見出し画像

ものづくり素人の塾講師と小・中学生が、5ヶ月間にわたってゼロから取組んだ生分解性樹脂プラスチックを使ったものづくり(生ごみプレス・コーヒーかす消臭ポット・ベッドサイドライト)の挑戦の記録

『サマリー』

プラスチックは、昔ビリヤードの球が象牙で作られていた頃に動物保護(環境を守る)の観点から象牙に代わる新しい材料として生まれました。今回のこの生分解性プラスチックによるものづくりも、そういった私たちの生活においてプラスチックが共存できる新しい形(製品)を生み出したいと考え『生ごみプレス』を製作し、『コーヒーかす消臭ポット』や『ベッドサイドライト』など他の用途も考え出しました。また、ゴミの量を減らすことも製作での重要な狙いと考え、生ごみの水分量を減らしたり、コーヒーかすのリサイクルできるようにしました。また、3Dプリント時に棄ててしまうラフトやオブジェクトの切れ端も、オブジェクトのパーツや分解観察の材料として活用できるようにして、製作段階で出るゴミの削減も実現しました。 チームとして参加するにあたり、教育機関としてデジタルファブリケーションを通して小学生や中学生にものを創造する楽しさだけでなく『プロトタイピング(失敗)の大切さ』『生分解性プラスチックへの正しい(化学的)理解』『(プラ)ごみ問題への課題意識と解決』『サステナブルな社会の実現に向けた自らの将来的役割(将来の夢の創出)』などエンジニア的・科学者的な思考を育んでいき、つかう側からつくる側に立って未来を切り拓いていくSTEAM教育プログラムの開発と拡散を念頭に置いて取り組んできました。 結果として、ラボ生たちの中には将来の夢として3Dプリンティングを通したものづくりを研究していきたいと自ら考えるようになり、具体的な進路(高校進学)決定に大きく寄与できるものとなっています。また、プロジェクト開始当初からプロジェクトの遂行や実験の様子をinstagram、note、youtube等SNSへ投稿していくことで、より多くの方々に生分解性プラスチックのことや、このプロジェクトのことを知ってもらうことができています。

『挑戦の記録』

Concept Making|2021年6月6日

画像1


FABコンへの出展PJがデジファブ ・プロジェクトコースで始動!
『土に還る』新素材のフィラメント を活用し、テクノロジーで実現する循環型社会のあり方を探求することがテーマとなっていて、ラボ生たちも全く新しいものづくりのあり方に作る側(当事者)として関われることをとても喜んでいました。
PJ初日は、コンセプトメイキングということで、キックオフミーティングで発表された内容をラボ生全員で共有し、製作に関する方向性などをブレストしました。同時に、生分解性プラスチック の特性や医療廃棄物 プラスチック資源循環促進法 に関する法律もリサーチしました。

チュートリアルコース(小学生)もファブコン!


デジファブ ・チュートリアルコースのラボ生も、ファブ3dコンテスト に出展したいということで、biopbs™️ (バイオPBS)フィラメントを使ったものづくり に挑戦することになりました。
そこで、まずはプラごみ 問題の現状や処理方法、身の回りのプラごみについて調べ、バイオPBSフィラメントを使って何を作ることができるのか早速アイデアをデザイン・共有しました。
ものを消費する側からではなく、創る側に立って考えることで、問題解決の核心に触れることができるだなと強く実感しています。

2D Sketching|6月20日

出展試作品の2Dスケッチチームとblenderによる3Dcadチームに分けて作業を進めました。ラボ生たちは、コーヒープレスのような生ゴミ処理機の試作を検討中。
ラボ生たちの仮説では、生ゴミと一緒に土に捨てることで、二酸化炭素 を排出せずに生ゴミの発酵による発熱反応によってプラスチックの生分解 を促進できるということで、試作品の完成後は土中での対照実験を計画しています。
科学者のように考え、エンジニアのように創造する。ラボ生たちはSTEAM教育の真髄を見事に体現してくれています。

画像2

画像3

コーヒープレスの原理を利用して、キッチンで出る生ごみをプレスすることで、含まれる水分量を減らすことでゴミの重量を減らし、ビニール袋を使わずに捨てることができるようになる。また、焼却効率をあげることで、焼却に使われる燃料を減らせるのではと考えました。
また、繰り返し洗って使えて、汚れが目立って捨てることになっても自然分解してプラごみを発生させないことも生分解性樹脂性プラスチックを使うメリットが示せると考えました。

