伊予の国へのショートカット
松山・小倉フェリー
2022年某月某日、午後8時過ぎ。
北九州市小倉。
JR小倉駅からもほど近いフェリーターミナルに車でやってきた。
これから用事で四国に向かう。
九州と四国は隣り合っているくせに間のアクセスは死ぬほど悪い。
仮に陸路で行こうとすると、どうしても一度本州を通る必要がある。
車であれば、九州道→関門道→中国道→しまなみ海道(場合によっては瀬戸大橋)。
鉄道だと、わざわざ岡山まで出なければならない。
本州と四国をまたぐルートは3つ(瀬戸大橋、しまなみ海道、明石海峡大橋)も用意されているにも関わらず、不便極まりない。
日本がいかに、「東京~地方」に重点を置くあまり地方どうしの移動を軽視しているかが、こういうところにも表れている。
それはさておき、九州~四国間の移動を楽にするルートがある。
フェリーだ。
今回は、北九州から愛媛・松山まで向かうフェリーの乗船体験談的なものをご紹介したい。
出発までにすべきこと
松山行の出航時刻は21時55分。
それまでにチケットの購入、そして食料の調達が必要になる。
車は駐車場に入ると、ギリギリまで詰めるように指示される。
一般車はもちろんだが、トレーラーとかトラックもずらりと並んでいる。
私はインターネットで二等(オープンな席)を予約していたのだが、コンセントがあるので二等寝台にグレードアップした。
夜行便なので、ゆっくり寝られるほうがいいしね。
チケットを買う際にはナンバーその他もろもろ車の情報を書いた書類を提出する。松山行とか書かれた紙をダッシュボードに置くように指示されるので置いておこう。
それが済むと、しばらくはやることがない。
お腹が空いてくる時間帯。船内には食堂の類はないので、周りで何か食べようかな。
なんて思ったのだが、このチケット売り場には食堂のような施設も売店のようなものもなさそうだ。
JR小倉駅から徒歩3~4分程度とはいえ、周りには何もない。
警備員のおっさんに「この辺ってコンビニないですか」と聞くと、一番近いのは小倉駅だという。仕方なく駅まで向かう。
北側にはファミリーマートもセブンイレブンもあるので弁当の類はそこでゲットできる。
もし、鉄道利用でフェリーを利用する場合には先に食料を調達してフェリー乗り場に向かってほしい。
いざ出発
出発の30分くらい前には車に戻っていたい。時間が近づくと、係員による指示がある。車をゆっくりと船の中に載せる。個人的には、以前鹿児島の垂水から鹿児島市内まで行ったとき以来のフェリーだ。少しドキドキする。
行楽シーズンではなかったとはいえ、金曜の夜だというのに全然混んでいない。車をぶつける心配はなさそうである。
出発、船内へ
まあどのフェリーもそうだが、一度車を置くと駐車スペースには戻れないので、船室に持っていきたい荷物は一式持っていこう。
船内は結構広いみたいだ。
中央部分には総合案内があるのと、土産屋がある。
福岡の土産を買いそびれた時なんかは便利かも。
食堂はないけれど、外を眺めながら食事をできる休憩スペースはある。
船はゆっくり動き出した。
こういう時ってワクワクするよね。
10分ほどで関門海峡に差し掛かる。左手は山口県下関、右側は北九州だ。
一番の見どころは関門橋の真下を通るところだ。
橋の上を車で通ることや、下から眺めることはあってもなかなかくぐることはない。
私を含め何人かが、少し大きめの窓から関門橋を覗き込んでいた。
大迫力の景色に満足したら、あとは窓の外は真っ暗なので寝るだけだ
フェリーの朝は早い。
そんなわけでグレードアップしてベッドつきにしたので、遠慮なく眠らせてもらう。コンセントもついてるので目覚めたころにはケータイの電池は100%だ。
おやすみなs。。。
朝4時45分ごろ。
「皆様おはようございます。まもなく、松山観光港に到着いたします」
アナウンスが船内に響いた。
そう、この船は朝5時に松山に着くのだ。
乗客は早朝に叩き起こされる。
前日もフルで仕事してからの強制早起きは厳しいものがある。
真っ暗だった空が、少しずつ明るくなっている。
早朝の、灰色をした霞んだ空気の向こう側に陸地が見えてきた。
そうか、四国に着いたんだな。
松山に到着
朝5時。
船は松山観光港に到着。
福岡ナンバーは愛媛の地に上陸したのであった。
7時まで船内休憩もできるらしかったが、前の車に付いていったら港の敷地を出てしまった。
松山市内までは距離があって、そこをトンネルで突っ切っていけるようだったが、私は行きたいところがあったので車の群れとはおさらばした。
ここは伊予鉄道の梅津寺駅だ。
ある有名ドラマのロケ地として有名な場所である。
「東京ラブストーリー」だ。平成初期の名作ドラマの最終回を飾ったのが、ここ梅津寺駅である。
とはいえまあ、この日は天気も良くはなく、あまり雰囲気を感じることはできなかったのだが…。
さて、市内に向かうとしよう。
松山といえば道後温泉。せっかく来たので入っていきたい。
一番有名な本館は朝6時から営業しているのだが、5時40分くらいの時点でそこそこ行列ができていた。
本館といえばいつ行っても大混雑しているイメージ。私は、個人的には別館の「椿の湯」のほうが地元民メインで落ち着いていて、松山に来るときはそちらを利用してきた。
今回はまだ行列が短いうちに、と思って初めて本館に入ったのだった。
朝5時に叩き起こされ完全に目は覚め切っていない。周りの人はおそらく道後の宿に泊まったのだろう。つい1時間前に福岡からたどり着いたばかりの人間はほかにいるだろうか。
温泉でフェリーでの疲れを癒した。まあ、一日は始まったばかりなのだけれど。
まとめ
まあ、夜行便なので乗り物として乗って楽しいとか楽しくないとかはない。
しかし、車で福岡~愛媛を移動するルートとしてはなかなか便利ではあると感じた。
陸路であれば中国地方西部を横断する長旅をせねばならないところ、寝ている間に四国に着いてしまうのだから。
ただ、いかんせん朝が早すぎる。そこがしんどかった…
ちなみに、フェリー自体は愛媛と大分の間も運行されている。
大分県内ではまあまあ愛媛ナンバーを見かけたりするのは、そういうことなのだろう。
大分と愛媛の間で橋が架かってくれたら、かなり便利になるんだけどなぁ。
九州と四国の地域間移動がしやすくなれば、いろいろな旅の仕方ができていいのにと思う。
しばらくは船でのんびり行くしかなさそうだ。
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