ダメ男短編集

愛の保存法 (光文社文庫)

2008年4月30日に投稿したブログより。

この作家は、もっともっと女の人のファンが増えそうな気がします。

まだ、コレッていうベストな一冊がありませんが、どの作品も標準以上の佳作であることは凄いことです。

今回はダメ男と、それを取り巻くわがまま女に焦点を当てた６つの短編集。

・　周囲の迷惑を顧みず、結婚離婚を繰り返し、その度に式を挙げるカップル。

・　婚約者に紹介をしないといけないのは、愛人のヒモとなっているダメ親父。

・　いざという時に恋人だと思っていた女性に、相談もされない頼りない男。

・　自分は勉強一筋と、仕事や結婚を全て捨てて教え子の家を転々と流浪するダメ学者。

・　分かれた彼女の引越しの度に、荷造りのために呼び出される、煮え切らない男。

・　その場の流れに逆らえず、あちらこちらで子供をこさえ、その全てに愛情を注ごうとする男。

決して同情は出来ませんが、いるいるこんなの、と思わず感じ入る部分もありますし、男についても女についても、その描写には作者の愛情を込めた視線が感じられます。

ダメでも皆一生懸命前向きに生きてます。そんなメッセージが伝わってきます。

いやー、いいです、この作家。