3D CAD Designing|6月24日

プロジェクトが、試作品の3D設計に入りました。試作品のデザインもコーヒープレスの様な円柱型から、キャンプ用品の焚き火台のように部品を分解できるものに改良。これによって、捨てる時により嵩を減らすことができると考えました。次回以降、ラボ生たちのデザインを従来のPLAフィラメントを使ったプロトタイプの製作に移っていきます。

また、今回はzoomの画面共有を利用して、自宅から参加するラボ生のデザイン画面をリアルタイムに共有し、適宜アドバイスやレビューを行いました。これにより、コロナ禍でラボ生が自宅待機になったとしても、研究開発を進めていくことができます。

Blenderを使った3DCGの製作研修

プロジェクトコースにおいて、blender |3DCG オープンソースソフトウェアを使った3DCGの製作を始めました。
目的は、ファブ3dコンテスト への出展に向けて、ラボ生がより精密かつ自由度の高いデザイン設計を可能にするためです。
初回のラボでは、サンプルの机と椅子をデザインしてみました。

3D CAD Design Presentation|6月29日

この日は台風による暴風警報でラボ生たちは教室に来ることができませんでした。そこで、zoomを活用して、オンラインによる3Dデザインの発表をやってみました。ラボ生達にはzoomの画面共有でTinkercad、Blenderで製作したデザインをしっかりと発表してくれました。

ラボ生の3D CADデザイン例|Tinkercad

スクリーンショット 2021-10-14 11.41.41

VR Review

FORZEASフィラメントの量に制限があったため、3DCADのデザインが完成した後、すぐに3Dプリントせずに、VR空間にデータをアップロードして完成形をビジュアライズしながらレビューを行うようにしました。
これによって、3Dプリントで造形した後に初めて気付いてしまうようなデザインの欠陥等を未然に防ぐことができ、フィラメントの消耗を抑えることができました。

Filament and New 3D Printer Arrive|8月3日

最新の3dプリンター 【CREALITY CR-10 Smart】が教室にやってきました!Wi-Fi内蔵なので、スライサーのデータをSDカードを介さずクラウド経由で転送可能で、製作状況もスマホのアプリから遠隔で見ることができるという優れものです。天板も30cm×30cmと広く、40cmの高さのものまで製作できるので、これによってコンテスト出展用のオブジェクトも実寸で出力できるようになります。
ただし、購入後に判明したことでしたが、印刷速度を10㎜/以下に変えることができなかったため、今回のプロジェクトにおいては使用できませんでした。

Prototyping_01( with PLA filament)|7月13日

生ごみプレスのプロトタイプが完成。
生ごみを圧縮・脱水することで生ごみの体積と重さを軽減。圧縮されて溜まった生ごみは、底の部分を押し上げることでビニール袋を使わずキレイに捨てることができます。
また、全てのパーツが生分解性プラスチックbiopbs™️ フィラメント 製なので、生ごみと一緒に土に捨てても、すべて分解されるので、プラごみを燃やさず、発生も防げます。

Prototyping_02( with PLA filament)|8月4日

前回のプロタイプ02に底とプレスのパーツを3Dプリンティングし、水を吸わせたティッシュペーパーを生ごみと見立てて実験しました。
プレスすることで水分を飛ばしてゴミの体積を減らし、一緒に捨てる底のパーツも生分解性で自然に土に還るのでプラごみを一切発生させません。また、新聞紙を折って作るゴミ袋に入れて捨てれば、ビニール袋のゴミも発生しません。
これまでラボ生達が、ゼロからコンセプトメイキング・2Dスケッチング・cadによる3Dデザインと努力を重ねて開発してくれたアイデアを結集して初のプロトタイプによる実験に漕ぎ着けることができました。

Prototyping_04( with PLA filament)|8月22日

今回のプロタイプ04は、新たに購入した最新の3dプリンター 『crealitycr10smart』を使って実寸通りにかつより精密に印刷することができました。
前回のプロトタイプ03から寸法を微調整し、底のパーツが飛び出さずに上下するよう改良しました。これによりゴミを捨てる時に一緒に底のパーツを捨ててしまうのを防ぎます。ただ、実寸で初めて印刷してみて新たな改良点も浮かび上がりました。
次のプロトタイプでは、もう少しダウンサイジングして、底の部分を三角形から四角形に、あと側面に取手を付けて捨てやすく、パーツの厚みを2㎜から1㎜に薄くしてしようと思います🌏🌱

