求人広告の画像について考える、秋。
【お知らせ】
いきなりですが、そして突然ですが、お知らせがあります!なんと、ぼくが先週書いたnote『求人広告の職種名について考える、秋。』がSmartNewsに紹介されました!
なぜあのような間口の狭い記事がスマニューに?と不思議で仕方ないのですが、きっとPVの低い記事を3年にもわたってシコシコ書き続けているぼくを編集部の方が哀れんで「褒美じゃ、くれてやる」してくださったのでしょう。ありがたやありがたや。
それからというもの、SmartNewsを1時間ごとにはすはすしながらチェックしているのですが、一向に取り上げられる気配はありません。
ハヤカワさんさっきから笑ってるの?泣いてるの?と隣の同僚に聞かれます。両方、と答えています。
現場からは以上です。
求人広告にとって画像はPVや応募数に大きく影響を与える要素。「目は口ほどに物を言う」とはよくいいますが、求人の場合は「絵は言葉よりも雄弁」といっても過言ではありません。
最近ではデジカメの性能もグンとアップ。なんならスマホのカメラでも求人広告サイトに掲載するぐらいなら充分耐えうるクオリティの画像が撮れるようになりました。
なのに求人広告の画像が進化したような話は一切聞かない。なぜか。
おそらく、レベルの低い方に粒が揃ってしまっているのでしょう。
画像のクオリティはみんな横並びで上がった。しかしそのクオリティは画質や色味といったハード面にすぎない。
肝心の、何をどう撮るか、というソフトについては何一つ進化していないのです。それどころかハードの良さに安住して現状維持、あるいは退化している可能性すらあります。
その結果、あいも変わらずニッコリパッチリの笑顔画像があふれることに。これではその会社らしさも伝わらないし、そもそも差別化なんて図れっこありません。
そこで今回は令和の世にふさわしい、これからの求人広告のあるべき画像について考えてみたいと思います。
笑いたくなければ笑わなくていい
求人広告の写真といえばニコパチが定番。ニコパチとは読んで字の如く、ニッコリ笑った瞬間をパチっと撮影、というものです。
そりゃ、ふつうは誰だって笑顔いっぱいの画像の会社のほうがいいに決まってます。しかめっ面の無愛想な連中が並んでいる画像よりも何倍も好感が持てますよね。
と、いうわけで今日も求人広告取材撮影の現場ではカメラマンさんの必死の「はい!もうちょっとニッコリできますか~?すぐ終わりますので~!お願いしまーす!左の方、もうちょいです、もうちょい笑顔を~」という悲鳴にも似た指示が飛ぶことに。
ぼくも求人広告制作時代、そして現在の採用広報コンテンツを作るときにはつい「笑顔!笑顔で!」となんとかファニーフェイスを引き出そうと努力してしまいます。
だけども。
最近ちょっと思うところがある。
そうやって作られた笑顔で、本当にその会社らしさや、その人らしさは伝わるんだろうか。どこの会社のどの社員もみんな、似たような作り笑いのコンテンツなんだけど、本当にそれは求められているのだろうか。
なんか、無理して笑顔をひっぱるよりも、笑いたくなければ笑わなくていいんじゃないか。だからといってその顔が無表情ってわけじゃないはず。被写体の自然な顔をそのまま切り出すほうが、これからの求人広告には重要なんじゃないかと思うんですよね。
それが何よりの差別化につながるんじゃないかと。
もちろん、ブスっと怒っていてはいけないと思いますよ。画像の向こうの求職者にメンチきっても何もいいことはありませんから。
だけど、そろそろみんな、作り笑いからは卒業していいんじゃないかな。
デスクの上をかたづけなくていい
これも求人広告の撮影には定番といえるアクション。働いている姿を、となるとデスクでパソコンに向かっている、だったり、ふたりでディスプレイを眺めながら意味もなく指を差し合うようなシチュエーションを作ります。
そのとき、必ずやるのが特別にデスクのまわりを整理整頓すること。
いや、これ、著作権や肖像権などが絡んでくるものはどけないといけないとおもいますよ。たとえばデニーズランドのマッキーミウスの人形だったり、きつめのやばいのマウスパッドだったり、SPICE×FAMILYのアニャニャのキーホルダーなんてのは速攻でかたしましょう。なんかいろいろおかしいですが察してください。
