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あるパートタイマーの脳内プレイリスト

生活のスピードに応じて、脳内でかかる曲が変わるのは私だけでしょうか。

パート勤務が始まり、朝6時起床、21〜22時就寝の暮らしがすっかり板につきました。
下手すると20時半就寝の日も。

今回は脳内プレイリストとともに、出勤日の流れを追ってみます。

朝のエレカシ

10月後半は息子からうつった咳に悩まされ、2週間近く欠勤が続きました。
以来、出勤時は首周りをマフラーで完全防備。

出勤の日は夫が息子を保育園に送ってくれます。
玄関前に立ち、薄汚れた白いスニーカーに足を入れて「さあ がんばろうぜ!」とひとり、エレファントカシマシの「俺たちの明日」で気合いを入れます。

イントロの歌い出しを口ずさんで、いざ出勤。
ちなみに毎日ではない。

出勤のゲームサントラ

朝の冷えた空気を浴びながら自転車を漕ぐ。
初出勤日以外は幸い、今のところ好天に恵まれています。

このとき流れているのはゲーム「タクティクスオウガ」のサントラ曲「Limitation」。

シミュレーションRPGの本作には、戦闘マップに合わせた曲が数十曲あります。
なかでもラストダンジョン的な位置付けのマップで流れる、突き抜けるような勢いのあるこの曲が決まって響く。
曲名の直訳は「制限」。曲調と併せて意訳すると「限界を突破せよ!」といったところでしょうか。

仕事中は何も聴こえない

職場に着くと、段差のある階段に息を切らしながら事務所の戸を開けます。
このときはなるべく呼吸を乱したくないので、それ以外の要素の介入は許されません。

仕事中は、外気が直接吹き込んでくる通路の付近で身を縮こませながら、ひたすら手を動かし歩き回ります。
余裕がないのであまり脳内で曲はかかりません。

長年デスクワークを勤め、専業主婦の期間中も座っている時間が長かった私。
慣れない立ち仕事を支えてくれるのはニューバランスのアウトレットで買ったスニーカーと、先輩たちのさりげない優しさです。

退勤のYOASOBI

だるい足腰、張りついた足裏の痛みはいつものこと。
それでも退勤時に階段を降りる足取りは心なしか軽やかです。
心地よい疲労をリュックごと背負って帰路につきます。

目まぐるしい仕事中の感覚が残っているのか、帰りに頭の中を巡るのはYOASOBIの「夜に駆ける」。
しかもサビの部分ではなく、やたら早口のパート。

仕事には正確性とスピードを要求されます。
それこそYOASOBIのボーカル、ikuraちゃんも高度なボーカル技術をもって各曲を歌い上げている。
知らずのうちに、あの速度と似たテンポで仕事を進めているのでしょう。

手帳タイムの原田知世

よろけそうになりながら、暖房のぬくもりが残る我が家に帰宅。
夕方前に退勤するため、息子や夫の姿はありません。
「だだいま〜……」と、自分で自分を迎え入れる。

お昼ごはんのスープジャーと水筒をキッチンに出し、おおよその夕食を組み立てておきます。
ほかのパートさんからいただいたお菓子から、チョコ系のものだけ飲み物と一緒に自分の部屋に持ち込みます。いそいそ……。

夕食の準備に取りかかる間だけ、手帳を書く。
いわゆる「手帳タイム」が退勤後の大切な楽しみになりつつあります。

くたくたになった身体をだらりと椅子に沈ませ、甘いお菓子をつまみながら昨日のよかったことや、思うことをつらつらと書く。

最近この時間に流すのが、原田知世さんの曲です。
すこしまどろむようなアルトの声、ゆったりした曲調は重たい身体とせわしなく働いていた心をそっと抱き上げてくれます。

ユーミンや「ユー・メイ・ドリーム」のカバーも好きですが、やはり「時をかける少女」は原田知世さんが歌ってこそ。
彼女ほど、品のよい少女の雰囲気を纏ったまま年齢を重ね続ける女性はなかなかいません。

彼女の在り方は歌声にも宿るのか、聴いていると時間の流れもゆるやかにときほぐされていきます。

夜〜就寝の静けさ

息子や夫が帰ってくると、夕食、家族の団らんが始まります。
それぞれの出来事や生活音が居間に満ちる時間です。

39度の湯を張った浴槽に身を沈めると、濁点混じりの唸り声が喉の奥からのぼってきます。
滞った血流に湯が染み渡り、身体の芯から疲労が溶け出ていく。寝ていることもしばしば。

この辺りになると、もはや曲など流れてきません。

舟をこぎ、意識が途切れがちになり、夫から苦笑混じりに「もう寝たら?」と促されます。
夜の静けさがあれば、あっという間に夢の中です。

おわりに…喜劇のような生活を

すこし変わったアプローチで日常を振り返ってみました。

おそらくそのときの気持ちに合わせて、脳がこれまで聴いてきた曲からプレイリストを作っているのでしょう。

ちなみに、社会復帰してからの私のテーマは星野源さんの「喜劇」

サビももちろんのこと、前職のことを引きずっていた私に響いたのはこの歌詞。

あの日ほどけた
淡い呪いに
心からのさよならを

正直淡いなんてものじゃない、恨みつらみを飼っていました。

だけど手放したあとの生活は、身体は疲れるけど意外と気楽で、周りも温かくて楽しい。

歩いて帰るときは「喜劇」を心のなかで口ずさみたいです。

ふざけた生活はつづくさ


※ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。ありがとうございます。

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