Prototyping_05( with PLA filament)|9月2日

今回の改良点は以下の通り。
①生ごみが大量に入っても側面が外側に曲がらないように全てのパーツの厚さを5mmに統一。
②中の生ごみによって、外側への力で側面が外れないように、側面のつなぎ目を差し込み型から上下はめ込み型に変更。
③サイズを13cm四方の高さ11cmにダウンサイジングしてコンパクトに設計。
④開口部の縦横の辺の長さを1mmずらすことによって、プレス部が側面に引っ掛かるので、プレスしない時も密閉が保たれ臭いが広がることを防ぐことが可能。
⑤側面の切り込みをなくすことで、中の生ごみが水に濡れることなく水分を飛ばしたままの状態を保ち、悪臭の原因を軽減。

Demonstration experiment with PLA|9月5日

生ごみプレスを使った実証実験を行いました。
結果:
336gの生ごみの重さが227gとなり109g(32.4%)の減量となりました。(動画では271gとなっていますが、新聞紙の重さ44gが含まれています)
水分を抜くことによって、プレス後の生ごみの臭いもほとんど発生しませんでした。
また、新聞紙で作成したゴミ袋に入れても内側を少し濡らした程度で、そのままエレベーターに乗って外のゴミ捨て場まで持って降りることができました。
これによって、生ゴミの量を減らすと同時に、ビニール袋を使わずにゴミ捨て場に捨てることができることが分かりました。

3D Print Experiment ( with FORZEAS filament) |7月1日

三菱ケミカルさん提供のファブ3dコンテスト用フィラメントが教室に届いて、教室の生徒達は大盛り上がり!
いよいよこれからFORZEASとの死闘(印刷実験)が続きます!

Creality CR-10 Smartを使ったFORZEASのプリント実験|失敗(プリント不可が判明)

Crealityの担当者に何度も相談して印刷してみましたが、印刷速度が10㎜/秒以下に設定変更ができないため、印刷不可と判断。PLAのプロトタイピング時のみで使用しました。
この時ばかりは『もう無理かもしれない』と悩みましたね。ファブラボのような専門の施設もなく、頼れる場所や人もおらず、機材もEnder2しか残っていなくて、私も含めみんなものづくりは素人だし、諦めかけていました。
ですが、限られた状況下であったおかげで、以前使い倒していたEnder2には、確かFR値を変更して印刷速度を遅める機能があることを思い出し、思い切ってメインプリンターを替える決断をしました。

3D Print Experiment ( with FORZEAS filament) |9月18日


生分解性フィラメント|FORZEASを使った3Dプリント実験2日目。プリンター設定は下記の通り。
【設定】
3Dプリンタ:CREALITY ENDER 2
印刷速度:3mm/s
bottom layer:2
ノズル温度:180°
ビルドプレート温度:設定せず
adhesion:無
印刷時間22時間を経過して高さ約1cmまで印刷完了。底部外側に反り上がりが見られる。内側には反り上がりは無し。外側側面にいくつかの穴があいてしまっており、スライスデータ通りにプリントすることは、市販の個人用3Dプリンタでは相当難しいと思われる。※現時点で、Biopbsフィラメントをサポートする個人用3Dプリンターは開発されていない。

3D Print Experiment ( with FORZEAS filament) |9月19日

生分解性フィラメント|FORZEASを使った3Dプリント実験2日目。プリンター設定は下記の通り。
【設定】
3Dプリンタ:CREALITY ENDER 2
印刷速度:3mm/s
bottom layer:2
ノズル温度:180°
ビルドプレート温度:設定せず
adhesion:無
印刷時間22時間を経過して高さ約1cmまで印刷完了。底部外側に反り上がりが見られる。内側には反り上がりは無し。外側側面にいくつかの穴があいてしまっており、スライスデータ通りにプリントすることは、市販の個人用3Dプリンタでは相当難しいと思われる。※現時点で、Biopbsフィラメントをサポートする個人用3Dプリンターは開発されていない。

3D Print Experiment ( with FORZEAS filament) |9月21日

生分解性フィラメント|FORZEASを使った3Dプリント実験4日目。プリンター設定は下記の通り。
【設定】
3Dプリンタ:CREALITY ENDER 2
印刷速度:3mm/s
bottom layer:2
ノズル温度:180°
ビルドプレート温度:設定せず
adhesion:無
印刷時間76時間を経過して高さ約4cmまで印刷完了。生分解性樹脂BioPBSフィラメントでオブジェクトをプリントするのは本当に難しいが、だからこそ現時点でこのフィラメントを使って何を創ることができるのか、ラボ生たちと化学的・工学的な探究を続けていきます。