でも、それ以外の資料や書類などが山積みになっている、とか、モニターに無限に付箋が貼ってある、とか。スケジュールがごちゃごちゃ書き込まれている卓上カレンダーとか。そういうのはオーガニックでいいと思うんです。
その自然な姿こそが、その会社での働くリアル。そこはお化粧しないほうがいいと思うんですよね。自然な姿がその会社のいわゆるドレスコードなわけで。美や整理整頓の意識を見事にあらわしているのです。
もちろん付箋にパスワードが書かれていたりすることもあるので、それは写り込まないように工夫するなり剥がすなりしたほうがいいけど、それ以外はあまりキレイキレイに整理整頓したくない派。
最近はリモートワークが一般化したこともありデスクまわりで自己表現する人はグッと減っていると思います。でもみなさん、よく思い出して見てください。コロナ前はパーテーションに囲まれた自分だけの空間をみんなめいめいにディスプレイしていたでしょう。
ぼくはあれ、個性があってよかったなと思うんですよ。
もしキャラクター商品を動かすことができなかったら、そのまま撮影してあとでフォトショでぼかせばいい。それだけのことっす。
全部カラーである必要もないはず
これは画像にかぎらずなんですが、求人広告ってやたらネガティブ表現を避ける傾向にあります。ネガティブアプローチ禁止といってもいい。
だけど、過去の経験則からいうと、採用力に乏しい募集のときほどネガティブアプローチが威力を発揮するのも事実なんですよね。
で、これを画像に適用するとどうなるか。
ぼくは思うんですけど、すべての画像がカラーである必要ってないんじゃないか。中には全編あるいは一枚ぐらいモノクロの画像があってもいいのではないだろうか、と。
あるいはセピアカラーとかですね。伝えたい情報によってはモノクロやノワールタッチ、あるいはブルーかかった画像のほうがコミュニケーションスピードが早い場合があると思うんです。
もちろんその場合はキャプションや、キャッチコピー、ボディコピーとの連動を意図的に仕掛ける必要があります。ただ単に目立つだけでは、かえって採用にとってはマイナスに働く可能性が拭えません。
また、職場や働く人、仕事の一場面が求人広告における定番画像なんですが、BtoCの場合は商品が雄弁にブランドを語ることも。アパレル企業なんかもそうですね。そういう、他とちょっと違った画像もどんどん前に出していい時代なんじゃないかと思うんです。
なにがいいたいかというと
まとめます。
これから採用に必要なファクターはおおきくわけて2つ。
それは透明性と一貫性です。
透明性とは言うまでもなく、隠し事をしないということです。それは経営と現場だけでなく、社員同士、さらに社内と社外も含まれます。社外ということは企業とお客様だったり、企業と株主だったり。
そこに当然、企業と求職者も含まれるわけです。
そして一貫性。これはメッセージにブレがないということ。採用の場面ではAといいながら、入社後の実態はFだった、なんていうことがこれまでの会社社会ではありました。
そしてそれは仕方ないこと、それが社会だよ、なんてしたり顔で年長の先輩から教えられ、そんなもんか、となんとなく納得がいかないまでも飲み込んできた。それが現在の40歳オーバーあたりまでだと思います。
もうこれからは、そんなことを頭から信じなくても大丈夫。
言ってることが違う会社には「言ってることとやってることが違う」とレッテルを貼ればいいんです。求職者として、そして消費者として。
社員になるとなかなか言いにくい?いや、確かにちょっとしたテクニックは必要ですけど、ちゃんと段取りを踏めばおかしいことはおかしいと言いやすい社会になりつつありますよ。
それほど社会の成り立ちが変わりつつあるのに、いつまでも求人広告表現だけが昔のままでいいわけがありません。
透明性と一貫性を意識して、どんどん新しい世界を開拓していく。それがこれからの求人広告制作のもうひとつの楽しみ方ではないかと思います。
とんでもない画像でぶっちぎりの効果を出してやろうぜ!
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