とにかくよく喋る息子
最近集中してものごとを考える時間が取りづらい。
原因は息子にある。
8歳の息子はとにかくよく喋る。
夏休みで、デイの通所がない日はだいたい家にいる。
児童会館はあまり行く気がせず、公園も厄介な子と遭遇するのを危惧して遊びに行けないらしい。
となると自然、話相手は私になる。
ゲームをしながら、図鑑を読みながら、事あるごとに「○○が○○した!」とか、「○○なんだよ〜」と話しかけてくる。
ピッチングマシーンの相手をしている気分だ。
息子はポケモンのアーケードゲームにハマっており、先日はヤドキングがテラスタルでどうのこうのと言われた。
ポケモンを全くプレイしてこなかったため、乏しいアニメの知識から「テラスタルすごいね」とか曖昧に返す。
すると「ちがうよ〜、これは○○だからこうなんだよ」だか何だかご丁寧に説明してくる。
こうなると、サンドウィッチマンの富澤さんよろしく「ちょっと何言ってるか分からない」と返すしかない。
そんな息子も、1歳半の発達診断では年齢の平均より語彙力が低いと言われていた。
今考えると信じられない話だ。
あの頃、私は「平均」という言葉を持ち出されるのが大嫌いだった。
平均って何なんだ?
平均より上だから、下だから何だというのだ。
せめて「目安」にしてほしい。
今の子どもたちには、平均などという誰かが勝手に決めたボーダーラインに左右されてほしくない。
憤りを抱えながら、当時の私は「ぶーぶー」とか「おいしっ」くらいしか話せない息子に根気よく話しかけた。
半分以上は疲れた母親の声だっただろうが、祖母が「そのうち水道の蛇口が勢いよく出るように話すようになるから」と言ってくれた。
こればっかりは子ども次第なので、何の根拠もない励ましだ。
それでもそうなることを信じて、息子に話しかけた。
母子通園で教わったのは、「共感」と「代弁」だ。
息子が転んでひざをすりむいた時は「痛かったね〜」。
クリスマスのケーキを食べて丸いほっぺを押さえた時は「おいしいね〜」。
その時の息子の気持ちを想像して、声をかけるようにした。
幼稚園・保育園以前に小さな社会を体験したのもあってか、息子が3歳を迎えた頃は口達者だねと先生に言われるくらいになっていた。
それにしてもだ。
こんなに喋るようになるとは思わなかった。
授業参観に行くとやたらでかい声で「ハーイ!」と何度でも挙手している。
1年生の頃は教室で突拍子もなく「は・か・た・の・しお!」と叫び、クラスの子たちが爆笑したという。
いいことばかりではない。
まだ相手に歩調を合わせたコミュニケーションは難しく、自分の興味の向くままに息子は喋り倒す。
ずっとおしゃべりの相手をするのは気が滅入るが、話を聞いてもらいたい息子の気持ちを無下にはできない。
義母からも、大切なことを聞いたことがある。
「その子が疑問に思って聞いてきたことをなるべくすぐ答えたほうが、頭に入る」らしい。
息子は本が大好きで、非常に知識欲が旺盛な子だ。
漢字の読みをYouTubeで覚え、本や図鑑で得た知識を説明し、クイズ番組から親の私たちも知らないことを学んでいる。
それ以外で何かを聞かれたら、答えられるものはその場で答え、分からなければGoogleで検索するようにしている。
静かな環境を好む私や夫は疲れるし、ストップをかけることもしょっちゅうだ。
だけどこのおしゃべりとやりとりが将来、息子の強みになるのなら、こちらの考え事は息子が寝静まった夜か、ひとりの時間に回せばよい。
自分の話を聞いて欲しいのは、誰だって同じなのだから。
※ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。ありがとうございます。
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