3D Print Experiment ( with FORZEAS filament) |9月22日

生分解性フィラメント|FORZEASを使った3Dプリント実験5日目。プリンター設定は下記の通り。
【設定】
3Dプリンタ:CREALITY ENDER 2
印刷速度:3mm/s
bottom layer:2
ノズル温度:180°
ビルドプレート温度:設定せず
adhesion:無
印刷時間99時間17分を経て、遂に生ごみプレスのボディの3Dプリントが完成しました!
高さ5cm、重さ39.29g、外径8cm、内径6cmというたったこれだけのオブジェクトですが、とにかく困難と時間と慎重さを要しました。
でも、それだけに、プレートから外した瞬間の感触や軽さに驚いたし、感慨も一入です。

3D Print Experiment ( with FORZEAS filament) |9月26日

今回はプレス後にでる水を受ける底の部分の3Dプリントを開始しました。
生分解性フィラメントの3Dプリントにおいて、とりわけ第一層目のプリント時にフィラメントをデザイン通りにビルドプレートに接着させるのがとても難しいので、プリント速度を1mm/秒と超低速に設定し、プリントしたフィラメントに更に糊を細かく塗って固定させる工夫を施しました。

3D Print Experiment ( with FORZEAS filament) |10月4日

生ごみプレス(コーヒー消臭ポット)のプロトタイプ全パーツの3Dプリントが完了しました。
多くの時間と失敗を要しましたが、それによってしか得られない生分解性樹脂製フィラメントの3Dプリントに対する最適な設定を知ることができ、ファブ3DコンテストおよびMAKER FAIRE SHENZHENへの出展に向けた最終バージョンの3Dプリントを開始することができそうです。

3D Print Experiment ( with FORZEAS filament) |10月4日

BioPBSフィラメントで造形する場合のスライサーソフトおよびプリンタの設定は下記の通りです。

3D printer:
Creality Ender 2
Layer Height:
0.2mm
Top/Bottom Thickness:
0.8mm
Top/Bottom Layers:
4
Printing Temperature:
180°c
Build Plate Temperature:
none
Build Plate Temperature:
30°c
Print Speed:
1mm/s(bottom1)
2mm/s
Fan Speed
100%
Adhesion
none
Slicer Soft:
Ultimaker Cura

最も苦労したのは最初の第一層目のプリント設定を見つけることでした。
1mm/sの印刷速度で射出される度にピンセットでビルドプレートに押しつけつつ、強粘度スティックのりで何度も貼り付けて上手く接着させることができれば、2層目以降は2mm/sに上げて印刷することで、高さ5㎝の筒状のオブジェクトのプリントも上手くできるようになりました。

10mm/s未満の印刷速度はスライサーソフトでは設定できないので、FR値を調整できるプリンタが必要になるので、敢えて古いEnder2を使うことにしました。

Demonstration experiment with FORZEAS|9月25日

コーヒーかす消臭ポットと同じオブジェクト(プロトタイプ)を使って、生ごみの水分を取り除いてゴミの量を減らし、ビニール袋に入れずに捨てられるようにすることで、プラスチックフリーで生ごみを捨てられるようにするものです。

プロトタイプのためにダウンサイジングしてプリントしていますが、実用化する時はサイズを大きく設計してプリントすることができます。

Material recycling|9月30日

Raft(ラフト)は、造形物が完成すれば通常は廃棄されてしまいます。
そこで、このラフトも有効活用できないものかと考え、生ごみプレスのフィルターとして再利用できるんじゃないかと思って試してみたところ、プレスされて出てきた水分をうまく取り除くことができました。
これによって、プリントするパーツ数を減らせるだけでなく、紙のフィルタも不要となり、さらに3Dプリントの度に出してしまうラフトのゴミの量も減らすことができます。
フィルタとして使用したラフトも生分解性樹脂製のプラスチックなので、捨ててもそのまま土の中で自然分解されるのでプラごみを出しませんし、焼却処理も不要なので二酸化炭素も排出しません。

Material recycling|10月2日

3Dプリントで出たraft(ラフト)の切れ端を使って、生分解性樹脂BipPBSプラスチックが分解されていく様子をラボ生たちと観察することにしました。
畑から採取した土をラボ生たちに小分けして、その中にプラスチックの切れ端を入れて、土の中で完全に分解されていく様子を経過観察していきます。

