーが「パートナーズシップ」に乗ってきてくれたおかげ。

もっといろんなクラブで導入が進んでいけば、ぼくらの思い描く未来にどんどん近づいていくはずだ。

スポーツ市場には伸びしろしかない

スポーツはこれまで、言葉を選ばずにいえば「儲からない」業界だった。

でもそれは、クラブへの「投資対効果」が明確じゃなかったから。

これから「ハブ」としてのスポーツの魅力が広がっていけば、企業や行政から「応援」ではなく「投資」のためにお金を出してもらえるようになる。

「地元のがんばってるクラブだから」という理由で出してもらえるお金には、どうしても限界がある。でも「投資すれば何倍にもなって返ってくる」なら、1億円でも2億円でも、出してくれる企業はたくさんいる。

儲からない業界なのではなく、儲かるポテンシャルに気づいていなかっただけ。

スポーツ市場には伸びしろしかないとぼくは確信してる。

「スポーツ×〇〇」の可能性は無限大

それに、スポーツにはまだまだ未開拓のマーケットがたくさんある。

たとえば「スポーツ×建設」。スポーツスタジアムやアリーナの建設をするとなれば、一気に数百億円のお金が動く。すでに神戸や長崎では、アリーナを中心とした再開発が進んでいたりする。

たとえば「スポーツ×旅行」。応援するチームの試合を見るために、ファンが遠征することを「アウェイツーリズム」といって、サッカーや野球ではすでに盛んにおこなわれている。

たとえば「スポーツ×賭け」。いわゆるベッティングだ。いまは法律的に難しいけど、行政や中心企業を中心に、規制の緩和を検討してる。

で、これらのトリガーになるのはやっぱり「プロスポーツクラブがいかに盛り上がっていくか」だと思う。アリーナ建設が進むかどうかも、アウェイツーリズムやベッティングをする人が増えるかどうかも、すべてはスポーツクラブにかかっている。

仕事への反響がダイレクトに届く

スポーツの仕事はおもしろい。

なによりうれしいのは、ファンの熱量をダイレクトに感じられること。

スポーツはコンテンツとして強いから、ファンの反応がものすごくダイレクトに届く。新しいクリエイティブが出ると「うわ、めちゃめちゃ変わった!」といちいち反応してくれる。

このあいだも選手たちがぼくらの作ったユニフォームを着てくれて、ファンの人たちに「ユニフォームめっちゃ格好よかった!」って言ってもらえた。そういう反応を見ると、やっぱりすごくやりがいを感じる。

これは他のビジネスでは、なかなか味わえない感覚だと思う。

まずは「複業」からはじめませんか?

とはいえ「いきなり転職するのはハードルが高い」って人もいるだろう。

そういう人に提案したいのは、まず「複業」でスポーツに関わってみること。

ぼくらはいま「複業クラウド」を提供するアナザーワークスさんと組んで、スポーツクラブに「複業人材」をどんどん送りこもうとしている。

先日、Bリーグの福島ファイヤーボンズさんで求人を掲載したら、ふつうの求人の5倍の応募があったそうだ。しかもすごく優秀な人ばかり。もともと募集枠は1名だったんだけど、優秀すぎて2人採用して、そのうち1人は社員登用することになった。

複業ならクラブとしても気軽に採用できるし、応募のハードルも低くなる。

こうやってじわじわと、業界外のビジネスパーソンに、スポーツに関わってもらいたいと思っている。

スポーツをやってた人に帰ってきてほしい

今はそもそも「スポーツ業界」というマーケットに、人材が出ていない状態。

でも、かつて部活に打ち込んでいたり、スポーツは好きだけど「仕事」にできるなんて思っていなかった、という人は多いと思う。

いまの環境に満足しているならいい。でも、もし「仕事が楽しいわけじゃないけど、離れないのが賢明だ」と思っていたり「子育てで現場から離れてしまって、戻りづらい」と感じているのなら。

ぜひ、スポーツの世界に帰ってきてほしいんだ。

これからのスポーツ業界には、そういう人が必要だから。

スポーツ業界にはこれまで「稼ぐ」視点があまりなかった。「企業部活」の延長で、クラブ運営をしてしまっていたからだ。

でも、企業や行政にマッチングを提案したり、クラブの経営を改善したりするには、ビジネス視点が不可欠だ。会場にお客さんを集めるための、マーケティングやクリエイティブができる人材も足りていない。

外の世界でビジネスやクリエイティブを学んだ人が、それをスポーツの世界に還元してくれたら、すごく活躍できるし、求められるはず。

熱烈なスポーツ好きじゃなくても、むしろスポーツを「利用する」つもりで関わってきてほしい。これから伸びる、最高におもしろいマーケットに、あなたのスキルを投資してみてほしい。

ぼくらは、あなたみたいな人を求めている。

今後「複業クラウド」の導入クラブもどんどん増やしていく。「スポーツ業界、ありかも……」と思った人は、ぜひチェックしてみてほしい!


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