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絶望でもなく、希望でもなく【プレイバック!はじまりの美術館 8】

現在、臨時休館中のはじまりの美術館。これを機に、はじまりの美術館のこれまでの展覧会をみなさんと一緒に振り返ってみたいと思います。

はじめて展覧会を見る方も、実際に展覧会を鑑賞された方も、写真やスタッフの四方山話を通して、改めて作品や作者に出会っていただければと思います。当時の裏話?や関わったスタッフの想いなども改めて振り返ってみました。残念ながら今は展覧会を開催できない時期ですが、この6年間の展覧会を改めて見つめ直して、この先の企画を作っていく足場を固める期間にしたいと思っています。


スタッフ紹介

プレイバックはじまりの美術館

絶望でもなく、希望でもなく

会期:2016年4月2日〜2016年6月27日
出展作家:太田貴志、小松理虔 × tttttan、近藤柚子、十中八九、山中紅祐、和合亮一、ワタノハスマイル
主催:社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館
https://hajimari-ac.com/enjoy/exhibition/hope/

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大政:では、第8回目の展覧会「絶望でもなく、希望でもなく」について話していきましょう。この展覧会は、小林さんが企画担当でしたね。

小林:はい。2回目に担当した展覧会でした。開催したのが2016年なので、震災から5年ですね。ちょっとした節目の年ということもあり、「震災」の要素を入れて展覧会にしようということで企画を始めました。展覧会の趣旨文にも書いたんですけれども、やっぱり「被災地」というと、ある意味レッテルのように「頑張っている被災地」だったりとか、「復興に向けて」っていうので語られがちなんですよね。けれども、実際は福島県の中でも、それぞれの状況は全然違っていて。どんな状況の人でも、いつもつらいかっていうと、そんな人ばかりではきっとなくて。何かこう、いろんな人がいる中で「括られてしまう」っていうことに対して、実際住んでいて違和感を感じていました。だから、そういう部分ではなくて、震災以降にいろいろ生まれてきた表現だったりとか取り組みとか、そういう人たちを紹介したいなと思って企画しました。

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大政:私は、この展覧会が始まる直前の2016年3月に、茨城県から福島に引っ越してきました。引っ越す前だと、やっぱり福島=震災のイメージが強かったんですけど、実際に猪苗代の人と話したりすると、3.11のことに対しては、「浜の方は大変だったけど、こっちはそこまでひどくなかったからね」と話されたり。温度差をすごいリアルに感じた記憶があります。

岡部:はじまりの美術館の名前もちょっとずつ知られてきて、トークイベントのゲストなどにお呼びいただく機会も出てきた頃で。そうすると、「福島県の代表者」として話さなければいけないというか。そういう発言を求められる場面もあったりして、それがなんか自分にも違和感があって、この展覧会のタイトルがとてもしっくりきていたのを覚えています。

小林:そうですね。タイトルがよかったですね。(笑)タイトルはですね、元ネタというか参考にしたものがあって。映画監督の園子温さんが撮った「ヒミズ」という映画があるんです。「ヒミズ」って、原作はマンガなんですけど、マンガの終わりはわりと悲惨な感じなんですけど、映画は希望に向かっていくように見える終わり方なんですよね。あるインタビューの中で、「絶望に勝ったんじゃなくて希望に負けたんだ」っていうことを監督である園さんがおっしゃっていて。なんかそれが残っていました。「震災」とか「復興」について考えているときにこの言葉を思い出しつつ、「絶望」も「希望」もあるけれど、それだけではないんじゃないかということに思い至りました。

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大政:この「絶望でもなく、希望でもなく」っていうタイトルの展覧会を震災をテーマにした企画として開催することによって、「はじまりの美術館」っていうものの立ち位置とかスタンスとかも見えるものだったなと当時思いました。

岡部:3月は、ちょうど震災の時期の展覧会ということで、震災に関する作品を作る作家さんの展示も多かったかと思うんですけれども。なんか個人的には、その「震災」と「障害」というのがとても重なっていて、この障害のあるほうが日常ではないかって考えた時に、タイトルが重なっているなというのは思っていたところでした。

