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『漣』



海の波に恋慕した。




全部、全部、振り捨てて。



くしゃくしゃになった忘れじの花束。



憐憫のよどみは小さくなっていく。



掠れた声で、微かでも生きていく。




「もう一度会ってくれますか」




残響めいた波を、


月明かりが照らす。

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