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クリエイターの4つのテーマ その3

神奈川県の厚木にあるNPO法人の配信番組「クリエイターズ・エンターテインメントFM」に、今月のゲストとして出演しています。1週間に1回、合計4回の出演です。大きなテーマはズバリ「クリエイターについて」。今月は僕がゲストなので、演劇(小劇場)にフォーカスした話題になっています。
番組中話しきれなかったこと、整理しておいた方がいいこと等を書く企画の3回目です。

【テーマ3 リエイターをしていて苦労していること】
実際の番組では、すぐにお金の話になって、そのまま15分終わってしまいました。それが最大の問題であることは事実ですし、なかなかいい解決策がありません。何度も書いているように「クリエイターは貧乏で当然だ」「好きなことをやっているのだから自己責任だ」という考え方が日本人にはどうしても根強くあります。芸術にお金を払ってくれる人が少ない。しかし、クオリティの高いものを作り出すためには、ある程度の元手が必要なわけです。
そして、多くのジャンルで、フリーランスは買いたたかれる傾向にあります。これも本当に理不尽な話なのですが、番組中でも話しているとおり、その金額で受けてしまう人がいる限りどうしようもありません。それでいてスピードやクオリティが求められてしまうのですから、やりたい放題といっていいでしょう。「クリエイターをしていて苦労していること」は「クリエイターをしていること」というわけです。
不条理ですね。

もっと根源的な話をするとすれば、「売れるためのものを作るのか、自分の作りたいものを作るのかのせめぎ合い」というのも大問題です。これに関しては、僕も自分のブログでだいぶ書きましたし、語り尽くされている感もあります。しかし、よく考えてみると、そんなことに悩むほど自分は売れているのか?という、さらに根源的な問題に突き当たります。そんな悩みはある程度売れている人のものであって、売れてもいない人間が悩むことではないだろうとも思います。そんなことで悩む前に、どうすれば売れるのかを先に考えようという感じです。
本当に苦労するのはそこでしょう。星の数ほどいるクリエイターの中で、自分を選んでもらうためにはどうするのか。いや、その前に、自分を発見してもらうにはどうするのか。本当に大問題です。SEO対策とかWebなどを使った集客の方法を勉強しないと、存在が埋もれてしまいます。そうなると、クリエイターでいること自体が難しくなってしまいます。「いいものさえ作っていればいい」という時代ではありません。「いいもの」を見つけてもらい、それが如何に「いいもの」なのか、どんな風に「いいもの」なのかをクリエイター自身がプレゼンできなくてはならないのです。
こういうビジネスを語る文法で創作を語るというのはあまり好きではありませんが、そうもいっていられません。クリエイターであると同時にビジネスマン・起業家でもある。そういうマインドを持っていないと世の中渡っていけないわけで、僕のようにこれまでそういうことに疎かった人間は、本当に苦労します。

演劇にフォーカスした話をすれば、他の分野と違って、演劇はわかりやすく何かを売っているものではありませんので、なかなか商売として認められないということがあります。月に製品がいくつ売れるのかとか、お店に何人のお客が来るのかといった、分かりやすい物差しがないのです。売っているものに実態がないので、まさに「水物」。金融機関や投資家からずれば、演劇を含めて芸能関係は、一番胡散臭い、信用ならない分野だといえるでしょう。やっている方としてはそんなつもりはまったくなく、至極まっとうにサービスを提供し、利潤を上げようとしているのですが、一般社会からはそう見てもらえない。ここも苦労するところです。お金を借りる時に「私の商売は、人々に夢を売ることです」では、失笑を買って終わってしまいます。
結局はお金の話に戻ってしまいました。お金のことなど気にせず、創作活動に没頭できたらどんなにいいでしょうか。しかし、それができるのは、ごくごく限られた才能ある人間だけです。ですから、一番苦労しているのは、自分の才能を開花させること、または才能を見極めることでしょうか。実はこれが一番難しいことなのです。誰も自分に才能がないなんて思いたくはない。だからクリエイターをやっているわけですが、必ず「壁」にぶち当たります。そこで自分の才能について考えてしまう。
クリエイターが一番辛いのはそこです。そして、それがお金に直結してくることも多いので、余計に苦しむことになるのです。

暗い話になってしまいました。
しかし、次回のテーマは「資金について」。
もっと暗くなると思います。いやはや。

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