Utilization for Other Purposes|コーヒーかす消臭ポット

コーヒーかす消臭ポットの完成品です。プロトタイプから蓋の部分をシンプルにデザインを変更し、底部をより深めにデザインし、生ごみやコーヒーかすから出る水分を多く受けられるように改良しました。

コーヒーかすをプレスすることで完全に乾くまでの時間を短縮でき、消臭剤としてリサイクルすることで、ゴミとして出す回数と量を減らすことができます。

また、各パーツは、汚れても食器用洗剤で洗って何度でも使えます。また汚れが気になって捨てることになっても自然分解されるので、プラごみが発生することはありません。

Reuse dry coffee grounds as fertilizer

乾燥させたコーヒーで良質な肥料を作ることができるんですね。これなら、消臭剤として2〜3週間使った後に肥料として土に還せば、コーヒーかすのゴミの発生は完全にゼロに抑えることができます。

ベッドサイドライト

コーヒーかす消臭ポット(生ごみプレス)の新しい活用方法として、ベッドサイドライトを考えてみました。
たまたま別のことでLEDライトを使っていた時に、ふと思いつきました。生分解性樹脂BioPBSフィラメントは、白色で光の透過性に優れ、浮かび上がる光はとても柔らかく心地よいです。
すべてのプラスチック製品を生分解性樹脂BioPBS製にして、新しいぷラスチックとの共存のカタチを創っていく🌏🌱

Finished product

スクリーンショット 2021-10-17 18.01.29

Open Source Design Project

今回のプロジェクトで製作したオブジェクトのデータ(.stl、.gcode)はすべてオープンソース化し、クラウドに格納し、無料かつ著作権フリー(cc0)とします。これによって、誰でもダウンロードでき、自由に、作品に機能を追加し、拡張し、再利用できるようにします。

そうすることで、より多くの人に共有・利用してもらい、どんどん改良してもらって、より良いプロダクトが次々と生み出されていくことで、1秒でも早くごみ問題の根絶を実現できると考えています。
新聞紙のゴミ袋を作ってみましたが、とても簡単にできました。これで、生ごみプレスで余分な水分を飛ばした生ごみをビニール袋に入れずに捨てることができます。

MakerBot Thingiverseでの共有

今回製作したオブジェクトのSTLデータをデジタルデザイン共有サイト『MakerBot Thingiverse』にアップロードしています。
https://www.thingiverse.com/ から『Coffee Deodorizer Pot』と検索するとヒットしますので、そこから著作権フリーかつ無料で全てのSTLデータをダウンロードしていただけます。

海外の方からコレクトされました!|10月19日

スクリーンショット 2021-10-19 13.07.42

デジタルデザイン共有サイトMakerBot 『Thingiverse』において、海外の方からコレクトされました!これまでも『いいね』を頂いたり『View』してもらうことはたくさんありましたが、創作したデザインデータを全く知らない海外の方からコレクトされるのは初めてで、本当に嬉しいです。
私たち一人ひとりが、自分で何かを作り、それらをみんなが共有し、使う世の中に変わったら絶対楽しいですよね。

デザインデータは下記URLより閲覧いただけます。

Tinkercadによるデザインの共有・発信

ラボ生たちが自ら3Dcadでデザインしたオブジェクトは、全て著作権フリーで世界に発信・シェアしています🌏
それによって、例えば、地球の反対側にいる友人にレゼントを贈る時も、その友人の身近に3Dプリンタがあれば、自らデザイン・設計したオブジェクトを輸送せずに(プリントして)届けることができるということです。
そうなれば、タンカーや飛行機を飛ばして地球を汚すことなくオブジェクトを瞬時にどこでも共有することも可能になります。
そんな未来の物流イメージを、デジタルファブリケーションを通して実感していってもらいたいと考えています。

Voices from Lab Students

共享是发展的加速器『共有は発展の加速器だ』(中学3年生:N.Iさん)
何もかもが新しく、わくわくも大きかったですが、前があまりにも曇っていて不安に思うところも多かったです。強度を確かめるにも、新しいフィラメントのため、実験を参考にするか、実際に作るしか強度を確かめる方法がありませんでした。ただし貴重なものをそんなに多く使うわけにもいかず、普通のフィラメントで確かめつつ、新しいフィラメントではどのような形が最も安定するかなどを先生に確かめていただきました。何度も繰り返すことでしか前進できないこの作業は、うまくいかないとどうしても気が滅入ることでした。しかしそういった中での仲間の共有、果てには世界への発信は、新たな発見を生み出す推進力でもありました。

