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取材の心技体・「技」編…いい質問がいい回答を生み、いい原稿になる

求人広告制作に関わる人のみに向けて毎週月曜日に更新している当連載。基本、一話完結のスタイルで書いています。なのに前回、「取材」をテーマに語りはじめたら一回で終わりませんでした。なんか、心技体でいうところの心のところで力尽きた。

ということで今回は技編です。「取材前のアイスブレイク」や「拡大質問・限定質問」といったド定番のノウハウではなく、現場で困った事案にぶつかったとき、それこそチカラワザでなんとかしてきたエピソードをもとにオリジナリティあふれる法則をこっそり紹介します。

拡大質問とかそのあたりはググってください。よっぽど詳しく書かれているはずです。

ちなみにぼくは同じことを3回繰り返して上手くいったものを「法則」と呼ぶようにしています。1回ぐらいじゃ偶然かもだし、2回できてもまだまぐれ。2度あることは3度ある、のことわざじゃないけど、さすがに3回再現されればそれなりに鉄板ではないかという基準を設けているんですね。

なのでたぶん、ぼく以外の方にもあてはまるだろうな、とおもっています。いやそんなことないし、という方はぜひコメントくださいませ。

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最初に取材の原理原則をお伝えします。

それはいい質問がいい回答を生み、いい原稿になるです。

これはもうおそらく誰もつっこめないんじゃないの?ってぐらい真理だとおもう。ここからご開陳する内容はすべてこの原理原則の第一「いい質問」のためにあるといってもいいすぎじゃありません。

大事なことなのでもう一度書いちゃおうかな。

いい質問がいい回答を生み、いい原稿になる。

求人広告はもちろんインタビュー記事や企画系の仕事にも通じる原則です。覚えておいて損はないとおもいます。

圧倒的事前準備徹底の法則
入手できるものには全て目を通す。いまどきググるのは当たり前です。ググってわかることは絶対におさえておく。その上で、時間に余裕があれば本屋に足を運び、その会社や事業内容に近いところから順に関連書籍を立ち読みしていく。BtoCなら近似値な情報が手にはいるけどBtoBだとなかなか直接関連する書籍ってないはず。そんなときでも業界本などさらっと目を通しておくだけで全然違います。質問がグッとセクシーになるよ!

ビークワイエットの法則
これはわりと初心者がハマる落とし穴。なぜか自分が主役かのように話の主導権を握ろうとする人がいます。それだけならばまだいいんですが、すっごいしゃべる取材者がいる。いやここはお前の話を展開する場じゃねーよと。そしてその手のタイプにありがちなのが、沈黙に耐えられないんですよね。相手が黙っているのは質問に対して回答を考えている大事な間。無意味なトークで埋める必要はないっすよ!

ボスは誰だの法則
複数人が取材対象の場合に注意すべきポイントです。3~5人いる中でほとんど会話に参加しない人が1人いるはず。その人をスルーしてはいけません。もしかするとその人こそ最重要人物だったりするんです。「つまりこの件は●●ということですが、▲▲さんも同じご認識でしょうか」みたいに水を向けましょう。意外と違う考えだったりして、しかもそっちが「正」だったりして冷や汗をかくこともしばしば。特に周囲がその人の意見に同調するようなら間違いなくボスです。

キャッチボールせよの法則
これは打ち合わせの話のときも書いたのですが、メモ魔っているでしょう。あれは取材時もNGです。取材のときもきちんと相手の眼をみて話に耳を傾ける。そして飛んできた言葉を打ち返す。枝葉を広げる。こちらの解釈をすりあわせる。まさに脳をフル回転させながら会話のキャッチボールを楽しむ感覚です。逆説的ですが、いい質問がいい回答から生まれることもあります。それはとりもなおさず、きちんとしたコミュニケーションの上に成り立つものなのです。

バカになれ、ピエロになれの法則
ときどきびっくりするぐらい底意地の悪い取材対象者にぶつかるときがあります。あるいは超絶非協力的な人。そんなときは自分のモードを「人間」から「バカ」へと切り替えます。ほとんどピエロ。お調子者のお祭りバカに徹する。そしてなんとか盛り上げて、相手にくらいついてでも情報を集めます。取材対象者からは冷たい目で見られますね。でもいいの。取材の目的はネタを仕入れることで、オレの自尊心を満たす場ではないのですから。

相手に惚れさせろの法則
これは上の項にも微妙に絡んでくることなんですが。あらかじめ取材対象者のことがわかっている場合、どんな物言いが相手に刺さるか、を用意しておくといいです。そのキラーフレーズをここぞというところで出すと、取材対象者の興味関心がグッとこちらに来ます。そうしたらしめたもの。そのためにも普段から「自分ならどんなことをどんなふうに言われたら感動するだろうか」ということを考えておくべきです。

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取材記事、特にインタビューの場合だと考え方がふたつあるようです。ひとつは相手が話した内容をそのまま載せるべきだ派。そこに編集やライターが技術的な要素を加えるのっておかしいよね、という考え方ですね。そしてもうひとつはそのままじゃ読み物として成立しないからしっかりと編集あるいは翻訳すべきだ派。

この二派、意外とガンコでお互い主張を譲らないんですよね。ぼくはどちらかというと後者派ですが、一方でイベント書き起こしメディアの『ログミー』なんかをみると前者の言い分もわかる。あれはほぼ無編集だからね。

ただし無編集でも面白いものとそうでないものがある。そこでぼくが見出した着地点が『インタビューという行為で編集せよ』なんです。

書くとき、ではなくて、聴く時に編集する。質問やコミュニケーションにクリエイティブを施す。これならインタビュー終了後、テープ起こししたらほぼそのままのパッケージでリリースできますよね。あ、もちろん最低限の整文は必要ですけど。

それが冒頭に打ち立てた原理原則。
いい質問がいい回答を生み、いい原稿になる。ということなんです。

さて求人広告の取材の心技体、次回は体編です。
お楽しみに!

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