移動年計とは?
今回は移動年計という考え方について。
ひょっとしたら、私たちの業界においてはあまりポピュラーではないかもしれませんので、初めて聞いた方からすると今回の話はこれまでで一番難解かもしれません。
ネットで調べてみますと下記のような説明となります。
「移動年計とは、『その月の売上に過去11ヵ月分の売上を加算した直近1年分の合計額』をいい、それをグラフ化したものが移動年計グラフです。 」
一つの目盛りの中に、12ヶ月分の要素が含まれています。
つまり、たとえば決算月である「2021年3月」という目盛りがあるとすると、この目盛りの中には「2020年4月から2021年3月」までの12ヶ月分の要素が含まれています。
その指標が売上高であれば、2020年度の総売上高の数値でもあります。
そして、その目盛りがひと月先にズレるとどうなるか。
今度は「2021年4月」という目盛り。こちらは「2020年5月から2021年4月」までの12ヶ月分の要素を含みます。ひと月前の目盛りとの違いとしては、直近の4月の値が足されて、昨年の4月の値が差し引かれています。
2021年3月年計値 「4月,5,6,7,8,9,10,11,12,1,2,3月」
2021年4月年計値 「5月,6,7,8,9,10,11,12,1,2,3,4月」
上の年計値と下の年計値の差は「2021年4月単月の値と2020年4月単月の値」の差です。
目盛りが上がるか下がるかは、直近の単月の値が前年同月の単月の値よりも大きいか少ないかで変わります。
単月で一年前の値よりも増えている場合は、目盛りが上がります。そして、このことを「右肩上がり」といいます。
業績で右肩上がりというのは、月々の売上が前の月に比べて増え続けていることではなく、「前年同月対比」できちんと成長できているかどうかを言います。
月次ベースの推移では、単月の値の中に様々な不測要素がそのまま反映されてしまいます。例えば、月には小の月と大の月がありますし、それによって稼働日数も変動します。
夏は暑く熱中症も流行り、台風も来て稼働も落ちます。冬は冬で雪が降ったり路面が凍ったりインフルエンザが流行したりとサービスの利用控えも発生します。
移動年計ベースを指標にするメリットというのは、これらの不測要素が目盛りひとつにすべて含まれることになります。
毎月12ヶ月分の合算値なわけですから、そのすべての目盛りに年間イベントの全要素が含まれますので、不測要素の言い訳はできません。
直近の単月の値が前年よりも上がっていれば会社の業績は右肩上がり、下がっていれば右肩下がり、同じ値であれば横ばいで昨年から成長できていないということになります。
成長が鈍化しつつある傾向が見受けられた時に、前年よりも盛り返すためにどんな手を打つか。移動年計によって自社の今の傾向を読むことが可能となり、今後のための手を早めに打つことが可能となるのだと学んできました。
ややこしい話にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
しばらく数字の話はやめましょうね(笑)
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