見出し画像

【量子化学】シュレディンガー方程式の微分演算子(∇^2)の偏微分計算をできるだけ分かりやすくまとめてみた

図28 ファンタジー

引き寄せの法則・スピリチュアルと量子力学を結びつける――科学的にこれを証明するためには両者を橋渡しする未知の関数を示す必要があります。それができない限り、両者に関係性があるかのように喧伝する人の説明は何一つ信用できるものではなく、すべてが虚構(両者は無関係)と言わざるを得ません。もし、未知の関数が明らかにされた際には考えを改めますので、すぐに自分に連絡をくださいますようお願い申し上げます。

さて、枕はこのくらいにしておきましょう。今回はそれより幾分簡単な量子力学のシュレディンガー方程式に登場する3次元微分演算子(ラプラシアン;∇^2)の極座標変換の偏微分計算について、前回より少し詳しく記述しました。ヨビノリさんが解説している【大学数学】3次元極座標(球座標)【解析学】の先にある楽しい楽しい計算のお話です。

このナブラ記号「∇」は物理の方にはお馴染みだと思いますが、化学ではほとんどでてこないので自分はイマイチ馴染みがありません。∇^2 を自分なりの言葉で表現するなら、3次元的な位置が少し変化したとき波動はどの方向へ動いていくのか?を表す勾配と言ったところでしょうか。ちなみに、∇は楽器の竪琴の形に由来しているらしいです。何となくハープに似てますね。

1.今から書くこと

図16 表紙

与式から⓪式の行間で起こったことについて書きます。地道に x, y, z それぞれの2階偏微分を導いて足し合わせることをやります。

2.直交座標から極座標への変換

まずは、xyz を使って表現していた3次元空間の座標を動径(距離 r )と2つの偏角(緯度 θ、経度 Φ;正しい表現は余緯度 θ 、方位角 Φ らしいです)に翻訳します。

図1 極座標変換

3.1階偏微分

とりあえず、x, y, z について r, θ, Φ で1階偏微分をします。最初は x から。

図18 x1-1

ちなみに、これは計算結果しか書いてません。具体的な合成関数の微分と逆三角関数の導関数を使って r, θ を x で偏微分したっていう計算例は下のスライドの通りです。

図18 x1-2

Φ については書いてませんが、θ と同じやり方をすれば偏微分できるでしょう。後は x でやった3成分の偏微分を y, z についてもやるだけです。しっかし、これが面倒くさいったらありゃしませんので、計算結果だけスライドにしておきますね。

図19 y1

図20 z1

やっとこさ1階偏微分が終わったので①②③式をまとめて並べますよ。

図21 整理1

これでめでたしめでたし……じゃありません。残念ながら、こいつらをもう一度 r, θ, Φ で偏微分する必要があるんです。1階偏微分だけでこんなに式が長くなるってことは、2階偏微分したらどうなるんでしょうね?

( 'ω' ).。oO( あっ……(察し)

4.2階偏微分

お察しあそばせ。1階偏微分された x, y, z について r, θ, Φ で再び偏微分します。最初は x についての計算結果から。

図22 x2-1

まぁとりあえず①’ 式を見てやってください。計算する前に三角関数の略記を使ったとしてもこの式の長さですよ。信じられます?こんなもの、sin, cos を律義に書いてたら紙面がとんでもないことになりますよ。

①’ 式を算出するには下のスライドのⒶ式に書いた通り、1階偏微分した x を r, θ, Φ でそれぞれ偏微分して足し合わせる必要があります。

図22 x2-2

計算例として1階偏微分した x の r による偏微分を書いておきました。注意しないといけないのは青・緑エリアみたいな積の微分です。九仞の功を一簣に虧くって感じで、どれか一つを抜かしたり、符合間違いを起こすと後でどこから間違ったのか探す遊びに興じることになります。後は、r と同じように θ, Φ でも偏微分するわけですが、積の微分が楽しいほど出てくるんで是非お試しくださいませ。

おやおや、x の2階偏微分だけじゃご満足いただけない?そんな方はご安心ください。ちゃんと、y, z についても2階偏微分の用意がありますから、ゆっくり計算していってくださいね(狂気)。計算量が1階偏微分の比じゃないので、計算結果だけスライドにしておきましょう。

図23 y2

図24 z2

さて……阿鼻叫喚の無限回廊と言うべき2階偏微分がようやく終わったので①’ ②’ ③’ 式をまとめて並べましょう (x3_ヽ)_

図25 整理2

圧倒的文字数に、もう笑うしかないっす。

5.微分演算子∇^2

当初の目的でもあった∇^2 を求めるために、①’ ②’ ③’ 式を足し合わせます。見づらいので下表のように項別に分けて係数を計算します。

図26 ∇計算

赤文字部分が微分演算子∇^2 の項別の係数です。係数0の項は考えなくてもいいので、後々計算しやすいように動径(距離 r)と偏角(緯度 θ、経度 Φ)の順に項を並び替え、最後に三角関数の略記を戻すと最初に提示した与式から⓪式の行間で起こった内容になります。

図27 まとめ

自分が持っているひと昔前のアトキンス物理化学はNOTE表紙のように与式から一連の計算を省いていきなり⓪式に飛んで解説していたので完全なる初見殺しだったんです。だから、自分と同じように混乱する人が出ないようにここに書いておきました。どうしてこうなったのか分からない方にとって、参考になれば幸いです。

🍩c(  'ω'    ).。oO( 引き寄せの法則・スピリチュアル界隈の量子力学ってリアルにどんな計算してるんですかいのぅ?

この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

化学がすき

「ためになるわ」と感じて頂ければサポートを頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。