『失敗』こそが『研究』(中学3年生:K.Oくん)
最初プラスチックの問題を扱うと聞いて、最初は造形を楽しむだけだと思っていた。しかし、実際にやってみると、造形をするのにもプラスチックの性能や特徴を捉える必要があった。どの形なら安定するのか、どうしたら上手く組み上げられるかなどを考えたのは初めてで、コンピューター上ではできても実際に再現するのはできないなど、失敗が殆どだった。ここまで失敗が続いたのは初めてだったが、この『失敗』こそが「研究」なのだなと実感することができ、途中からは改善を繰り返して、少しずつ完璧に近づけていく作業を楽しめるようになった。生分解性プラスチックはこれからも研究を続けていくべきだと思った。

考えることで人生を良くする(中学3年生:H.Tくん)
5ヶ月ほど前、僕はまだ3Dプリンターという存在すら知りませんでした。そんな中で僕たちは生分解性とか訳の分からないものを使って、どうやれば効果的に使えるかなど試行錯誤して完成までたどり着くことができました。僕は飽きっぽい性格なのでゲーム以外は続けることができませんでした。しかしこのデジファブプロジェクトでは飽きることなく、5ヶ月間もの間考えて作ってみたりすごく新鮮な体験を経験できました。考えることで問題解決することができ、さらに深く考えることでよりいい案ができる。考えることで新しい人生を過ごせるまでは言いませんがより良くすることはできると理解することができました。

自分の脳が限界を超えて逆に拡張された(中学3年生:T.Hくん)
ラボの活動は、毎日制作欲を駆り立てることばかりでした。3Dデザインの自由度の高さ、VRの没入感、3Dプリンターでの創造。自分の脳が限界を超えて逆に拡張されるような感覚を体験しました。制作活動は、用いるフィラメントが生分解性のため、環境に配慮するモノづくりの難しさも感じました。形はうまく形成できず、デザインは格好悪く、たくさんの失敗を繰り返しました。それでも何度も何度も作っては直していくのを時間を忘れるほど繰り返しました。確実に形になっているのを確実に感じることができたからです。3Dデザインの自由度の高さ、3Dプリンターでの創造と利便性と実用性の追求は、作ることの楽しさを感じさせてくれました。

「かんがえる•つくる•かんがえる」(中学2年生:H.Iさん)
このような活動に参加させていただいて、自分たちが頭の中で想像しているものを実現させることはとても困難であると感じました。特に、生分解性プラスチックは、柔らかな素材です。これを用いてものを作ることは、何度も何度も実験を繰り返さなければならないけれど、このフィラメントに限りがあるので、とても困難だと感じました。なので、作ろうと思っていた形を少し訂正したり、様々な工夫をし、作り上げることができました。私自身も生分解性プラスチックを使って、どのぐらいの時間でプラスチックが無くなるのかという実験を行いました。私はこのような実験や貴重な時間を経て、プラスチックの事についてより考える時間が増えたと思います。

試行錯誤=楽しみ+学び(中学2年生:M.Dさん)
初めは、生分解性プラスチックなんて知りませんでした。土と生分解性プラスチックを渡されて、「分解させて」って言われて分解させようとしましたが、できてません。今までは、やり方を教えてもらってやっていました。けれど、何も分からないまま、分解できるように試行錯誤を重ねるだけ重ねています。水をあげたり、日光に当てたり、猫に遊ばせてくるくる回してみたり...実際、何が正解かなんて分かりませんが、その行動が楽しいです。何も知らないけどやってみる。それは今回作った生ごみプレスと同じです。折れたり、そもそも形にできなかったり...不安よりは、できないことのイライラが強かったです。今は完成したので良かったです。

最後に

ラボ生たちとこのプロジェクトを始めた時、この新しいプラスチックがたくさんの人々の日常に寄り添い、使う人がほんの少しでも幸せを感じさせてくれると同時に、いろんな人たちや生き物を幸せにできる様なものを創リたいと思っていました。だから、どんな国や地域に住んでいても、その人たちの身近にあり、毎日使うものをこの新しいプラスチック製に作り替えることができればとアイデアを形にしてきました。
テクノロジーは進化し、誰でもつくる側になれる。自分でものをつくり、それをみんなが使う世の中に変えることだってできる。そのことを未来を担う子どもたちに伝えられるようにこのデジファブプロジェクトを広く展開していく。


この記事が参加している募集

私の作品紹介

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?