小林:そうですよね。岡部さんがあるインタビューでおっしゃった「福島は障害を負った」という言葉がありますよね。ちょうどこの展覧会の出展作家の小松理虔さんの著書に引用されていますが、すごく印象的というか、力強い言葉だし、納得できる言葉だなと思ってます。小松さんは本職はライターで、当時は「作品」を作るなんてご本人としても思っていなかったかもしれません。ただ、やっぱりずっと震災後からこの福島のこととか、彼の住んでいる小名浜やいわきのこととかの状況を追いながら発信してきていて。やっぱりその現在進行形の気持ちの変化だったりとか、彼が見てきたものの変化みたいなものを、形にして欲しいなと思い、直接お願いしに行きましたね。そのときは「UDOK.」という場所を一緒に作ってきたtttttanさんと一緒だったら何かできるかもっていうことで。「小松理虔×tttttan」という形で参加いただきました。tttttanさんは「ほくほく東北」からのある意味2回目の出展になりましたけれども、すごく印象的な作品を作っていただいたなと思ってます。

岡部:そうですね。作品はFAXされてきた用紙という体裁で、感熱紙で打ち出されたものでしたね。理虔さんが発信してきた記事が印刷されたFAX用紙の上にtttttanさんがドローイングした作品でした。そして、感熱紙で印字された部分は、時間の経過とともに消えていってドローイングだけが残るというのが作品の趣旨の中にも込められていて、震災がどんどん風化していき、その後に生まれたものが残っていくということを暗示している、とても印象的な作品でもありました。

小林:あれから4年が経ちましたけど、あの作品はどうなってますかね。その4年ぐらいじゃ消えないのかな。設営の時は、FAXの用紙が電話機からつながったままの作品だけを「これでお願いします」って託されて、どう展示するかっていうことでだいぶ悩みましたね。最終的には凄く格好良い展示になって、福島県立博物館が主催していたあるイベントのチラシのビジュアルにも使われたりして。

岡部:設営のときに、小林さんが何もない展示室の中でどうしようかと立ち尽くしている姿を今も思い出します。(笑)

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大政:あと、同じ展示エリアには、いわきの十中八九さんの作品も展示されていましたね。

小林:そうですね。十中八九さんはですね、私の元々好きなバンドで「渋さ知らズオーケストラ」という方々がいるんですけれども、そのリーダーの方が立ち上げに関わっているということで注目していました。音楽はもちろんですが、ダンスなどのパフォーマンスや美術装飾も自分たちで作られていたので、そういった勢いのある活動を紹介したいなと思ったんです。ちょっとこれもまた作品というか、「展示」という形にもっていくのが少し難しいかなと思ったんですけれども、迫力ある作品やライブ映像なんかも流したりしながら結構楽しい形にできたかなと思ってます。
6月に開催した開館記念のマルシェイベント「はじまるしぇ」では、ライブもしていただいて、そのとき行なったライブペイント作品が、会期の途中から展示作品として加わったりもしました。

岡部:構成メンバーの年齢層も幅広くて、学生から年齢層の高い方までいろんな方が参加している団体でしたね。

小林:そのときのライブを覚えている方が周りにも多くて、「十中八九のライブまた見たいね」なんていう声もちらほら聞いたりします。

岡部:十中八九とも縁のある、アート業界でもある意味有名ないわきの「喫茶ブルボン」のマスター・宮崎甲子男さんを題材にした、「ブルボン爺ちゃん」は頭から離れないフレーズでしたね。残念ながら、ちょうど展覧会のはじまる頃に亡くなられてしまいましたね。

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十中八九

小林:一番奥の作家から振り返る形になりましたが、逆に展示室に入ってすぐのエリアで展示いただいたのはワタノハスマイルです。この企画の中でダイレクトに震災とかをイメージするような作品は、そこまで展示しなくてもいいかなと少し思っていました。その中でもワタノハスマイルは、震災や津波の被害から生まれてきているものですが、作品自体はすごくかわいくてとっつきやすい感じで。

岡部:そもそも、ワタノハスマイルというか、このプロジェクトの代表で造形作家の犬飼ともさんと面識というか、繋がりができた経緯って覚えてますか?

