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不整合が組織を破壊する

多くの経営者から

「うちの社員、受け身で挑戦しないんです!」
「自分で自立的なキャリアを描き、自発的に成長してほしいんです!」
「もっと越権、越境して役割を超えてほしいんだよ!」

など、相談を受けることが多い。一言でいうと社員に対して「物足りない」と感じているようだ。

一方で、社員側からは

「挑戦しろと言っても失敗すると減点されるから怖くてできない!」
「どうせやりたいことを伝えても、やらせてもらえない!」
「経営が言っていることとやっていることが一致していない!」

というように、経営側から不満を聞くことが多い。

なぜこんなことが起こっているのか。
一言でいうと“不整合”がこの現状を生んでいるのではないかと考える。
・「経営が大事にしていること」と「現場が大事にしていること」の不整合
・「経営が大事にしていること」と「経営の言動の不整合」
・「経営が伝えていること」と「現場に伝わっていること」の不整合
・「経営が期待してること」と「現場の行動」の不整合
・「会社として実現したいこと」と「社員の意識、能力」の不整合
・「会社として目指したい風土」と「選択する制度や施策」の不整合
・「直属の上司の前提」と「メンバーの前提」の不整合
探せば探すほど、組織内に不整合は転がっている。

例えば、とある会社の事例。
おっとりした雰囲気の社員が集う会社で、もっとメンバーには自発的に挑戦し、自身のキャリアを自律的に積んで行ってもらいたいと考えている。しかし、社員に求めることや人事制度に込めたメッセージは「いくら成長していても、その成長を追い抜く人がいればポストは入れ替える」「成長を志しても失敗すれば低評価」など、「UP or OUT」の思想が込められている。この状況では、今のメンバーは失敗を恐れて挑戦をしないことを選ぶ。
「会社として目指したい風土」と「選択する制度」の不整合が生じているのが分かる。

別の会社の事例。
今まで受け身で自発的な提案が生まれなかった会社で、飽和している市場に活路を見出すことと、メンバーの自発性を引き出す目的で、若手中心に新規事業提案を募った。しかし、出てきた提案の良いところを見出して、より育てていくスタンスではなく、至らないところを否定して、「挑戦しろ!と言っても、挑戦すれば否定されるだけ」とメンバーの自発性や挑戦する気持ちを砕いてしまった。
「経営が期待していること」と「経営の言動」の不整合が生じている。

さらに別の会社の事例。
会社の方針で新規事業立案の部署を新設。その会社にとっては新規事業立案できるかできないかが今後の事業成長における分水嶺になるほど重要なミッションをになっている部署。当然、社長肝いりであるがゆえに、現場から既存事業のエースを複数引き抜いて異動させたものの、彼らのマインドセット、能力セットは「1を10にする力」「ミスなく確実に遂行する力」であった。結局、今でも新規事業が創出できずに業績は低迷している。
この事例では、「会社として実現したいこと」と「社員の意識、能力」の不整合が見て取れる。

これらの例のように、組織に蔓延る“不整合”がメンバーのやる気を削ぎ、組織をダメにする。

“不整合”が組織をダメにしているにも拘らず、世の中に、ダメになった組織状態を診断するツールは山ほどあっても、その“不整合”を見える化することはなかなかできない。なんとかその“不整合”を科学することができないかと考え、我々は、組織における“不整合”の構成要素を洗い出してみることにした。

次回は、その構成要素を洗い出した思考背景を書き綴ってみる。

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