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将棋界について最近思ったこと3つ

将棋AIが定跡創造を資する時代へ

AIが将棋界に登場する以前(2000年頃)はプロ棋士が主導してゆっくりと定跡を新化させていた。ところが、一局面の形勢を誰が見ても分かりやすい数字にして評価するAIが登場してからは状況が一変し、序盤の研究が爆発的なスピードで進むようになった。今現在、定跡は日進週歩の勢いで新化を続けており、このスピードについていけないプロ棋士の成績は下降線を辿ることになるだろう。

また、これによってアマ棋界にも変化が生じた。アマがAIを活用して定跡の最前線を走っていることがあるため、序盤戦に関してはプロとの差がほぼほぼ無くなってきている。その一例として、2018年にはアマがAIを用いた定跡の書籍を出しており、プロの棋戦でもこちらに取り上げた局面が出現しているそうだ。

プロと言っても強さはさまざま

AIに裏付けされた定跡創造・研究も手伝ってか、プローアマ戦においてアマが序盤戦でのリードを生かしてそのまま勝利することがたまに起こっている。形勢が五分五分のまま終盤に突入すれば終盤力に勝るプロの方に分があるわけだから、序盤戦で相当水をあけられたということなのかもしれない。

このように、プロがアマに白星を献上してしまうことがあり、一口にプロと言っても皆タイトルホルダーに匹敵するような圧倒的な強さを誇っているわけではない。とはいえ、個人的には現役のプロ棋士全員は最低でもアマ相手には負けない棋力を維持していることが存在意義であり、またそれが理想的な状態だと思っている。

「君たち、悔しくないのか」

谷川九段が藤井二冠の活躍を許している20代、30代棋士に対して「君たち、悔しくないのか」と仰ったそうだが、特定の世代に責任を押し付けるような表現には何とも言えない違和感を覚えた。藤井二冠の露出は他の棋士にとって面白くない話だろうが、だからと言って40代以上の棋士に全く責任がないわけでもない。年齢を問わず、藤井二冠に勝って見せた者がこの言葉を発さなければ余り説得力を持たないだろう。

奇しくも9月9日、第79期名人戦・順位戦B級2組において谷川九段ー藤井二冠戦が行われる。例の言葉通り、谷川九段が藤井二冠の快進撃を止めるかもしれないので、是非とも注目したいところだ。

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