小林 :たしか企画展の前から、どなたかの紹介で「なにかできれば」といった相談をいただいていて……誰かからだったか忘れたんですけど。それで、この展覧会の企画を考えていたときに、ぜひ出展作家としてお誘いしたいと思ってお声掛けしたんですよね。

大政:作品自体はすごくキュートで。でも、よく見ると傷や汚れがあったり、全く異なる素材たちがあわさっていたり。コンセプトとか、これらのものができる経緯を知るとギャップに驚かされました。

岡部:そうですね、津波で漂着した物を使って、避難所の子供たちと一緒に自由に組み合わせて楽しいオブジェを作るというプロジェクトでしたね。

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小林:犬飼さんは現在は北海道の札幌にいらっしゃいますけど、そちらでも「アートスクール・トルネード」という造形教室をやっていて、やっぱり子どもたちと一緒にアート活動をさえていますね。トルネードさんのSNSの投稿とかを見ていると、すごいユニークな作品が生まれていて。なんていうか、子どもたちと一緒に何かをやるのがお好きな方なんだなと思うし、子どもたちの創作意欲を刺激するのが上手な方だなってことを改めて思ってます。

大政:震災後って、本当にいろんなワークショップやアートプロジェクトが生まれたと思うんです。その中でも犬飼さんの活動は、子どもたち一人一人が持ってるエネルギーとか、想いとかを引き出すのがすごく丁寧で。かつ、その後のやりとりや出し方も丁寧で。

岡部:出展いただいたときに伺ったお話でも、やっぱり最初にすごい葛藤があったというお話もされてましたね。こういうひどい状況の中で自分は何ができるのかっていうのと、そういう状況の中で、避難所で子どもたちと造形活動を一緒にやるということは、果たしてどうなのかということを考えながら、活動されたというお話が印象的でした。

小林:作品に合わせたハンドアウトとして、作った子どもたちがそれぞれ作品のキャラクター名やどんな性格なのか考えたものも展示室に設置しましたが、本当に子どもたちが楽しんで作ってるんだなっていうのを感じる、すごくいい作品だったなと思います。

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大政:この展覧会の出展作家の中で、太田貴志さんは他の方に比べると「震災」みたいなキーワードから少し離れているのかなと思っていたんですが、どうしてこの展覧会でご紹介したんですか?

小林:そうですね、太田さんは確かに震災というテーマからは浮いてみえるんですが、この展覧会では「自分たち自身の手で作っていこう」みたいな部分もテーマにありました。この企画展の関連イベントで「D.I.Y.」というトークイベントを開催したのですが、DIYのそもそもの意味の「Do It Yourself=自分でやる」をテーマに、各地域でインディペンデントな活動をする実践者たちをお招きしたイベントでした。
太田さんは、大好きなモデルカーや車とかが買えなかった当時、身近にあるダンボールや紙などで自分の手で作られていました。その、自分で作った物のクオリティがすごくて。「ないなら自分で作る」という姿勢と作品を紹介したかったことが一つ。
あともう一つ、仕事をしはじめてお給料もらうようになったら、モデルカーなどが買えるようになったので作品を作らなくなってしまったという事実。なんかこう、「作らなくなった」っていうエピソードも含めて、この「絶望でもなく、希望でもなく」っていうタイトルに合っているなと思いました。我々からしたら、素晴らしい作品なのでずっと作ってほしいし、もっともっといろんなものを見たいけれども、それは本人にとっては大事じゃなくて。そこに何かちょっとした無常感みたいなものを感じて。ちょっと伝わりにくいところではあるんですけれども、そういった部分を紹介したいなと思った記憶があります。

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大政:なるほど、確かに。こう、なにかご本人のなかできっかけがあったり、理由が生まれたりすると、パタリと作らなくなるアーティストの方も結構いらっしゃいますよね。最初の展覧会でご紹介した武田 拓さんの場合ですと、割り箸が天井まで届いた時点で作らなくなられと聞いています。他にも、何かを理由に作風が全く変わったり。太田さんは、初日のギャラリートークにも来てくださいましたね。そのときももう作ってなかったのですが、作ったものに対して丁寧にトークいただいた記憶があります。

岡部:そうですね。今は作ることをやめてしまっているけど、ギャラリートークに参加されたお客さんの作品に対する評価を聞いて、また作り始めようかなっていう思いが芽生えたような様子も見られましたね。

小林:たしかそのときが、はじまりの美術館に初来館でしたが、この梁の構造にすごく感動されていて「ちょっと僕、この美術館を作ってみます」ってすごい目をキラキラさせておっしゃってましたよね。

