![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145205233/rectangle_large_type_2_7ce18f21438b8f86dfddefed9b247522.png?width=1200)
Photo by
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック / メトロポリタン美術館
【詩】こうもりの家
こうもりはいつのまにか家の中にいた
窓の内側に静かにとまっていた
ここは自分の家だと言わんばかりに
しっくりと落ち着いていた
まるで私の方が他人の家にいるような気分だった
だけどここはまぎれもなく私の家だった
こうもりには申し訳ないけれど
家から出ていってもらうことにした
窓を開けて
出ていってと声をかける
こうもりは気づいているのに
聞こえないふりをしている
仕方がないのでそっと手で押し出すと
こうもりは横目でこちらをちらっと見て
仕方がないなぁといった様子で
ゆっくりと空へ飛び去っていった
残された私は
空っぽになった家から
こうもりが消えていった空をしばらく眺めた後
諦めて窓をそっと閉めた
(ココア共和国2022年12月号電子版)
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?