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まだここにも来ていないあの頃、遠くから憧れていた日々

昨日、出身中学校に「高校生から学ぶ講演会」なるものでお邪魔した。

ちょうど昨日は県立高校の入試の日で、毎年私の中学校では高校生を数人招き、中学2年生にむけて講演をしている。中学時代、そこそこ優秀でリーダー系も多くやっていた自分も呼ばれるのではないかと思っていたので、打診がきた時は「やっぱり」と思った。昔から前に出て話すということが嫌ではなく、むしろ好きな方だったから、ためらいなく引き受けた。

オファーをいただいてから本番まで約一か月ほどあり、私は中学生に何を伝えようかずっと悩んでいた。約15分の講演×3回。一回につき15人程度の、私の通う高校に進学を考えている子たちが来る。第一希望の子から、第三希望の子まで、皆に話を楽しく聞いてほしいと思っていた。

話す内容にとても悩んだ。その子たちに自分が伝えるべきことは何だろう。もし自分の話したことがその子たちの未来を変えてしまったらどうしよう。

また、私の高校生活についてもどこまで伝えようか。はっきり言って今の私が通う高校は、周りはみんな超人ばっかで、めちゃくちゃ勉強や部活を頑張らないとついていけない。私は高校一年のとき、勉強についていけなかったし、友達をつくることもできずぼっちだった。部活も、中学時代に県選抜に選ばれていた子ようなたちもいて全然ついていけなかった。中学自体になかった屈辱的な経験をたくさんした。元来高かったはずのプライドは、ずたずたになっていた。

高校二年になってから、少しずつ成績があがり、友達がたくさんでき、部活にも馴染めるようになった。前のような自信やプライドはもう持てないが。

高校一年の時を振り返って後悔していることはたくさんある。一方で、この高校に進学したことについては後悔していない。得られたものもたくさんあった。決して中学生が絶望することはないように、しかし、自分の後悔も含めてしっかり伝えようと決めた。

前日まで、何時間もかけてスライドをつくり、何度もぬいぐるみに講演を聴かせた。

そしてついに当日。一緒に講演をする他高校に行った同級生や恩師との再会を喜びつつ、ついに中学生を前にする。

最初に講演したグループの子たちは、明るいけどがちがちに緊張してて、私まで緊張してしまった。最初の方は何を言っても静かで、あーやばいなんか滑ってる気がする、、と思いながらやっていたけど、ところどころアドリブをぶっこみ何とか笑ってもらえた(いつの間にか笑わせることが目的になってた笑)。

2回目のグループの子たちは第一志望の子が多いらしく、1回目とは少し雰囲気が違っていかにも勉強ができそうな子たちが多かった。私より頭のいい子が絶対いるだろうな、、、と思いつつ講演していたが、すごく興味をもって私の拙い話を聞いてくれた。わたしが中学時代に作っていたノートを見せた時も「すげえ…」と言って1ページずつ真剣に見てくれていた。うなづいたり、積極的に手をあげて質問してくれる子たちで、ほんとうに素晴らしくて感激してしまった。私も緊張がほぐれてきて、先生をちょっといじって笑いをとるぐらいの余裕ができてきた(先生ごめんなさいね笑)。

3回目は、さすがに私も慣れて、一番うまくできたと思う。3回目のグループの子は、前のめりかつ純粋で、ある女の子は「ねえ!さっきの高専の女の人、めっちゃ可愛くなかった?!笑った顔がさ!も~惚れそうだった~!」なんて友達に話していて、かわいかった。その子は私が話している間も、終始目をキラキラさせて、いちいちリアクションをとっているのがまたかわいかった。その子だけでなく、他の子たちもたくさん質問をしてくれ、すごい前のめりになってくれた。

そんなこんなで三部構成の講演も終わり、控室で同級生たちとわちゃわちゃしたあと、惜しみつつ解散した。


ふりかえってみると、今回講演を聴いてくれた中学生はみんなとにかくいい子たちだった。先生からは、「この学年、元気でいい子たちばっかりなんだけど、勉強全然できないんだー」と聞いていて、実際のところ勉強への意識はやっぱりちょっと低かった。しかし、本当に素直で、純粋で、あどけなかった。わたしにとっては眩しすぎるような、真っすぐな眼差しを向けてくれた。今も、思い出してクラクラするぐらいだ。

私はよく「完璧だね!」「さすが〇〇さん、なんでも出来るね」と言われ、このような華やかな場に出させてもらったりしてきたけど、実際何もできない。そんなに純粋な目で見つめられて、憧れですと言われても、私はそんな大層な人間ではないのに申し訳ないと罪悪感を抱いてしまう。

ただ、思い返してみるとかつて中学生だった私も同じような憧れをある先輩に抱いていたことを思い出した。

中三の時、私が通っていた塾に、私の志望高校から1個上の男の先輩が講演にきた。その人はめちゃくちゃ話が上手で、容姿端麗。バスケ部に所属していて、頭もすごく良く東大に行きたいと言っていた。私はその先輩を尊敬し、そして背中を追いかけるようにして今の高校に入った。

しかし入学してみると、先輩はとにかく目立ちたがりでうるさいし、女好きで受験生になっても後輩の女子とおしゃべりしているような人だった。最初は東大を余裕で狙えた成績もどんどん落ちて最終的にはだいぶレベルを落とした大学にすら落ちてしまった。

正直、あんなに憧れていたのにとがっかりしたのだが、思い返してみれば、憧れていたのもがっかりしたのも私の勝手であった。先輩は講演に来てくれたとき、少なくとも完璧に見えた。それは、私たちに立派なところだけを見せてくれたのかなと今は思う。あの時先輩に憧れたことで、私は今の高校にいる。そして私も中学生に向けて講演をして、あの時の先輩の立場にたっている。

そのことを思うと、やっぱり先輩には感謝の気持ちが大きい。

昨日の講演で後輩たちが私に向けてくれた真っすぐでキラキラした眼差しは、いつか失望に変わるかもしれない。実際、私はそんなに大した人間ではないのだし。

でも、そうなるまでに、誰かの頑張る糧になって、追い越すべき目標となれたら嬉しいなと思う。



昨日私が講演した子たちは、来年度高校受験。この私も、来年度は大学受験。

みんなの純粋で強いエネルギーをもらって、私も頑張ります。



わたしもあんな風に輝いていたっけ、な




みんなの将来が輝かしいものでありますように。

今日の1曲   いつの日にか、あの歌を…/乃木坂46

タイトルはこちらの歌の冒頭部分から取りました。

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