大政:アーカイブ事業で、太田さんのお部屋に伺ったときがあるのですが、そのときに美術館のような建物を厚紙で作っているのを見せていただきました!まだ作っている途中とお話されていた記憶があります。他にも、太田さんの好きな車や黒電話など、いろいろみさせていただきました。

小林:ぜひ完成版を見てみたいですね。

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小林:あと真ん中の部屋で展示いただいた和合さんとは、岡部さんと一緒に最初の打ち合わせ行きましたね。

岡部:そうですね。和合さんは福島市在住の詩人で、震災後に発表された「詩の礫」でも知られますが、いわゆるアート作品を作られる作家さんとは別なタイプの出展作家さんということで、どのような展示になるかワクワクしたのを覚えています。

小林:震災をきっかけにTwitterでいろんな発信をされて、いろんな著作も出されていて。県内だけでなく広く著名な方ですが、すごい気さくな方で、次々にいろんなアイディアを出してくださって。「私にできることは何でもやります!」みたいな感じでおっしゃってくれたのがすごく心強かったですね。

岡部:そうですね。打ち合わせの中で、和合さんが被災後に県内各地を回る中で、「雲の写真をたくさん撮りためている」っていうお話も伺えて。展示の構成がそこで一気に広がったような記憶があります。

小林:このときも、はじまりの美術館のムチャぶりといいますか(苦笑)。「新作を書き下ろしていただきたい」というお願いをして、《雲をめぐる》という詩を書き下ろしていただきました。手書きの原稿を印刷して配布したのと、和合さんご本人に朗読もしていただいて、雲の写真と一緒に会場内で流しました。記録集では、今でもQRコードで読み取ると、和合さんの写真と朗読を聞くことができますね。

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大政:山中紅祐さんは、宮城在住の方でしたよね。

小林:山中さんは、お父さんが紅祐さんにスケジュールを伝えるために手帳に書き込んだ文字をご本人が写し取ったものが作品として展示されたんですけれども。結構大きくカレンダーのようになっていて。そのなかにちょうど震災当時のことも記録されていて、3月のこの日に震災があって、その次の日から避難所で何したとか、そんな結構リアルな記憶をアーカイブしたような作品でした。その一方で、電車の路線図のような作品もあったんですけれども。そちらはですね、東北地方の名前とか見知った名前が書いてあるのかと思いきや、よくよく見ると「岩形」とか、「宮手」とか、ちょっと違う地名が書かれていて、そういうなんか想像とか空想の面白さみたいなものを感じる作品でした。

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岡部:山中さんの向かいで展示された京都出身の近藤柚子さんは、福祉事業所への派遣事業の一環として山形に移住して、今でも福祉事業所で支援員をしています。その福祉の現場で感じたことや、震災後に感じたことなど、柚子さんの内面が複雑に絡み合ったものがそのままに出てきているような表現がいろんな方の心を捉えたの覚えてます。

小林:柚子さんは、この展覧会の前から元スタッフの千葉さんの知り合いだったこともあって何回か来館いただいてましたね。いろんなご案内などよく手紙をいただいてましたが、封筒とかにもすごいメッセージいっぱい書いてくれる方ですごく気になってたんですよね。それで、山形で展示をされるとご案内いただいたので見にいきましたね。その時の展示が、彼女の何かこう、気持ちの変化とかそのときの思っていることなどを書き留めるような、そんな作品が多くて。具体的に震災につながるわけではなかったんですが、何かこの展覧会に柚子さんが入ることで、全体を繋ぐものになるんじゃないかというようなことを感じたのを覚えています。

大政:結構この柚子さんの展示までは、均等に展示することが割と多かったのかなと客観的に見て思っていて。柚子さんはもう、きっちり展示するっていうよりも、柚子さんの中身があふれ出るような感じでランダムに展示したことを覚えてます。

小林:そうですね。実は、そういうの展示の方法は、TURN展のときの日比野さんの展示からも流れとしては繋がってるのかなっていうのもありますね。この展覧会の寄稿文を県立博物館の川延さんにお願いしましたけど、その柚子さんの作品に綴られていた言葉を文章全体のつなぎで引用されていました。そういう意味でも展覧会に込めたものを、すごくうまく汲み取っていただいたなあと今読み直しても思います。

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大政:会期中のイベントでは、「スーパーローカルヒーロー」という映画の上映会やったり、さっきも話に出ましたが「D.I.Y.」というトークイベントをしたり、イベントも月一で開催できましたね。そして、大友良英さんとプロジェクトFUKUSHIMA!代表の山岸清之進さんにきていただいて、トーク&ワークショップ「オーケストラFUKUSHIMA!」も開催できましたね。

