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日本の数学力に危機感 数学五輪、20年ぶり国内開催(日経新聞要約)


千葉市で開催された「国際数学オリンピック」は、日本が数学の頂点を目指すための課題を明らかにした。日本の高校生は数学の国際競争でなかなか突出せず、この課題の改善は急務だ。特に、この困難は高等教育段階での指導改革を必要としている。

日本の数学教育の成果は15歳までの段階では高く評価され、OECDのPISA調査では日本は1位を獲得した。しかし、高校生のエリート層で競争する国際数学オリンピックでは、米国、ロシア、韓国、中国などの強豪に対抗するのが困難である。数学の研究でも、日本の存在感は薄れつつあり、論文のシェアは中国、米国、インドが上位を占め、日本は9位にとどまっている。

数学の知識は、AI、画像処理、暗号技術、金融など、産業の基礎をなす領域で欠かせないものだ。これに対応するため、高校以上の教育段階での指導改善が求められている。現在の日本の高校教育では、大学受験に対応するために生徒を文系と理系に分け、文系の生徒は数学をあまり学ばなくても卒業できるようにしている。

さらに、STEM(科学・技術・工学・数学)分野の卒業生のうち女性の割合が17%と低く、この改善も課題となっている。このため、政府は大学入試を見直す動きを開始し、理工学系大学では「女子枠」の導入が進められている。また、政府は3000億円の基金を設けて大学に理系学部の増設を促し、返済不要の給付型奨学金も理系分野に進む学生を対象に拡大する予定だ。

数学の強化は、デジタル人材が不足すると予測される日本の未来にとって重要な課題だ。数学オリンピックでの成功だけでなく、高校以降でも多くの人が数学から離れない環境の整備が求められている。

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