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薄楽詩集

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#俳句

【詩】かなしみのアリバイ

【詩】かなしみのアリバイ

 かなしみのアリバイ 

かなしみはそれっきりだった
西日はどこまでも赤かったような気がする
葉が揺れて夏なのに散って
人の命の尽きた日にラムネ飲んで
おれは風の中にでた
愛すべきしがらみは
プラカードでこしらえた棺と一緒に燃え
野辺のけむりとなって消えていった

あの連山の端は
うつむいて笑うお前の横顔のようだ
ああ やっぱり 西日はあの端山の向こう側まで
赤く沈んでいたのだった
野あやめを焙煎

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【詩】新宿虎落笛

【詩】新宿虎落笛

  

新宿虎落笛

         満天に不幸きらめく降誕祭    
                 西東三鬼

満天に不幸がきらめいて
わたしのさみしいのうみそは
はまべのようによこたわり

満天に不幸がきらめいて
わたしのひえきったこころは
発光ダイオードのように青ざめる

満天に不幸がきらめいて 
地上では 青白いサイレンとともに
あなたの生誕を祝う花火が打ち上がり

満天に不幸がきら

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