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小林:そうでしたね。美術館の開館のときに除幕式をしたのですが、それで使った大風呂敷もプロジェクト FUKUSHIMA!さんにご協力いただきました。また、私としては3.11のあと2011年の夏に福島市の四季の里で開かれた「フェスティバル FUKUSHIMA!」の映像がすごく印象的で忘れられなくて。いつかは、はじまりの美術館でもやってみたいと思っていたんですよね。

大政:美術館近隣の地域の方から、一番遠くは京都の方ですかね。本当に多くの方に参加いただいて、幸せな時間でした。

小林:出展作家の方の中では、和合さんがプロジェクトFUKUSHIMA!さんとのつながりもあり、このタイミングしかないだろうということでお声掛けしました。実現できてよかったなと思ってます。その後も、毎年8月に行っているフェスティバルFUKUSHIMA!の盆踊りイベントに安積愛育園のラテンパーカッションチームのHANAをお誘いいただきました。ほかにも東京や札幌で開催された大風呂敷サミットなどにも呼んでいただいたりとか、ご縁が続いていて嬉しいなと思っています。

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大政:あと、この展覧会で、初めてツイッター上で批評までいかないような、批判のようなコメントをいただいたことを覚えています。それを小林さんが「うちにもやっと展覧会の批判が来るようになったか」と、喜んで?いたのが記憶に残っています。

小林:そうでしたね。やっぱり震災がテーマと発信していたっていうことと、このタイトルを東京とか離れたところから見たら、どれだけのことやってるんだろうなって感じるだろうと当初から思ってました。当時、長津さんにも展覧会を見ていただきましたが、思っていたような内容とは違ったなっておっしゃっていて。
なんか、その辺はそういう感じられる方もいるだろうなと思っていたので、仕方ないかなとは思いましたね。その反面、この美術館にアートの文脈で期待して来てくれた方がいたのが嬉しかったというか。少しずつ認知されてきたんだなぁと。まぁその期待を裏切ってしまったのは大変申し訳ないのですが。(苦笑)

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大政:あとは、展覧会のメインビジュアルを「きになる⇆ひょうげん」も第1回目からお世話になっているキャッサバコラージュデザインの佐藤さんにはじめてご依頼して、デザインしていただきましたね。このビジュアルも、とても象徴的で好評でしたね。

小林:なんか、このタイトルと趣旨で、どんなビジュアルを作っていただけるのか楽しみにしながら、無茶なことをお願いしてるかな、っていうのは思っていました(笑)。完成したデザインは、一輪の花をコラージュしていただいたのですが、実際のチラシではちょっと透けるような紙質で。裏面にある黄色い太陽のような色彩が光に透かすと、花に光が注ぐような。すごくテーマを汲み取ったデザインにしていただきました。実はその原画は、彼女の「絵のように観る」時計ブランド「Time Lag」で時計に仕立てていただいて。今も美術館にも飾られていて、時を刻んでいますね。

岡部:展覧会当時も「チラシのメインビジュアルになっている作品はどこにありますか?」って何人かの方に聞かれたのを覚えています。

小林:毎回ですけど、デザイナーさんも出展作家のお一人のような感じですよね。あとは、結構展覧会全体を通して音楽的な要素があったかなと思ったりもします。「全体」というのはちょっと言い過ぎですけど、十中八九さんやオーケストラFUKUSHIMA!もあって、あと映画のスーパーローカルヒーローも尾道の方がいろんなアーティストを呼んでライブ企画をする内容だったりとか。そういった音楽の要素も結構多かったので、何かライブ感みたいなものをちょっと残せたらなと思い、記録集の撮影は十中八九さんの撮影や他にも普段から音楽ライブなど撮影していたhzk(ひづき)さんにお願いしたんですよね。かっこいい写真を撮っていただきました。
手前味噌ですけど、結構この「絶望でもなく、希望でもなく」というタイトルは、日々いろんな場面で思い浮かぶというか。ある意味、今のコロナ禍の状況でも浮かぶフレーズです。なんか、自分の身の置き場所というか、大事にしたいものを見つめ直すような言葉だし、そういう展覧会だったなと思います。

絶望


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