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【レビュー#05】ドラマ&ドキュメンタリー『LORE』―創作人必見! 事実に基づく物語の説得力

こんばんは、灰澄です。
前回記事から、かなり間が空いてしまいました。
一日24時間じゃ足りないと最近よく思いますが、一日100時間あったところで今と大して変わらない生活をしていると思います。人は愚かなので。

Amazon Prime限定 オカルト好き&創作人必見番組

皆さんは、都市伝説は好きでしょうか。インターネットの人たちは皆好きですよね。
今回は、Amazon primeで限定配信されているドラマ調ドキュメンタリー『LORE』(ロア)についてご紹介しようと思います。
ホラーミステリー作品としても、知識欲を刺激するドキュメンタリーとしても面白いですし、創作をしている人にとっては、ネタ探し・取材としてかなりオススメできる番組です。
 
『LORE』というタイトルは民間伝承(FOLKLORE)からとったものだと思われます。その名の通り、世界の怪奇現象や未解決事件といった都市伝説を、一話完結の再現ドラマとドキュメンタリーを合わせた構成で紹介するという番組です。

ドキュメンタリー×ドラマによる神演出

この番組構成がとても独特で、ドラマパートの合間に、実際の映像や写真を用いた解説調のドキュメンタリーパートが挿入されるという形で進行します。ドキュメンタリーパートでは説明内容に合わせたアニメーションが入ることもあり、その絵柄が毎回個性的でかなり魅力があります。
 
こうした映像の使い方や、説明の言い回し、BGMに至るまで、色々なテクスチャが交錯しつつも全体としては一つの世界観にまとまっていて、毎回本当に唸らされます。その意味で、映像作りに関心がある人は演出を見るだけでも十分楽しめると思います。
 
現在、シーズン2まで放送されているのですが、実はシーズン1と2では趣が違っており、シーズン2はドキュメンタリーパートがかなり短く、ほとんど短編ドラマのような構成になっています。
個人的にはシーズン1の斬新な構成が好きだったので、この点はちょっと残念だったりします。とはいえ、シーズン2も十分に見応えのある良作品でした。

有名どころから知られざる伝承まで

ポルターガイストや妖精信仰といったオカルト色の強いものから、ロボトミー手術や死体売りといった、歴史の暗部のようなものまで、幅広い都市伝説や怪奇事件がテーマとなっており、誰でも一度は聞いたことのある話もあれば、日本ではあまり知られていない事件の話もあって、どのエピソードも思わず嘆息するような刺激があります。
 
やはり、なんといっても、どの話も実話に基づいたものであり、確かな資料や痕跡が実在しているというところに言い得ぬ迫力があります。
現実に起こった出来事の再現ドラマなので、物語の最後は必ず史実に帰着するわけですが、ドラマパートと資料映像を経て迎えるエピソードの締めには、「こんなことが実際にあったのか」と眼前に鋭い刃物を突き付けられるような緊張感すら覚えます。特に、シーズン2の第一話の結びは壮絶でした。
 
ちなみに、制作指揮はドラマの『X-ファイル』や『ウォーキングデッド』を手掛けたクリエイターであり、納得の安心クオリティであるとともに、たまに『ウォーキングデッド』のキャストが参加するなどしています。
 
エピソードによって若干の違いはありますが、基本的に一本45分程度で気軽に見られて、どれも完全一話完結なので、興味のあるエピソードから見ることもできます。

取材による説得力

創作で既存の伝承や史実を元ネタにするとき、(例外が無いとは言いませんが)綿密な取材はとても重要で、公募では選考の要素にもなります。

実は、私は少しだけ小説の新人賞の選考に携わったことがあるのですが、ファンタジーなどオカルトや神話を元ネタにした作品で、名称やモチーフだけを安易に使ってしまうと、登場人物や物語そのものが元ネタの持つコンテクスト(文脈)の存在感に押されてしまって、いわゆる「名前負け」してしまいます。
 
『LORE』を見ると、取材に裏付けされた作品の説得力を改めて実感します。
 
気軽なボリューム感で、観た後の充足感が得られる作品を観たいとき、一押しの作品です。

それでは今回はこのあたりで。
また次回の記事でお会いしましょう。

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