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薄楽詩集

40
詩をまとめています。
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#恋愛

【詩】きのうまでの恋

【詩】きのうまでの恋

 放置されている恋がある
 きのうまでの菫
 きのうまでの薔薇
 きのうまでの山査子
 一輪挿しの残酷な幸福をありがとう
 あざやかな絶望が
 いま 日付をまたいでいる

 もどっちゃだめよ
 たぶん 君は そういうだろう
 もどるもんか
 ぼくは 昨日の君に
 希望を投げつける
 どうしようもなかったのよ
 好きになるのも嫌いになるのも
 君のむなしい言い訳が
 山彦のように冬の夜空にこだまする

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【詩】挽歌

【詩】挽歌

 

挽歌

少しづつ距離ができる
希望が生まれるたびに
願うたびに

ぼくたちは言葉で幾多の景色をつくった
まるで国産くにうみのようだと君はいい
ぼくは初夏に横たわる丘陵のような
君のなだらかな腹を無言で撫でた

とるに足らない戯れの
過ぎてゆくほどに
たまらなく愛おしくなるのは
なぜか

希望がかなえられるごとに
言葉は単なるツールとなって
ぼくたちは
労働者の消えた鉄の街の
払い下げアパート

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